管理人の独り言
05年1月-3月
★05年3月17日
演奏会形式のオペラ、というものに行ってきました。ベートーヴェンの「フィデリオ」の1806年版、「レオノーレ」の日本初演です。
ベートーヴェン/歌劇「レオノーレ」(1806年版)
ドン・フェルナンド(大臣):塩入 功司(Br)
ドン・ピツァロ(監獄所長):ハルトムート・ヴェルカー(Bs-Br)
フロレスタン(無実の政治犯):ヴォルフガング・シュヴァニンガー(Ten)
レオノーレ(フロレスタンの妻)・フィデリオ(男装して監獄で働くレオノーレ):マニュエラ・ウール(Sop)
ロッコ(看守):ヨルグ・シモン(Bs)
マルツェリーネ(ロッコの娘):三宅 理恵(Sop)
ヤキーノ(門番):吉田 浩之(Ten)
合唱:東京オペラシンガーズ
演出:三浦 安浩
クリスティアン・アルミンク指揮 新日本フィルハーモニー
最終版とされる「フィデリオ」も舞台を見たことがないのに、その前のVerを見て違いが分かるわけもないので、そこらへんの話はやめておきましょう。事前に、序曲は「レオノーレ第2」という話を聞いていたのですが、どう聞いても「第3」だったような気がします。まあこの程度の認識なんで、Verの話をする資格はないですね。さて、あらすじはもう有名なんですけどとりあえず書いておくと、
「フロレスタンはピツァロの不正を暴いたために政治犯として監獄に幽閉されている。フロレスタンの妻レオノーレは男装してフィデリオと名乗り、監獄で働いている。そのまじめな働きぶりに、看守のロッコもその娘のマルツェリーネも好意を寄せている。マルティリーネは以前から門番ヤキーノから言い寄られているが、軽いヤキーノよりもまじめなフィデリオの方が好きらしい。一方、監獄所長ピツァロは大臣フェルナンドの査察が近いという情報を得て、この際収監しているフロレスタンを亡き者にしてしまおうと決意する。地下にフロレスタンを埋める穴を掘れと命じられたロッコは、まじめで口が堅いであろうフィデリオに穴掘りを手伝わせる。レオノーレは自分の夫の墓穴を掘る手伝いをするのだ。穴が出来て、ピツァロがフロレスタンを殺そうと短剣を出したとき、フィデリオが名乗りを上げ間に入り、拳銃を突きつける。すわ惨事かとそのとき、大臣の到着を知らせるラッパ(序曲中間部にも現れる例のやつ)が鳴り響き、ピツァロは地上に戻る。ロッコに拳銃を取られ全てが終わりかと絶望するレオノーレ。やがて地上から「復讐だ、復讐だ」と合唱が聞こえ、フロレスタンとレオノーレは死を覚悟するが、民衆を率いて現れたのは大臣フェルナンドで、幽閉されていた友人フロレスタンを救出し、ピツァロの不正を断罪する。最後に全員合唱でレオノーレの愛と勇気を讃える。」
..と、長くなってしまいましたが。会場では演奏会形式とは言いつつオケの周りに歌い手が歩き回るセットが組まれていて、左の手前には独房をイメージする直方体の枠が置かれています。開演前から1幕終了まで、ここに人がじっとして座っていました(ソリストではなく代役でした)。周囲のセットは工事現場のような足場で、黒・黄色のトラテープが巻かれ、赤いカラーコーンが置かれています。所長と衛兵は暴力団の組長と団員といった感じ、看守と娘は普通の父と娘という服装。工事現場のイメージなので、ヘルメットをかぶったりするあたりは最初少々違和感を感じました。最初に、フィデリオが置き忘れたヘルメットをマルツェリーネが愛しく撫でるシーンなどはちょっと危ない感じが。囚われているフロレスタンと看守と所長が皆黒っぽいスーツなので、ちょっと暗めの舞台では区別が付きにくい..フロレスタンはテノールだからまだいいものの、他は声域が近すぎて分かりにくいですね。ドイツ語が分かれば区別が付くのでしょうけど。それより、最後に御登場の大臣の塩入さん、新郎かと見紛うばかりの純白のスーツ(白手袋はまとめて片手に持っていれば完璧..)。何だか、これは正義の味方というより対抗勢力の暴力団じゃないかと..で、民衆は、この「レオノーレ」初演企画のTシャツを着て客席後方から現れるのですが、これが赤・白・青のトリコロールで、舞台上でだんだん三色旗になる位置に居場所を変えるという細かさ。フランスとは直接関係ないでしょうが、自由・平等・博愛で最後をまとめたということでしょうか(一応台本の元になったのはフランスの戯曲ですが)。限られた空間ながら、演出はおもしろくやっていたと思いました。
歌ですが、これはマニュエラ・ウールさんが最高。全合唱の真ん中にいても、声がよく飛んできます。外国人勢は概して上手かったかと思います。マルチェリーネの三宅さんは若手のようで、まだ経験が浅いかな、という感じもしますが、物事を深く考えていない小娘役という感じはよく出ていました(ご本人がそうだという訳では全くありません)。前半でストーリーの前提説明を長くやるので、フロレスタンや大臣は全く出番がなく、若干単調な感は否めませんが、演出で助けられていたかな。私は、ベートーヴェンだし、題材が題材だから深刻で悲劇的な歌ばかりかと思っていたら、モーツァルト的なノリの曲もあって、なかなか面白く仕上がっていると感じました。途中でホルンの超絶技巧の3重奏が出てくるあたりは、交響曲第3番のスケルツォ風というか、こっちの方がずっと難易度高いか。チェロのアンサンブルなどもあってこれも良かった。演奏は、新日だけあって安定して上手かったと思います。指揮のアルミンクさんはてきぱきと動いていたし、緩急・強弱の切り替えが素早くオケに伝わっていて素晴らしい演奏をしていたと思いました。
演奏会形式とはいっても、演出が凝っていて、良かった。どうしても常設のオペラというのは、わが国では採算が合わないようですけど、こういう簡易な舞台セットでも、十分楽しめました。今後もこういう企画に積極的に足を運ぼうかと思います。
★05年3月12日
アクセス数が7万を超えました。誠にありがとうございます。ここのところ割とアップ頻度を上げているつもりではありますが、維持できるようにがんばりたいと思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。
ところで、先日発売された米谷美久著「一眼レフ戦争とOMの挑戦」という本を買いました。カメラに興味のない方にはなんとも訳の分からないタイトル、内容でしょうけど、これは60年代から始まった一眼レフカメラの新製品ラッシュに、後発のオリンパスが72年からM-1(後にOM-1)で参戦することを設計者の立場から書いたものです。OMシリーズは発売当初、カタログ性能自体は他社の性能を上回るものではありませんでしたが、当時、大きく、重く、うるさいというのが常識だった一眼レフを一気に小型化し、シャッターショックも軽減した上で、操作部は大きく作って使い勝手を両立したという意味で画期的なものになりました。私は発売時に5歳ですから当時のカメラのことは知らず、後に親のOM-1からカメラにのめりこむことになるわけですが、OM-1のスマートさはその後の長いつきあいの中でも色褪せることなく、今もOMシリーズで楽しんでおります。OMの開発経緯で今ではもうあまり無いと思うのは、システムを揃えるために5年近くの時間をかけているということ。今の製品サイクルではこんな開発期間は許されないと思われますが、しかしそれゆえに小手先の改良や数値スペックだけを前面に出して価格を維持するという製品ラッシュになってしまうわけです。でもまあ、他社のマネでは意味がない、なんていう開発者は今時いないんでしょうね。うちの業界だってなかなか新機軸というものは出ていないし..さておき、開発期間はともかく、他社と違ったところに目を着けてアピールするという点で、まだ先人に学ぶべきところはあると思うのです。フジのFinepix
F10あたりは、その点独自色を出してきて期待が持てますね。最近流行りの高画素や手ぶれ補正ではなく、高感度撮影での画質を追求しているのです。最近は撮像素子が小さいままに画素数を上げて、解像感はあまりアップしない、写真1枚あたりの容量は大きくなって扱いに困る、受光素子が小さくなって感度は下がる一方。コンパクトデジカメではISO64なんていう感度になっているわけです。つい最近まで、コンパクトカメラを使うユーザ層はISO400、800というクラスを常用していたのに、それがISO64なんていうのは退化していると言われても仕方ないでしょう。ちなみに、フジがISO64のネガを出したのが1963年、時代が違いすぎて比較にならないですが..それで、昨年松下は手ぶれ補正という特徴で躍進したわけです。しかし手ぶれ補正をしても被写体が動いてはやっぱり像は止まらないわけですから、暗いところは高感度で撮る、というのは正当な対処法なのです。こういうところが消費者にも広く浸透すると良いのですが。どんな売れ行きになるか楽しみです。
★05年3月8日
しばらく大型の記事アップをしていませんでしたが、海外旅行記にペルー編をアップ開始しました。毎週アップしても14週間かかります。どうか気長にお付き合い下さい。9月のタンザニア、今回のペルーと、2回連続で南半球への旅となりました。両方とも、飛行機に乗る時間が長くて難儀しましたが、特にペルーは長かったですね。エミレーツに比べるとコンチネンタルは座席があんまりよくないというのもありましたが。ともあれ、いろいろと良い経験をしたので、今でも記憶は鮮明です。なるべく忘れないうちに記事を進めておきたいと考えています。
★05年2月26日
昼に、京王百草園というところで梅を見て来ました。かなり寒かったので撮影していると手が痛くなるほどでしたが、マミヤC220fは大きいカメラではありますが取り回しがなかなか良いので快調に撮影できました。撮影結果は別途アップする予定です。梅はまだ7分咲きというところで、まだまだ楽しめると思います。百草園は梅園ではなくて庭園という感じなので一面梅だらけ、ではありませんが良いところです。いずれ湯河原の幕山公園か分倍河原あたりの梅も見たいですね。
百草園の後、アマチュアオーケストラの演奏会に行きました。
フライハイト交響楽団 第18回定期演奏会
東京オペラシティ コンサートホール
指揮:井崎 正浩(崎は字が違いますが変換が出ないのでご容赦)
シベリウス/交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
プロコフィエフ/交響曲第5番 変ロ長調 Op.100
クラリネットに知人がいて、演奏会を何度か聴いています。今回はオペラシティということで大ホールは久しぶりなので楽しみにしていました。それと、プロコフィエフの交響曲第5番は好きな曲なのです。客席は7割以上埋まっていて動員力があるオケです。1階席の後方で、若干弦楽器の厚みが感じられないのは残念ですが、ホールの天井が高く、響きは良好なんですがどうも強奏での弦楽器の迫力が今ひとつ届かない印象でした。まあオケではなくてホールの特性でしょう。管楽器は各楽器の分離がよく鮮明に聞こえました。シベリウスはいささか難解な曲で、流れが掴み切れないところがあって、オケ側も何となく得意そうでないような感じ..シベリウスらしい雰囲気は出ていたし、、弦楽器の弱音などはよくまとまっていましたが。この上手いオケにしてこうなので、私の所属オケじゃ大変なことになりそうですな。TrpはC管使って低いFの音を無理に出そうとしてましたがまあ無理ですそれは。そこだけでもB管持ってくればいいのに。
休憩して、後半がプロコフィエフです。特に2楽章、4楽章が好きで、楽しめました。この曲も決して簡単ではないのですが、前半に比べると出来が随分良いように思われました。管楽器は名手揃いですねぇ。ホルンはちょっとアレだったけど。この曲の両端楽章でもホールの特性からか、オケのトゥッティ(全楽器が演奏すること)では管楽器優勢に聞こえてしまいそれは残念でした。2階席だと弦がよく聞こえたのかな。でも良い演奏で、拍手が盛大に、長く鳴り響きました。アンコールはシベリウスの悲しきワルツ。シベリウスで締めたか。もう一曲、「3つのオレンジへの恋」の行進曲でもやればもっと盛り上がったのではないかと思いましたが、好みを押し付けてはいけませんな。
良い演奏会でした。東芝フィルのW君夫妻とアイリッシュパブで、楽しく飲みました。ここのパブは、演奏会のチケットを提示すると20%引きになるのですね。これは新発見。注文の都度チケットは回収されてしまうので、まとめてたくさん頼むことになり、ひょっとすると結局多く金を落としているのかも知れませんが(笑)。
★05年2月25日
タンザニア・UAEの旅行記が完成しました。10月中旬から既に4ヵ月半、長々と書き連ねてしまい果たして皆様全部読まれているか、甚だ心もとない出来ではあります..来週からはいよいよペルー編が始まります。こちらもお楽しみ下さい。なるべく頻繁にアップしますので..
★05年2月24日
行ってきました、松屋の中古カメラ市。とはいえ、会場で買ったのはわずかで、実際には新橋の大庭でマミヤC220f、セコール105mmF3.5DS付きを手に入れました。このカメラはマミヤ(現マミヤ・オーピー)が世界で唯一のレンズ交換式2眼レフとして長らく販売していたものの、ほぼ最終モデルです。以前、これの前モデルであるC220に80mm、65mm、55mmと広角レンズを揃えて撮っていたのですが、もろもろの資金調達のために売ってしまいました。しかしこのシリーズのカメラは実によく写る上に、ローライなど海外製2眼レフに比べて安価、しかもレンズ交換式という独創性がたまらない魅力を放っているのです。というわけで久々に復帰したわけです。今後、55mmあたりも入手しようと思っています。しばらくは6×6判を使うことにします。各種フードやパラメンダーなどもオークションで入手しているので、中判の中心機種になりそうです。
★05年2月19日
オルガンのリサイタルというものに行ってきました。
オリヴィエ・ラトリー オルガン リサイタル
ミューザ川崎シンフォニーホール
J.S.バッハ/プレリュードとフーガ 変ホ長調 BWV552
フランク/コラール第2番 ロ短調
ジグー/スケルツォ
ヴィエルヌ/交響曲第2番より フィナーレ
−−
ラングレー/テーマと変奏曲
デュリュフレ/スケルツォ
メシアン/「栄光の御体」より「栄光に輝く御体の喜びと明るさ」
エスケシュ/2つの詩曲 「生まれた水」 「希望に向かって」
パリ、ノートルダム寺院のオルガニストで、世界屈指の方なんだそうですが、私はこの人について全く予備知識なく演奏会に行きました。こういうのも良いもので、わくわくします。そもそもオルガンのリサイタルというのが初体験なのです。オルガンの音はもちろん聴いたことはあるし、宮城県の中新田でちょこっと弾いた(遊んだ)こともあるのですけど、ひたすら最初から最後までオルガンだけを聴くというコンサートは楽しみでもあり、ひょっとすると飽きてしまわないか、という不安もありました。その不安は全くの杞憂で、非常に楽しめる、良い演奏会であったと思います。
前半は比較的トラディショナルなオルガン曲、という感じでした。パイプオルガンは途中で音色を変えたりするために一瞬休止が入ったりして、曲を知らないと「あ、これって終わりか?あるいは続くのか?」と迷ったりする場面もあります。一応私は聴いて調性が分かるので、曲で提示された調性に行って終止したと感じるまではとりあえず拍手をしないで済みましたが、止まるのはちょっと怖いです。3曲目のスケルツォは前の2曲より極端に短くて、客席の誰も拍手が出来ないまま4曲目に入ってしまいました。ラトリーさん、気まずい思いをしたかも知れません。
後半は一転して現代曲、しかしこれが非常に面白い。パイプオルガンという、何となく宗教めいたイメージで見られる楽器が、これほど多彩なサウンドを出すのかと驚きました。巧妙な選曲であり、演奏でありました。両手両足それぞれが別の生き物のように動き回り、4段の鍵盤にそれぞれ割り当てられた音を切り替えながら、実に見事に弾きこなしていました。そして、エスケシュの後にはお得意の(解説に書いてあったので)即興演奏です。最後の曲で搭乗した譜めくりの女性が一枚の譜面を新たに渡し、それを弾いて、そこからヴァリエーションを作っていくのです。テーマは小学唱歌「春の小川」。この簡単なメロディがあれよあれよと言う間に、どんどん大きくなって、いやー、ちょっと雄大過ぎて途中疲れてしまうくらいに大きな曲になって、最後は輝かしいニ長調の和音を轟かせて終わりました。即興演奏ではあるものの、何かしら規則のようなものがあって、ニ長調で終わるのではないかと思ったらその通りになりました。とにかく、これをその場で考えて進めていくというのは尋常でない技であることは確かで、満場の拍手を浴びていました。アンコールの応えて、もう一つ即興をやりましたが、今度はチャイム(学校の始業・終業流れるような)の音をモチーフにして、これまた楽しい1曲をやってくれました。まあ、チャイムですからこれで終わり、という意味もあったのかも知れません。本当に楽しい演奏会でした。こういう世界があることを知らずにいましたが、今後も聴いてみたいと思います。
★05年2月14日
3年ぶりにスキーに行ってきました。会津地方のアルツ磐梯スキー場です。3年前にスキー場に行ったときから既にブームは下火であまり混雑しなくなっていましたが、今回もそれほどリフト待ちもなく、快適に滑ることができました。あ、私は初級者もいいところなので滑り自体は快適じゃないのですが(笑)。上の方は風が強くて寒く、カメラの絞りが動かなくなることも。何枚か撮って露出over続出するまで気付きませんでした。2日目からはカメラバッグにカイロを入れて対処しました。泊まったのは民宿で、夕ご飯がとにかく大量。出たものは食べてしまう私はやっぱり全部食べてしまい、体重が増えてしまいました。せっかくまとまった時間運動しているのに..
旅行記の更新はまたちょっと止まっていますが、もう少し時間をいただければ、と思います。月末にはタンザニアと並行でペルーも始めたいと考えています。
★05年2月8日
今日もコンサートに行ってきました。東芝グランドコンサートの招待公演日のモニターです。
東芝グランドコンサート サントリーホール
ヒュー・ウォルフ指揮
フランクフルト放送交響楽団
ヴァイオリン独奏:諏訪内 晶子
ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
マーラー/交響曲第1番 ニ長調
偶然2週連続でモニターのチケットが入手でき、今週も聴くことができました。提供者のKM君に感謝。席はP席で、オーケストラの後方、舞台に向かって左側のコントラバスのすぐ後ろです。
ベートーヴェンでは、例によってトランペットとホルンがナチュラル楽器を持って入場しました。ティンパニはマーラーで2組を使うため既にスペースがないと判断したのか、小さいものではなく通常のペダルティンパニです。この曲の冒頭に、実音ファの音の強い音があるのですが、これは現代楽器でもちょっとビビる怖いところなのですが(私だけか?)、ナチュラル楽器では管が長いので高い音の確実性という点ではより厳しいため、舞台袖はもちろん、舞台に上がってからも最初の音の練習をしていました。その音の柔らかさ、明るい響きはなかなか良いものがあります。上手い人はナチュラルでも上手い、ああ今日も当たり前のことを再認識しました。管が長い短いなんて、言っているうちはダメなんだなぁ。と、演奏が始まりました。かなり快速テンポです。ゆっくり重厚というより、キレ重視の演奏ですかね。P席なので、ホルンの音が少々大きく聞こえるのですが、この人たちは音の頭が若干プルンプルンしていました。でも、これも明るくて金属的な音が昔の金管、という感じで良いです。上の記譜ファの音では閉止音(右手でベルの中をふさぐ)を使うので、トランペットより特徴的です。音楽は大きなうねりを経て、最後のエグモントを讃える明るい部分になりますが、金管楽器と弦楽器のバランスが通常より弦重視に聞こえるのはナチュラル楽器のよい所でしょう。
協奏曲は諏訪内さんという有名人を得て、客席の熱気が増したようにも思われました。ただ、私のいた席ではE線(ヴァイオリンの一番高い弦)の音しかまともには聞こえて来なくて、あとはG線(一番低い)の大きな音のところくらいかな、いずれにしてもP席はコンチェルトには向きません。これで先週の村治さんだとどうなっていたことか。音楽は、私見ですが若干単調な気もしました。2楽章はけっこう歌いこんでいたとは思いましたが。3楽章は軽く、速く、そして着実に進み最後は盛り上がりました。拍手が殊のほか長く、何度も舞台に呼び戻されていました。なお、正面の席で聴いた人によると、諏訪内さんの音はたいへん大きく聞こえたそうです。ちと悔しい。
マーラーは7本のホルンが我々の左前にいるので、こりゃうるさいかも、と思っていたらそうでもなく、それはなぜかというと、7人がよく音質・タイミングとも合っていて全然耳障りな音質でない、というところが大きかったと思います。いやー、うちのオーケストラでもこうあって欲しいですが..トランペットは4人で、アシスタントは付けずに4人でやっていました。P席なので直接音は聞こえませんが、相当にがんばっていたようで、1番の人は若干音が長めですが甘くてきれいな音を出していました。静かなようでよく聞こえている、これは立ち上がりが良いからでしょう。自分もそうありたいものです。ヴァイオリンの対向(両翼)配置も効果的で、1stと2ndが違うことをやっていてもそれぞれがよく聞こえて、実におもしろかった。アマチュアではほとんどこういう配置を見かけませんが、一度やってみたいものです。4楽章最後にはホルンの7人と、アシスタント(オプション)のトロンボーンが1人、立奏しました。本当はこれにトランペットが1人加わるのがオプションの正式版なんですが、ホルンはこの最後の最後でも音の乱れはなく、トランペットの加勢は不要でした。それに対抗して座って吹いているトランペットの対旋律もしっかり聞こえてきて、ポリフォニックで迫力満点の演奏であったと思います。
アンコールはワーグナー、ローエングリンの3幕への前奏曲。ホルンは7人全員でやっているし、ティンパニもマーラーのままの2組、トロンボーン以下金管も一歩間違えば下品と言われそうなほどの音量でしたが、それもほんの少し手前で自制が効いていて素晴らしかったです。こんな演奏、してみたい..
★05年2月6日
久々に写真側のアップをたくさんしました。オリンパス ぺンFというハーフサイズ一眼レフの写真をいくつかまとめてアップしています。ハーフサイズとは、35mmフィルムの映画の1コマに近いサイズの画像を得る形式で、ハーフというよりシングルフレームと言うのが分かりやすいかも知れません。いまのフルサイズというのは、ドイツのエルンスト・ライツ社がライカを出すときに映画の2コマ分を1コマとして使い、それがスティルカメラの画像サイズとして定着したもので、ハーフサイズとはそこから半分ということでこの呼び名になったわけです。発売当時、オリンパスでは元々ハーフじゃないんだ、というつもりで「ペンサイズ」と呼んでいたわけですが、まあそこまで言わなくてもハーフでも意味は通じるでしょう。このサイズでは、フィルムを横に送ると、縦長の画像がフィルム上に定着します。カメラも(一部を除いて)縦型のファインダーになります。横長の風景などを撮るにはカメラを持ち替えなければなりませんが、人物像など、縦長画面を撮るのは楽です。それに、このカメラを使っていると、縦長画面に慣れて、違和感がなくなってつい縦長写真が多くなりますね。アップした画像もほとんどが縦長です。2コマ分で今のフルサイズなので、36枚撮りフィルムで72枚撮れるということになり、あまり撮らない人は1年中の景色が写っていたり、ということになるのですが、それもまた面白いです。私も一時期そうだったのですが、ここ最近は1-2週で1本を守って、すぐに現像に出しています。ハーフはフィルム上の画面の面積が半分ですから、フルに比較すると大きく伸ばすには不向きなのですが、いまのフィルムは優秀なので、相当大きな引き伸ばしにも耐えます。またPen-Fのレンズがシャープなんです。露出はカンで、何枚も撮れる気軽さを生かして、ポンポン撮り歩いています。久々に、気楽に撮ることができました。これからも長く使って行きたいカメラの一つです。
★05年2月5日
横浜市立芹が谷南小学校というところで「ふれあい音楽祭」というのがあって、港南区ひまわり管弦楽団も参加しました。普段練習している拠点に近い学校なのです。生徒の合唱、PTAの合唱、そして我々の演奏のあと、芹が谷中学校のブラスバンドの演奏と、なかなか盛りだくさんのプログラムです。我々の演奏は木管5重奏、弦楽合奏、オーケストラという風に3つに分けてやったのですが、なんと木管と弦楽で同じ曲が選ばれていたり、連絡の悪さがちょっとアレですね。その曲は「千と千尋の神隠し」から「いつも何度でも」なのですが、これが木管と弦楽で連続して並んでいるのです。そこで、弦楽の演奏のときに指揮のFIさんがアドリブで「これから同じ曲をこの人たち(弦楽器)が演奏します。あとでどっちが良いか聞きますから、よく聴いておいて下さい」と言ったので、子供たちもまじめに聴いていてくれて、FIさんの質問には弦楽器の方がいい、と多く手が挙がっていました。後で演奏した方が印象に残るのかも知れませんが。
オーケストラの演奏は「世界がひとつになるまで」と「翼をください」で、これは事前に放送で生徒も一緒に歌うことになっていました。「翼・・」では、編曲の都合で1番のところが旋律ナシなので、急遽私がソロを吹くことになっていたのですが、果たして生徒たちはどのくらいの声を出してくれるのか、やってみないとわからないから、音量の設定をどうしようかと直前まで考えていました。1曲目の「世界・・」をやっていると、どうやらサビの部分で元気になるようです。となれば「翼・・」でもそういう設定でやればいいのか。よし、それで行こう、と2曲目に臨みます。指揮のFIさんがこちらを指差して私を立たせました。合奏している中、一人立奏なんて高校以来だからもう20年以上やっていません。でも、この曲は音も高くないし難易度は問題ないので落ち着いて演奏することが出来ました。予想通り、サビの部分で突然元気になるので、それに合わせて大きく吹きました。うまく行ったと(自分では)思っています。
たかだか2曲、10分くらいの演奏でしたが楽しく出来ました。こういう地域密着の演奏も良いものです。
★05年2月1日
コンサートに行ってきました。東芝グランドコンサートの招待公演日のモニターです。
東芝グランドコンサート サントリーホール
ヒュー・ウォルフ指揮
フランクフルト放送交響楽団
ギター独奏:村治 佳織
ハイドン/交響曲第88番 ト長調
アーノルド/ギター協奏曲
シューベルト/交響曲第9(8)番 ハ長調
3曲目のシューベルトは、元々はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番だったのですが、ソリストのエレーヌ・グリモーさんの急病のため、シューベルトに変わったものです。元々この組み合わせの公演もあるので、曲の準備自体には問題はないでしょう。
さて、ハイドンの88番で驚いたのは、トランペットとホルンが古楽器(ヴァルヴなしのナチュラル楽器)を持って入場してきたことです。ティンパニが古いものと新しいものを2組並べていたのは11月のベルリンフィルでもやっていましたが、ここの指揮者は金管楽器に持ち替えを要求したわけです。ナチュラルトランペットは今の楽器の概ね倍の長さを持ち、それゆえに音の立ち上がりは今ほど明確ではなく、大きな音も出にくいものです。だから、オーケストラのバランスを優先してナチュラル楽器を使うという選択は間違ってはいないのですが、それには、他の楽器も古楽器である方がより良いのです。弦楽器や木管も現代楽器は改良され、音が大きくなっているからです。その点、弦や木管がそのままの今日の編成はちょっと中途半端な感もあります。ま、上手い人はナチュラル楽器を使っても十分に良い音を出すので心配する必要はないのですが。そして、この日もその通り、適切なバランスで、発音もなかなかしっかりと演奏していました。私もナチュラルトランペットを持っていますが、ああは思い切れないですね。それはともかく、弦楽器も木管楽器も非常にていねいに、表情としての強弱や他の楽器とのバランスを常に気にしながら演奏していて、スッキリ、いろいろなところが見通せる良い演奏だったと思いました。
アーノルドは英国の現代作曲家で、曲は現代(ジャズ)と古い旋律を行ったり来たりするのですがこれが大変面白く、身を乗り出して聴くほど楽しませてもらいました。村治さんは3楽章最初で1回だけちょっとへんな音を出したような気がしますが、後は完璧で、何より旋律が歌を聴いているような自然な流れであったり、オケへの合いの手だったり、変幻自在な演奏には感心しきり。村治さんと言えばもう有名な人ですが、10年以上前、NHKのFMで聴いたときの印象が強烈でした。途中から演奏を聴いて、とてつもなく上手いギターだな、と思っていたら、演奏が終わって「今日はスタジオに村治佳織さんにお越しいただいています」と紹介されて話を始めた村治さん、たぶんこのころ中学2年生、話しっぷりはごく普通の中学生といった感じで、演奏の成熟とのギャップに大いに驚いたものでした。今はすらりとした長身ですっかり大人ですが(当たり前か)。
メインのシューベルトは極めて速い演奏でした。しかし感心したのは、速くても音のダイナミクスの広さは十分以上に強調され、テンポも不必要に揺れたりしないし、確固たる演奏スタイルがあって実に小気味良い演奏になっていたと思います。2楽章の情感も十分にあって(オーボエやトロンボーンがとにかく上手い)、曲全体のバランスもよく出来ていたと感じました。アンコールはモーツァルトのフィガロの結婚序曲、これも速いですが乱れることもなく完璧。もう1曲アンコールを用意していたようですがお客のノリがそれほどでもないと判断したのか、指揮者はやらない方を選択して演奏会は終わりました。
終演後、会場で会った知り合いの人たちと近くで飲んで帰りました。演奏が良いと皆との会話も弾みます。良い一日でした。
★05年1月31日
タンザニアの旅行記、9日目をアップしました。終盤にさしかかっています。既にタンザニアではなくUAEになっていますが。1月は珍しく3回アップして、さらに10日目もかなり書いているので、2月中にペルー編が始められそうです。仕事はトラブル続きですがそんなに拘束はされていませんから何とかこのペースで毎週更新したいと考えています。
★05年1月26日
土曜日にタンザニアの話をして、それが良い刺激になったのか、月曜から文章を書き始め、今日、写真の選定も終えて第8日の記事をアップしました。やり始めると早いんですが、なかなか始めないんですなこれが。この勢いで、9日目もさっさと書き上げようと思います。目標は今週末のアップ。もう終わり近いので、ペースを上げて一気に仕上げて、ペルー編に突入したいと考えています。そういえば写真関係の記事はすっかり中断しているので、いくつかこれも手を入れたいところであります。
★05年1月23日
土曜日に、結婚式のときにお世話になったA君夫妻をお招きしての宴を開催し、久々にたくさん飲みました。そのときにペルーとタンザニアの写真を見せてレヴューしたのですが、それでwebの方も更新しなくては、と思うのですがなかなか時間がありません。来週も予定びっちりだしな..ここのところ週末は忙しいのに加えて天気も良くなかったりで、写真も思うように撮れずストレスが溜まっています。まあ写真ごときでイライラしても仕方ないので、しばらくは我慢しているつもりではあります。今日は3時間ほどヒマが出来たので新宿で中古カメラ店を巡り、いろいろと見せてもらいましたが買い物はせず。でもこれだけでも気分が晴れる、などと言っていると変人ですな。いやもうその通りかも..最近は、オリンパスPenSか、マミヤのC220あたりを再び買おうかと探しているのですがなかなか良いものがないです。PenSは今も持っていますが故障していて、C220は以前持っていたものを広角レンズ2本を付けてセットで売ってしまい、これは大変後悔しました。来月の松屋(中古カメラ市)でまた探すかな。
今日は港南区ひまわり管弦楽団でベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」抜粋、モーツァルト「魔笛」序曲の練習。いずれも初練習だったのでテンポを非常に遅く設定して練習していましたが、普段聴いている音楽とかけ離れたテンポなので曲の流れが分かりにくくて難儀しました。でも、テンポは最初にいいかげんにやると精度悪いまま本番になだれ込むことになってしまうので、こういう練習も致し方ないですね。徐々にテンポを上げて行くことになるでしょう。なお、上記の2曲は私がトランペットの1stを担当しますが、ここ最近は1stパートをやっていなかったのでちょっと新鮮でした。最後にはお腹が減ってパワーが落ちてしまいました..
★05年1月14日
ヨドバシの店頭に、なんと、「ニコンSP復刻」の紙が。驚きました。以前S3の復刻をして、大変なバックオーダを抱え、挙句には余って、その後ブラックペイントを出したり、ああいう復刻事業はあれで終わりかと思っていたらより難しいSPとは。今度は2500台と数を区切り、予約多数の場合は抽選だそうです。銀塩の退潮著しい昨今ですが、ニコン人気は根強いでしょうから多分売れるのではないかと思います。価格は69万円だそうで、35mmF1.8レンズ付き。中古で買えばこのセットは30-40万円(シルバーボディで)くらいかと思いますから、69万円でブラックボディの新品ならお買い得、と言えるかも知れません。まあ、絶対値としてはとんでもなく高いことは事実なんですが、この手のレンジファインダ機というものは他には代わりが得られないものですし、デジタルカメラのように毎年新製品が出て購買欲を煽るものでもありません。だから、欲しい人は価格の絶対値など関係なく買ってしまうでしょう。私は幸いニコンとRFコンタックス系には陰性なので、これを買うことはないのですが、周りには欲しいと思う人もいると思います。ね、T君?
しかし、ツァイスイコン(ライカMタイプのカメラを発売予定)といい、これといい、銀塩の趣味性の高い分野というのはまだけっこう需要があるのでしょうか。あれだけライカやコンタックスの中古が行き渡っていて、ヘキサーRFやコシナのベッサシリーズがたくさん出て、それでもまだ超高級の分野では新製品が出るわけです。カメラ好きの病というのはなかなか直らないものなんですね。
★05年1月12日
ペルーの興奮冷めやらぬうちではありますが、タンザニアの旅行記7日目をアップしました。写真を見ているといろいろと思い出されるので、書き始めると予想よりは早く出来ました。掲載ペースについてはいろいろと叱咤激励をいただいておりまして、これからは若干でも早められるようにしたいと考えています。
★05年1月8日
明けましておめでとうございます。もう8日ですが。
1月6日夜にペルーから帰国しました。この旅行の模様はタンザニアが終わってからになるので相当後からになってしまいますがご了承下さい。面白かった。また行きたい。ただ、私は現地の衛生事情に負けて帰国便で熱を出しました。同行者Sはなんともならなかったんですが..まあSはガンジス川で泳ぐような人なんで大丈夫なんでしょうが。
帰国後、仕事で急展開がありまた忙しい日々が始まってしまい、回顧する間もなく仕事に追われています。タンザニアの原稿も少しずつ書き溜めていますので気長にお付き合いいただけると幸いです。
ともあれ、今年も宜しくお願い申し上げます。