Agfa Super Silette

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 蛇腹折り畳み式のスーパーゾリネッテの後継にあたる、レンズ固定式のコンパクトカメラである。アポター45mmF3.5(後期にはF2.8もあった)、ゾリナー45mmF3.5、ゾラゴン50mmF2が装着されたモデルがあり、ゾリネッテよりバリエーションが豊かになっている。折り畳みではない分、カメラの厚みは増えているが、この時期の他社カメラと比べてもレンズの出っ張りは抑えられていてコンパクトに見える。巻き上げがレバー式になり巻き上げは少しやりやすくなったが、レバーがボディとぴったり同じ面になっていて親指でこれを引き出すのが難しい。私は、人差し指で予備角相当を引っ張り出し、親指で巻き上げるというやり方にしている。このレバーはアンビジレッテのI型にも続いているので経験している方も多いのではないだろうか。巻き上げ・巻き戻しの重さもこのメーカならではで、フィルム周りの不安は常につきまとう。蛇腹機構がなくなりカメラ内の連動が容易になったことから、シャッターのチャージが巻き上げに連動するようになったのは大きな進歩だ。シャッターショックは少なく、作動音が静かなのでブレにも強い。所有しているモデルは後期のもので、シャッターは倍数系列で最高速は1/500秒と、より使いやすくなっている。
 現在、ゾリナー付きとゾラゴン付きの2機種を持っている。ここまで来てしまったら、アポター付きのモデルも手に入れるべきか。

 この手の50ー60年代のカメラは市場価格が非常に低いこともあり、ドイツカメラが得意な店でもあまり在庫を持っていない。そもそも、本国でもあまり流通がなく、09年に旅行したときにいろんなカメラ店でAgfaのカメラはないか、と訊いて回ったが全く見つけられなかったし、今(22年)でもeBayで数十ユーロ以内の価格がついていることもあり、売り手によっては(運送のグレード等により)送料の方が高いくらいで、国内外でそういう評価になってしまっている。そうなると、退蔵されているカメラたちは市場に出にくくなってしまうのが残念である。クラシックカメラ趣味において安いカメラ狙いの人が少なくなり、ライカなどの高級機だけが値上がりしているのは事実で、こういうカメラでも楽しみたいという層には厳しい状況になってきているようである。各部が華奢な作動感だし、丁寧に使っていこう。

ゾリナー Solinar 45mmF3.5 付き
 3群4枚、テッサータイプの非常にシャープなレンズである。少しボケはうるさい感じではある。F3.5なので暗くなると撮影機会は減るが、絞り開放から十分にシャープなので、積極的に絞り開放を使っていきたい。
 前玉回転式のフォーカシングなので、レンズユニット部分はカメラに完全に固定されレンズ先端の距離環だけが回る仕組みになっている。
 
ゾラゴン Solagon 50mmF2 付き
 4群6枚、ガウスタイプの大口径版である。このレンズは既にカラート用のものを使っていて、このカメラシリーズで改めて入手するまでもないと自分でも認識していたのだが、近年このタイプのレンズ一体式カメラの価格低下の激しさから、状態が良く非常に低価格のものを見つけてつい手を出してしまった。
 写りはもちろんカラートのレンズと同様であり、シャープなピントときれいな色合いがすばらしい。逆光に強く、暗部がつぶれない。絞り開放から安定した写りで、このレンズの優秀さを再確認した。巻き上げの重さを除けば軽快で使いやすいカメラで、明るいレンズの威力もあって撮影範囲が広い。
 このモデルは全群繰り出し式であり、シャッターを含めたレンズユニット全体が前後する仕組みになっている。
 
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