Agfa Isolette III

 アグファの35mm判のレンズ固定式カメラのシャープな写りが気に入って、中判カメラもきっと良いのだろうと思いいろいろ探していた。イゾレッテシリーズは6x6判の蛇腹折り畳み式のカメラで、以下のようにかなりのバリエーションがある。

戦前型:距離目測式、カメラ上部が樹脂製。
戦後型:
・イゾレッテ4.5:距離目測式、4.5はレンズのF値が4.5に統一されたからと思われる。戦前のモデルはF6.3とF4.5のレンズだった。これ以降はカメラ上部がアルミ合金製になる。
・V型:4.5の流れに連なる廉価モデル、F4.5の3枚玉を搭載し、シャッターは簡易なもの。
・I型/II型:距離目測式、II型の方が高性能モデルとされているそうで、4枚玉のゾリナーが登場しているものの、市場にある個体はII型でも3枚玉の方が多いとのこと。
・III型:レンズに連動しない距離計付きで、私はこれを所有している。これもレンズは3枚玉と4枚玉が混在している。
・L型:距離計がなくなり、露出計が搭載されたもの。
(上記の各モデルにシャッターの種類も複数あるので、分類は難しい)

 いずれのモデルも、巻き止め機構はなく赤窓での確認が必要だ。この後に、連動距離計が搭載されたスーパーイゾレッテが出て、そちらでは巻き止めがついたことから、赤窓はなくなっている。スーパーは、連動距離計と巻き止めに加えてレンズの繰り出しが前玉回転式ではなく全群繰り出しになっているので、描写性能も良いと思われるが、他のイゾレッテのモデルに比べると数倍以上の市場価格となっていて、なかなか手が出せない。

 ということで、作例はイゾレッテIII、ゾリナー75mmF3.5搭載モデルのものである。シャッターは、私の持っている機種では倍数系列で、LV式の合わせ方も可能である。最短撮影距離は1.2m。距離計がついてはいるがレンズには連動しないので、ファインダーで二重像を合わせたあと、距離計が示す距離の数字に合わせてレンズを回すというやり方になる。近接領域では距離測定後にレンズを回すのでは姿勢による誤差が大きくなるので、正確な撮影が難しい。概ねの構図と距離を決めて距離計とレンズをその位置にして、体を前後させて二重像が合ったところでシャッター、というやり方が良さそうだ。

 以下、現時点の機種のみであるが、I型のアポター付きなどは安価なので手を出してしまうかもしれない。

ゾリナー Solinar 75mmF3.5付き

 3群4枚構成のレンズ。絞り開放では周辺はぼんやりとした結像であるが、中央部はシャープである。F5.6くらいまで甘さが残り、風景ではF8以降に絞る方が良い。色がきれいに出て、逆光に強い。