鎌倉花火に初めて行ったのは97年のことで、ちょうど岩手東芝への出向を内示された直後だったので、何となく複雑な気持ちを抱いて鎌倉に向かったことを覚えている。しかもその日は強風のため中止になってしまい、結局鎌倉で食事をして、飲み屋で飲んで帰ってくるというだけにとどまってしまったのだった。しかも、飲み屋に大切なレンズ(ライツのズミルクス50mmF1.4)を忘れて、店の人に追いかけられたという恥ずかしいこともあった。その年は10日後あたりに延期されて、平日の夜に再度鎌倉に行き、撮影自体は遂行している。それ以来、鎌倉は遠のいてしまい、昨年の梅雨のころに明月院に行っただけである。そんなわけで、久々に行ってみることにした。
最近は「8月第2火曜」という日程で固定されているとのことで、今年はそれが8月12日になる。平日の夜にやる花火大会であるから、昼間から場所取りする人は比較的少ないと予想されるが、一方それは、直前に大変な混みようになる、ということも容易に想像がつく。地元のYさんにアドヴァイスをいただき、18時に鎌倉に着いておく予定にした。出勤日だったので、夕方までは仕事である。ところが、一昨日は台風一過で晴れたのに、今日は天気が悪い。午後にはとうとう降り出してしまった。鎌倉市観光協会のwebでは「予定通り行います」の表示。不安になって電話してみたら、全然繋がらなかった。皆、考えることが同じなのだろう。しばらく待って繋がった。観光協会のおじさんは、事も無げに「やりますよ。予定通りです。」とおっしゃった。よし、それを信じて行く事にしよう。
カメラを職場に持ち込むことは機密保持上問題があるため(カメラ付き携帯電話は普及してしまっているが..)、こういう日は駅のコインロッカーにカメラと三脚を入れておくことにしている。三脚は3段なので縮長がちょいと長く、普通のロッカーだと対角線ギリギリである。従って、カメラバッグとは別に入れなければならない。無駄な出費だが、警備室前でゴタゴタすることを考えれば何ということもない。ただ一番イヤなのはこうして会社に来て「中止」と報じられること。まあ天気を恨んでも仕方ないのだが。仕事は順調、というかこの時期他の事業所も休みが多く、うちの職場も休んでいる人が圧倒的であり、フロア全体が静かで、少々ヒマである。予定より15分早く切り上げることにして、準備して帰ろうと思ったら、ミスが1件発覚。これを修正していたら予定の時刻より遅くなってしまった。コインロッカーから荷物を引っ張り出し、駅に入ったら乗る予定の列車がちょうど出て行くところだった。今回も単独行なので、誰にも迷惑を掛けないから、まあいいことにする。次の列車に乗り、大船駅に着いた。かなり混んでいる。鎌倉までは二駅なので我慢できないほどではなかった。
鎌倉には予定より10分程度遅れて1810時に着いた。見る場所は、材木座海岸と決めている。6年前もそうで、由比ガ浜に比べると、少しばかり空いているらしい。駅からメインの通りを歩くと各交差点で人が溜まってたいへん歩きにくい。花火開始に間に合わないということはあるまいが、必要以上に時間を要しそうなので、早々に裏道に逸れることにする。地図も持たずに歩いたのでいまここでどういう経路を歩いたか説明できないのだが、とにかく海の方向に歩けばいいので、曇り空で太陽は見えないが、大まかに見当をつけて歩いたら無事に海岸にたどり着いた。時刻は18時半。海岸沿い、国道134号線のところにあるお好み焼き屋(?)には予約のお客か、ゆったりと鑑賞の態勢、羨ましい。もっともお好み焼き屋でカメラを出してはレンズが汚れて後で苦労しそうだが..134号をくぐるトンネルを抜けて、海岸に出た。既にかなり埋まっているものの、前の方、波打ち際に近いところはまだまだ余裕がある。しかし砂は湿っている。後方で場所を確保したい。探すほどのこともなく、1人分あいているところを見つけ、そこに設営開始。ビニールシートなどは持ってきていないので、三脚のキャリングケースに座る。これで何とかなるものなのだ。大曲などでもずっとこのスタイル。三脚の脚は大きく広げない。下が砂なので、広げるとズルズル動いてずれてしまうのと、暗闇で子供が足を引っ掛けたりすることを防ぐためである。三脚の直下にバッグを置き、自分は左後方に座る。後方には少し余裕を持って、後ろの人から邪魔だと言われないようにする。という準備も10分程で終わり、あとは暗くなるのを待つだけだ。
放送で、なにやら観光協会の会長と市長の挨拶があったようだが、遠くてほとんど聞こえず。アナウンスで「5・4・3・2・1」とカウントダウンしたらゼロに合わせてオープニングの花火が打ちあがった。ぴったりだった。
ここらで花火の写真を並べておこう。
今回は35mm判はフジ Sensia III、645判はコダックE100Gを使用した。「645判」代替テキストが出る写真は、大型の写真がリンクされている。
645判











645判645判










鎌倉と言えば水中花火だ。ボートから火の着いた玉を落とすのでやる方は大変だろうが、これは迫力がある。下のうち左2枚の写真は大きさを3段階に設定したので、時間と回線に余裕のある方は大きい画像も見ていただけると幸いである。








ただ、この花火大会は2900発と、それほど多くは無い。東京湾のように間断なく上がるのをイメージして行くと、「ヒマだなぁ」と思うことになろう。風があって涼しく、今回も風上に居たので煙の問題はほぼ皆無だった(途中、無風で煙の中に何発か上がってしまったが)。それと、6年前に比べると水中花火以外の玉が単調に見えてしまった。予算が減ったのか、あるいは私がトシを取って花火慣れしてしまったのか、それは分からないが、ほんの少し期待を下回ったことは否めない。
フィナーレは水中と通常の2種類を同時に上げる。これは盛り上がる。しかし、興奮してしまい、あまり良いものは撮れなかった。アマチュアなので、写真より花火そのものが楽しめればそれで良いのだと思うことにする。
645判645判







20時25分ごろだったか、予定通り終了。撤収は東京湾より早く済ませる。三脚をあまり広げていないので片付けは簡単だ。片付けて、海岸を出るころに雨が降り出した。偶然とはいえ、出来すぎの天気であった。
それはともかく、問題は海岸の出口で、国道134号をくぐるトンネルが非常に込み合う。ほとんど牛歩で、狭いトンネル内は人々の熱で倒れそうなくらいである。従って、トンネルを抜けてすぐ左に階段を上がり、これまたメインの通りに行く前に右折して民家の間をすり抜けるように裏道を歩き、行きと同じ道路に出た。地元の人にしてみれば、ざわざわとうるさいことだろうが、大目にみていただくしかない(家の中を通るわけではないので..)。
駅前の本屋のところから駅に左折すると、フェンスが設置され、人の流れが一定に誘導されていた。ここらは東京湾に比べれば断然よく出来ていて、安心して歩けた。駅前で一旦入場制限がなされ(鎌倉警察署の人が高台からロープで堰き止めていた)、改札はsuicaでさっと抜けて、駅構内でもう一度入場制限を経てからホームに上がった。アナウンスが激しく「ホームの逗子側・大船側に」と言うのに中央付近に固まる群集。誰もが自分だけは大丈夫と思っているのだろう。こんなところに居ると疲れるので、ちょうど来た逗子行きに乗り込み、逗子で折り返してきた。大船−逗子間で臨時列車がピストン輸送しているのだ。大船からは東海道線で、これは全く混んでいなかったので快適。横須賀線の横浜駅などはけっこう混んでいて大変そうに見えた。

[まとめ]
鎌倉花火の良いところは、砂浜で座って見られること(地面が軟らかく比較的、楽である)。障害物がないので、皆が公平に見られること、どこで見ても距離が概ね等しい、などが挙げられる。街中が広いわけではないので、車で行くのは根性が要るだろう。交通機関は限られ、人の集中も激しいが、それだけに流れを整理する方も手馴れた感じがした。


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03年8月12日 鎌倉 (鎌倉花火)
(拡大する写真には枠が付いています)