この手の展示会に行くのは昨年の楽器フェア以来である。カメラ関係では実にこれが最初の体験であり、かなりマニアである私だが、自分でも意外の感がある。新製品というものにあまり興味がなく、OMは新品でもたくさん買ったが、私がカメラにのめり込んだ頃にはOMの新製品などほとんど出ていないのだから展示会には用が無いわけである。今回、デジタルカメラ関係でいろいろ新製品も出ているので、ちょっと覗きに行ってみた。次の用事があるので、たった1時間の、超いいかげんレポートである。

★04年3月21日
祖母の葬式のため、元々19日に行くつもりだったのが今日になった。しかも、別の用事があるから会場に東京ビッグサイトは1時間しか居られない。そんなわけで、興味があるところだけ見て回るにとどめた。
実は東京ビッグサイトも初めてであった。なんという世間知らずと言われそうだが、本当に初めてで、新橋からゆりかもめでこんなに時間がかかるとは思っていなかった。お台場からぐるっと回るので、そんなに遠くないのに時間がかかる。同じところを視点を変えて見るかっこうになりそれなりに景色を楽しんだけれど。

まずはオリンパスのE-1オーナーラウンジ(会議室棟に設置)に行って、お茶をもらってアンケートなど記入、レンズ貸し出しのサーヴィスがあるので、新しい11-22mmF2.8-3.5レンズを借りる。貸与時間は1時間を目処に、と言われたがそれは当方としても丁度いい。これを返したら次の用事のために移動しようと思う。そんなわけで、今日の機材はE-1に11-22mmで、会場はこれで全て撮ろうと思う。

オリンパスのブース展示ホールに行くと、入口すぐがオリンパスのブースである。コーポレイトカラーの青(群青)色の壁に、真っ赤なF-1マシンが眩しいほどの対比である。ブースの中はステージがあって、向かい側が撮影するためのひな壇になっていて、つまりオリンパスのブースステージでモデルさんたちがパフォーマンスなどするのを、ひな壇から撮るという趣向。まあはっきり言ってそういうことには興味がないので、ここはパスする。裏手にひっそりとE-systemの展示があって、この夏注目(のはず)の150mmF2レンズが左端に鎮座なされ、これは思っていたより小さく出来ていてなかなか良さそうなレンズである。価格が高いかも、という危惧はあるが、フルサイズ300mm相当の画角で、F2なのだから面白そうだ。私の場合、望遠は最近あまり出番が無いのと、望遠は既にOM用をかなり持っていて、アダE-systemプタで使えるからこの新製品を買うかどうかは値段次第というところ。他のレンズの具体的な予定ははっきりしたことは教えてもらえなかった。開発発表当初から「デジタル専用」というコンセプトを大きく打ち出しているから、あまり安易にレンズを発売したくないということなのか、単に開発リソースが足りないのか、技術的なバーが高いのか、まあそこらへ150mmF2んは社員ではないので分からない。個人的には、いまのラインナップにいくつか単焦点が(広角〜標準程度)あればいいのであるが、おそらくは、廉価版(小型?)ボディという計画があるはずだから、それに合わせた小型・軽量のズームレンズなどは必要だと思われる。
となりはニコンのブースで、ここはもちろん、3/19に発売になったD70がメインという感じ。オリンパスにもあったが、ステージとそれを撮るスペースがあって、かなりの人がいらっしゃる。D70には大きな展示スペースが割かれていて、スケルトンモデルがあった。こういうのは手にとって見たかった。ニコンだけでなく、他D70 スケルトンのブースの音も含め会場が騒々しいのでニコンのブース、シャッター音などはよく分からない。D70のウリの一つ、メモリの容量一杯までの連写は確かにすごいとは思うが、個人的には全く興味がない機能である。風景や、街中で何か撮るときや、舞台などではまるで必要がない。それに、結局RAWとかにすると枚数は限られるし。よく説明を聞かずに後で文句を言う客もいるのではないかと余計な心配をしてしまう。同時発売の18-70mmDXズームレンズはまとまりがよくて使いやすそうであるが、ズームリングのトルク感が均一でなく、ぎしぎししてそこらへんは価格相応か。よく写るらしいからこんなことろにケチをつけてもしょうがない。

ニコン、キヤノンにはあまり興味がないので、ほんの少ししか見ないで通り過ぎる。キヤノンに至っては、1枚も写真を撮らなかった。1DmkIIとか展示があったのだろうが、こんな大型ボディには全く、完全に興味がないのである。それで、今回の最も興味深いメーカはエプソンのブースと言うと、エプソンである。世界初のライカMマウントレンズ交換式レンジファインダー(距離計連動式)デジタルカメラ、R-D1が展示されている。既にwebでもスペックが出ているから詳細はよく知られているので省くが、使い勝手がどうかというところに興味がある。ブースの目立つ角に大きなポスターがあって、その下にボディと古今のライカマウンR-D1トレンズが展示されている。これは触ることができないが、この隣に実機を操作するコーナーがあって1台あたり数人が並んでいるという盛況ぶり。もちろん私も並ぶ。後ろから見ていると、ボディはライカやヘキサーRF、Bessa-R系に比べると大柄に見えるが、操作している人の外見上、バランスは悪く無さそうである。レンズを交換するとファインダー視野枠を切り替えなければならないとか、シャッターチャージのために巻き上げレヴァーを動かさなければならないとか、そもそも中央部1点でのマニュアルフォーカス、これがいまのデジカメ世代に理解していただけるかがちょっと心配である。まあ、こんなカメラを買うのは相当に「病の重い」人々であろうから、そこらへんのことは大丈夫なのであろうか。
順番が回ってきた。早速触らせてもらう。ボディの厚みは上手く処理されてほどほどの感じだ。レンズマウント面を少し出っ張らせて、その分CCDや電子基板部分のスペースを稼いでいる。液晶画面はひっくり返して見えないようにすることもでき、遠目にはデジタルっぽさがわからないところもなかなか面白い。本来ここは一体型にした方がスペース(厚み)上も好都合なのだろうが、それを敢えてこうしたことは驚きであり、感心した点でもある。
ファインダーは等倍(1倍)であり、これは実によく見えた。RFの現行銀塩モデルではファインダー倍率は0.6〜0.85倍程度で、だいたい0.7倍が多いのだが、これは広角レンズをR-D1基準にファインダー枠を表示するためのものである。そこを、APS-CタイプCCDを使うから画角が狭まる、それではファインダー倍率も高くしてしまえ、という発想がすばらしい。28mmレンズを着けて、フルサイズの43mm相当の画角になるわけで、人によるだろうが常用する画角としてはこれが表示されるぎりぎりの倍率というのは妥当に思われた。ただし、もっと広角を使いたいという人がいるから、外付けファインダーを発売しなければならないし、そのうち低R-D1倍率版も出して欲しい、という要望も出るだろう。そういう細かい要望にどれだけ応えられるか、が今後期待されるところである。
シャッターは巻き上げレヴァーでチャージする。チャージは予備角30度、巻き上げ角は90度で、動作は軽くて、良い感触だ。このカメラの元になっているベッサ系はフィルムも巻き上げるからちょっと重いのだが、フィルムはないから軽く巻き上がる。シャッター音は軽く、「カツン」という感じ。ベッサ系の「ジャッ」に比べると好感度が高い。昔のリコーのXR-7 MIIあたりと似ているような気がするがあれはミラーもあるし、まあこれは私のアテにならない感覚ということで。シャッター音に関しては周りがうるさいから即断は難しい。とはいえ、量販店で展示機を見ても結局うるさいわけで、買ってみないと分からないか..(買うという宣言ではありません!)
カメラ上部(クラシックカメラでは軍艦部と言ったりする)にあって目立つのは、撮影可能枚数などの表示。これが時計や車の速度メータのように、針で表示するようになっている。以前、ニコン28Ti/35Tiで使われていたようなものだ。ホワイトバランス(WB)や画質(Q)を切り替えるには、WB/Qスイッチを動かし、巻き戻しノブのようなジョグダイヤルを操作するのだが、針の動作がなかなか良かった。しかしこれを文章で表現することは難しい。カチカチと機械式の時計のような動きではなく、何か、動作の前後にほんのちょっとブレーキ感があって滑らかなのである。これは面白い感覚であった。そんなわけで、R-D1はなかなかの完成度にあって、細かい画像チューニングなどはあるとは思うが、操作感などはもう量産型に近いのではないかと思われた。ライカ系のレンズは高いから、このカメラを買う人はそんなにいそうもないものの、売れるのではないだろうか。こういう特殊な、いや個性的なカメラは銀塩でも絶えてしまった感があるから、素直に歓迎したい。

ペンタックス、ほとんど見ずペンタックスブースはほんのちょっと覗く程度。*istDは友人W君のをいつでも触ることができるし、今度出るDA14mmの試写が出来るわけでもないからとりあえずいいや、というところ。向かって右側の小さなステージで何やらパフォーマンスをしていたが、PAがうるさくてかなわない。まあ展示会とはこういうところなのであろう。
コニカミノルタはα-7D(仮称)をケース越しに見ただけ。地味な外見ではあるが、銀塩αファンにしてみれば、少なくともしばらくはαレンズが見捨てられないということが分かっただけで存在意義は大きい。そして、実際のα-7D効用はα-7Dいかほどか期待されるボディ内手ぶれ補正、これは面白そうだ。高いレンズに買い換えることなくその効果が得られれば、ボディが多少高くても納得できるだろう。ミノルタらしさはファインダーにも求めたいところだ。果たしてどんな仕上がりになって来るか。この会社のカメラを買う可能性は低いが、カメラ界の個性を広げる意味でも、ぜひ売れて欲しいと思う。あとは、ヘキサーRFの将来がどうなるか、いちユーザとして気になるのだが、怖くて聞けず。

隣はライカ社のブースだったと思うが、これはパス。もう一つ隣がトキナー、コシナ(要するにケンコー系)のブースコシナブース。コシナフォクトレンダーは何時の間にか大きなシステムと言えそういつの間にかシステムが..なラインナップになっているのは感慨深い。銀塩での新ライカ系レンズのブームは一段落した感があるが、これからエプソンのR-D1が出るから、広角〜超広角のレンズ群はまた売れ出すのではなかろうか。デジタル専用、なんてのが出たら痛快だが、それはないか..R-D1で等倍ファインダーが出たので、そのユニットを使ってBessa-R2の次が出るとか、AE版があればいいのに、と思わないでもない。
隣に戻って、ライカ社のブースはヒライカのブース、ヒマそうマそうに見えた。まあ、こういう展示会に来なくたってライカファンはライカを買うであろう。私などは一応ライカを使うわけだが、現行品でなければ絶対写真が撮れない、というわけもなく、つまり昔のモデルで事足りているわけだからわざわざブースを覗く必要もないわけだ。トリ・エルマーがもっと安ければヘキサーRF用に買うんだけどねえ。
その向かいかトキナー・コシナの向かいだったかに、シグマのブースがある。ここは、デジタルカメラ専用のDCシリーズの展示を見たくて寄ったのだが、ここも新製品のレンズでは動作するものは展示されシグマの新レンズていない。DCの18-125mm、つまりAPS-CタイプのD-SLRではフルサイズ画角相当で28-200mmのズームになるレンズは、専用設計が納得できる大きさだ。これはいい。個人的には、赤いラインが今ひとつ安っぽい色あいで、このデザインは何とかならないかと思うのだが。シグマのお買い得ラインナップはこのデザインでタムロンより野暮ったい印象があるのだが、どうだろうか。ともあれ、この高倍率ズームは、もちろん画質次第であるが、売れると思う。本当に、最近のシグマは元気がいい。

と、ここでレンズ借用の時間が終わりに近づいた。次の用事もあるし、そろそろ会場を後にする頃合いだ。それで、E-system用Zuiko Digital11-22mmF2.8-3.5の使い勝手であるが、これは便利である。人によってはズーム比が物足りないかもしれないし、最広角の画角がもっと広い方がいいと言う方もいらっしゃるだろう。オリンパス自身、今年はもっと広角側のズームを開発していると宣言しているわけだし、当面静観、という人も多かろう。私はこれみながんばってます以上広角のズームはあまり要らないが、かといって11-22mmも今すぐ必要とは思えない。考えどころである。
会場を出て、用品コーナーは全く見ずに、E-1オーナーラウンジに戻ってレンズを返却し、お茶を頂いて帰ってきた。

おわり










フォトエキスポ04 いまごろいいかげんレポート