OM-1

 2022年、フィルムのOM-1(正確には最初はM-1)が出てから50周年、OMデジタルシステムズ創立以来初めてのフラッグシップ機として新生OM-1が発表された。このカメラは、裏面照射型撮像素子を採用し高感度特性を向上させ、1個のカラーフィルターの画素を4個のフォトダイオードで受光し縦横クロスの像面位相差AF(撮像素子全面で出来る)を行い、画像処理ICを高速化することでAF/AE追従での秒50コマ撮影や、ハイレゾショットの合成時間の短縮(体感ではだいたいE-M1mk3に比べ1/3〜1/4ほど)を実現した。グリップの形状をさらに改善して手の大きな欧米系の方々でも小指がはみ出にくくなったが、それでいて全体の大きさはE-M1mk3とさほど変わらずコンパクトな外観である。
 電池はリニューアルされ従来のものとは互換性がなくなった。充電もメインはカメラへのUSB接続で、外付け充電器は別売りとなった。この電池が変わったことで、自分としては従来機との併用が難しくなったため、E-M1mk3は手放している。旅行などに出ると、複数の電池系統を持ち歩くのが辛いのだ。20年の北欧旅行ではE-M1mk2とパナのGX7mk2、さらにシグマfpまで持って行き、日中複数システムを持ち歩いて、毎晩充電しているのが面倒になってしまったのだった。

 画質はすばらしい。EVFや背面表示の画素数増加も寄与し、まずカメラで画像を確認することがより楽しくなった。jpeg画像は従来機種同様に、標準設定ではノイズ対策のためディテイルを塗りつぶす傾向があるので、自分は高感度ノイズ低減は弱、シャープネス-2、彩度+1の設定で撮っている
(彩度はノイズ云々とは無関係で、単に自分の好み)
 手持ちハイレゾショットは処理時間が5秒程度となりすばらしく快適になった。また、ハイレゾショットの切り替えをボタンに割り当てることもできるようになり、気軽に試せるのも良い。
 E-M1mk3がコロナ禍の中、遠出での活用がほぼないまま手元を離れてしまい、さすがに後ろめたい気がするので、OM-1はとにかくいろいろな場面で長く使っていきたい。

 各レンズのコメントは従来機とほぼ共用している。なお、12-40mmF2.8はこのカメラ導入時に手放している。

●単焦点レンズ

M.ZD 8mmF1.8 fisheye PRO

 オーロラや夜空撮影のために導入した。前はサムヤンの7.5mmF3.5であったが、やはりF1.8の明るさが有利である。何しろ露光時間が4分の1で済むし、それはダーク像減算のための時間も同じだから。
 E-M1mk2から継続して、歪曲収差を補正して通常の超広角レンズ的な画像を保存するモードがあり、5.5mm(対角123度)、7mm(対角114度)、9mm(対角100度)相当の画像が得られる。しかも画質劣化はほとんど感じられず実用になる(作例1に3種類の比較を掲載)。
 
M.ZD 12mmF2
 小型にまとまった広角の大口径レンズ。夜空などを撮るには標準レンズ的な画角に感じる。最近はズームレンズが軒並み12mm始まりになって出番が現象気味であるが、F2という口径の利点はあるし、今後も使って行きたい。
 
Summilux 15mmF1.7
 パナソニック側でラインナップされているライカのシリーズの広角レンズ。絞りリングは無効なのでどの位置にあっても良い。安定して良い画質であり、小型で使いやすい。
 
M.ZD 17mmF1.8
 使いやすい画角の大口径広角レンズ。OM-1に装着するとレンズが小さく軽いので撮影が軽快に進む。
 
M.ZD 17mmF2.8
 初期からあるパンケーキ型広角レンズ。今となっては他のレンズに比べてフォーカス動作で世代の差を感じるが、このコンパクトさはやはり良い。
 
M.ZD 20mmF1.4 PRO
 小型軽量のPROシリーズ、というものが公式にあるのかは分からないが、12-45mmF4に続いて、単焦点の大口径ながらF1.2シリーズより大幅に小さくなったレンズの第1弾として世に出た。最初のOM SYSTEM銘のレンズでもある。目論見通り大変小型で取り回しの良いサイズになっている。フードは12-45mmF4と同じものだが、レンズが小型なのでこれはもう少し短いバージョンも設定して欲しい。というのも、花形フードは長さがあるので、せっかくの小型感がそがれ、カメラバッグ内での収まりも悪くなるので。
 描写は素晴らしい。解像のよさとボケの素直さが両立していて、普段使いに最適だ。これと8-25mmF4を組合せれば自分の撮影対象はほとんどカバーできる。
 
G 20mmF1.7 II
 パナソニック側で初期からあるレンズの改良版。IIが出るときにフォーカスはそのままであり、最新のカメラを使っても合焦は遅いが、画質は良い。薄いレンズであり、OM-1に組み合わせると軽快で良い。
 
M.ZD 25mmF1.2 PRO
 夜間撮影用の標準画角として導入。レンズの明るさとボディ側の強力な手振れ補正があるので、撮影可能な領域が大変広い。しばらく前はこれと12-100mmF4の組合せをよく使っていたが、最近は8-25mmと20mmF1.4の組合せと競合しつつある。
 
M.ZD 25mmF1.8
 小型にまとまった標準レンズで、画質もたいへんシャープである。
 
M.ZD 30mmF3.5 macro
 中庸画角のマクロ。シャープで良く写る。防塵防滴でないのが惜しい。深度合成の写真もここにアップする。
 
M.ZD 45mmF1.8
 小型の中望遠レンズ。今時のミラーレスレンズとしては少し最短撮影距離が遠いのが気になるが、画質は安定して良く、ボケもきれいである。
 
M.ZD 60mmF2.8 macro
 望遠マクロ。ワーキングディスタンスが確保できるので、被写体に影がかかったり、虫などに逃げられたりするのを防止できる。自分は虫はほとんど撮らないが。
 
M.ZD 75mmF1.8
 きわめてシャープで写りの良い望遠レンズ。従来の35mm判一眼レフの単焦点レンズの画角ではなじみのない系統だが、使ってみると面白い。ペンタックスがかつて150mmF3.5をラインナップしていて、自分も持っていたからイメージは掴みやすかった。個人的な感覚だと、列車やバスなどの車窓や車の助手席から遠景の風景を切り取るのにすごく合っていると思う。窓枠や電信柱などの障害物、窓への反射(自分や機材の映り込み)などが適度に回避でき、F値も小さいのでシャッター速度も稼げるのだ。
         
M.ZD 300mmF4 IS PRO (レンタル物件)
 22年5月にOMDSのキャンペーンでレンタル費用が割引かつ期間が延長(通常4泊5日→7泊8日)されていたので、申し込んでみた。借りた期間にちょうど仕事が立て込んでしまい、まとまって使える時間があまりなく、作例は少ない。テレコン使用、トリミングした写真も掲載している。
 写りは素晴らしい。ちょうどレンタル期間中に演奏会の撮影を依頼され(その写真はアップできないが)、このレンズを大いに活用した。ホールの規則によって客席内では撮れず、スポット室からの撮影であったがその距離はこのレンズの引き寄せ効果で完全に克服できたし、x1.4テレコンで奏者一人ずつの写真まで撮れた。よく写るし、シャッター速度1/20秒くらいでも全く困難さを感じず撮影に専念できた。恐るべきレンズである。
 しかし、この画角を常に持っている必要があるかというと、自分の撮影対象ではほとんどそれはないので、たまにレンタルするくらいが丁度よいと思う。ゆえに、作例アップはごくたまに、ということになる。
 
Reflex 300mm F6.3 MF macro
 トキナーの反射望遠。コントラストは低く、どんよりした感じもあるが、後処理でのかすみ除去やコントラスト調整で相応に処理できる。
 
●ズームレンズ

M.ZD 8-25mmF4 PRO
 描写は極めてシャープで、見栄えの良いコントラストがあり、色がきれいに出る。また、予想通り対角107-47度という激しく画角の変わるズームレンジは広角側メインのユーザーに取っては非常に便利である。最短撮影距離が全焦点距離において一定で23cmというのも素晴らしい。8mm時にもっともレンズが長くなり、その時撮像面からフード先端まで17cm弱なので、ワーキングディスタンスは6cmほどということになる(実際にはもう少し近寄れるようだ)。
 9-18mmにPLフィルターをよく使っていてフィルター交換が煩わしいことから、ケンコーのバヨネット交換式のフィルターを導入したところ、PLフィルターでは四隅がわずかにケられているようである。手振れ補正が大きく効いたときには特定の角が明確に黒くなるので要注意だ。
         
M.ZD 9-18mmF4-5.6
 現行品では外観デザインが唯一初期型(というのか?)のものである。画質は非常に良い。防塵防滴化のモデルを希望し、アンケートでも何度も書いたがこれそのものではリニューアルはされず、8-25mmF4 PROでそれが実現した。8-25mmが出て画角が全て含まれF値も明るいとなってこのレンズの出番は徐々に限られてきたが、使ってみるとやはりこれはこれで良いレンズであると再認識した。
 
M.ZD 12-45mmF4 PRO
 小型軽量を売りにしているシステムの中で、ひときわ小型軽量を実現したPROグレードレンズ。写りがよく、最短撮影距離が短くてハンドリングが良い。E-M1mk2では12-100mmとの組み合わせが多かったが、mk3以降はもっぱらこの12-45mmがセットになってしまった。そのため、OM-1導入時に12-40mmF2.8は手放している。
 
M.ZD 12-50mmF3.5-6.3 EZ
 E-M5が出るころに発売されたレンズで、ズームリングが通常のマニュアルモード、電動ズームモード、マクロモード(43mmに固定される)の3種類に切り替えられる。望遠端の開放F値が暗いのはマイナスだが、動画を撮るならこの滑らかな電動ズームは助けになるだろう。また、電動ズームは寒冷地で厚い手袋しているときの操作にも適している。マクロモードは中望遠相当でなかなか使いやすい。その後出た単焦点(30、60mm)マクロの中間でもあり、存在意義はまだある。防塵防滴。
 
M.ZD 12-100mmF4 PRO
 PROグレードの高倍率ズーム。これもマイクロ4/3の特徴を活かしたレンズだと思う。抜群の解像度と画角レンジの広さが素晴らしい。マイナス点としては、レンズの長さが長く、フィルター部や窓ガラスについた汚れやホコリにピントが合ってしまうことがあること。最短撮影距離は撮像面からの距離なので、レンズが長いとワーキングディスタンスと混同して「こんな近くに合ってしまうのか」と思うが、これは周囲状況に注意して撮るしかない。
 
M.ZD 14-150mmF4-5.6 II
 高倍率ズームをコーティングの改良と防塵防滴化でリニューアルしたもので、良く写り、コンパクトである。12-100mmF4が出てからは出番が減っていることは否めないし、自分はまだ持っていないが12-200mmというものすごい倍率のレンズも出てしまい影が薄くなった感はあるが、使ってみるとその良さを再認識できる。
         
M.ZD 40-150mmF2.8 PRO
 きわめてシャープな望遠ズーム。画角とF値を考えればたいへんコンパクトに出来ていて操作性も良い。テレコン1.4、2.0それぞれを装着した作例もこの中に含める。また一部はデジタルテレコンも使用している。
 
M.ZD 40-150mmF4 PRO
 F2.8が既に画角とF値に対して小型であったのに、さらにコンパクトで軽量になった望遠ズームである。マニュアルフォーカスのためのクラッチ機構がなく、テレコンバーターが使えなくなったが、全長が非常に短く、カメラバッグを選ばなくなったのは非常にありがたい。F2.8は少し長いため、演奏会の撮影依頼や運動会などが主体だったが、こちらのレンズはカメラバッグの小さめのポケットに入るから、積極的に外に持ち出している。シャープかつボケもきれいで、良いレンズである。
         
その他のレンズ

 PenF用やライカマウントレンズなどを掲載する予定。ただ、E-M1mk2以降、あまりアダプターを使って撮らなくなったので、アップデートは少ない見込み。

G.Zuiko 25mmF2.8 (PenFマウント)
 PenFマウントの広角レンズで、コントラストが良く見栄えの良い画像が得られる。m4/3では標準レンズになるが、小柄なレンズであり取り回しが良く、よく持ち出している。絞り開放では周辺の点光源がぽわんとするので、独特の画像になる。
 
H.Zuiko 42mmF1.2 (PenFマウント)
 大口径中望遠レンズとして活用している。コントラストは低めであるが(元々の描写もあるかもしれないが、メンテに出したカメラ屋さんによるとレンズ接合の接着剤の変質もあるらしい)、ピント面はシャープだ。ボケは同心円状に引っ張られる。
         
G.Zuiko 60mmF1.5 (PenFマウント)
 少し長めの中望遠という感じになる。コントラストは弱めだが、42mmF1.2よりは全体に整っているように思う。ボケ像は、高輝度部に輪郭がついてバブルボケになる。
         
E.Zuiko 150mmF4 (PenFマウント)
 コンパクトで細身な望遠レンズ。絞り開放からよく写り、超望遠領域ではあるが取り回しは良い。
 
E.Zuiko 250mmF5 (PenFマウント)
 PenFでは自動絞りが使えずプリセット絞りが少々不便なのであるが、m4/3であれば先に絞っていてもファインダー像は暗くならず比較的使いやすい。もっとも、画角的には超望遠の域なので、構図の維持やピント合わせにはそれなりに苦労する。
 
Zuiko 300mmF4.5 (OMマウント)
 最新の専用レンズであるM.ZDの300mmF4とは比べられないが、予想よりはかなり優秀であった。シャープに写る。ただし、高輝度部の輪郭に色が着く。これは時代を考えると仕方がない。
 
 
マイクロ4/3のページに戻る
         
トップページに戻る