03年10月12日 前半
仙台→一ノ関→須川温泉→須川岳→須川温泉→水沢→塩釜→仙台(友人宅に泊まる)

昨夜23時ごろ、遅れてくるSTさんから出発したという連絡があったが、予定の時刻4時近くになっても連絡がないのでHA君が電話してみる。すると、国見SAで眠っていたらしい。これ以上遅れると夜行バスのMY君を大幅に待たせることになるので、すぐ出発するように言ってもらう。ここも綱渡りだ。0531、到着。そのままMY君を迎えに駅まで向かってもらう。バスは既に到着していた。迎えに行っている間も無駄には出来ないので、残った人たちは近くのコンビニに朝食を買いに行くことにする。それでも結局、予定より15分遅れて0630に出発。天気は雨。東北自動車道を北上すると、雨はどんどん強まり、それでも遅れてなるものかと先導のHA君はかなりの速度で飛ばす。ヒヤヒヤする。雨は変わらず降っており、一ノ関に到着して最初のコンビニで昼食(頂上で食べるための)を買うはずだったが、一同「やっぱり、ムリかな」となって登頂はほぼ断念、温泉だけ入って昼食は別にしようという結論になった。しかし、しかし天気というのは分からない。342号線を須川に向かって登り始めると、雨が上がって道路が乾き始めた。いや、乾くというよりしばらく降っていなかったようにも見える。これはいったい..山男MY君曰く、これは、山的には「晴れ」ですよ、と。こうなると俄然元気が出て、峠道の運転も楽しい。紅葉は残念ながらそれほどではなさそう。冷夏だったので葉が育っていないのか、枯れてしまっているところが多い。それでも、時期としてはやはりここしかないという感を強くする。まあ、97年から02年まで毎年来ていたのでほとんど時期は分かっているのであるが。道路は幸い流れは悪くなく、0815過ぎに須川温泉の駐車場に到着した。あと15分遅ければ、駐車場に入ることも覚束ない状態になるはずで、ギリギリセーフ、というところであった。
0825、登山開始。ここは岩手県・秋田県の県境であるが、この鞍部に温泉が出ている。古くは酢川と言われていたのが須川に変わったらしく、その名の通り酸性の温泉である。その温泉の湯が流れ出る脇に登山道がある。硫化水素臭がしていかにも温泉という雰囲気があり、帰りには是非入っていこうと思う。天気は曇りで時折ポツポツ降る。しかし明け方は雨は降っていなかったようで、登山道はぬかるんでいない。途中で降られなければ楽な登山になりそうだ。以前、夏に登ったときに降ったり止んだり(=寒かったり蒸し暑かったり)、挙句に頂上は霧の中というひどい体験をしたが、今回はそれほどでもなさそうに思える。ただ、念のためカメラはオリンパスE-1(防滴)のみにして、50年前のカメラ、フォクトレンダーのペルケオは車に置いて行くことにした。曇っているし、中判が必要なシーンはなかろう、そもそも同行者が多いので中判でゆったり撮影するのは迷惑にもなるという判断だ。
ここ須川岳は頂上が1627.4m、登山口で既に1200mくらいまで来ているので、実質400m少々の高低差しかない。ガイドブックでは登り2時間というのが目安になっており、家族連れでも楽しく登ることができる。それゆえかなり混むというデメリットもあり、紅葉シーズンは朝8時前後に駐車場に着かないと入れない可能性がある。それで皆、国道に路上駐車するわけだが、岩手県の300番台国道はどこも峠ではすれ違いが難しいほどに狭い。観光バスがカーヴを曲がれなかったり、すれ違えなかったりで大渋滞になるのだ。停めるなとは言わないものの、ここは停めて大丈夫か、くらいの気遣いは欲しい。









上3枚:途中まではコンクロート舗装されていて、運動靴でなくても入れる。紅葉を楽しむなら途中までで十分だ。むしろ頂上付近は森林限界を超えて低木だけになるので、紅葉という風景ではなくなる。ここらへんは風景も変化に富んでいるし、適度に平らな道も多くて、登山の始めとしては丁度良い運動量に思えた。









地獄谷あたりはガレ場で、足元は不安定。硫黄のキツイ臭いが充満し、火山だなと思う箇所だ。ここで振り返ると、北西は北上山地、岩手県第2位の高峰、早池峰(はやちね)山が見える。平野部で雨が降ったせいか、遠景がよく見えた。地獄谷を登り切ると昭和湖に出る。ここで一旦休憩する人が大部分だ。というのも、この先が最も急斜面で、登る人が渋滞しているのだ。登り優先の大原則を守り、なるべくスムーズに登りたいところだが、いかにも人数が多すぎて、すんなりとは行かない箇所である。また、ここからは北斜面を登るので、晴れの日は完全逆光で、きつい登りだと感じる。今日は曇りなのでその点むしろ楽であった。昭和湖で休憩し、MY君支給のチョコレートをいただき、いやこの登山中のチョコレートというものほどありがたいものはなく、月並みだがいつもの数倍美味しく感じられた。風が強く、休憩しているとすぐに体が冷えてしまい、1枚記念撮影して(このために三脚持参!)登りを再開する。先にも書いたとおりここからが一番急登で、狭くて何度もつかえてしまう。私のような体の重い者にはむしろそれがありがたく、渋滞しているところでは写真を撮って過ごしていた。
ここを登り切ると天狗平というところで、右側に秋田県側の急斜面、ここの景観はすばらしい。低い雲が雲海を形成して何だかとてつもなく登ってきたように錯覚するが、その実1600mにもなっていないのである。ここからは斜度もゆるやかな稜線を歩くので左右の視界が開けて気分が良い。ただし、その分遮るものがなく、運動量もたいしたことがないので防寒には注意が必要だ。私などはお気楽登山派なので運動量は適度に無い方がありがたから、ここの山はこの最終コースが気持ちよく、毎度毎度、来て良かったと思う。
頂上は寒かった。汗に濡れたカメラマンヴェストを脱ぎ捨て、ザックからトレーナを出して、着込む。毎年この連休は新聞社のヘリが飛んでいたりして賑やかなのだが、今年は天気が悪いのか、あるいは昨日取材したのか、飛んでいなかった。人はそこそこ多いが場所取りに苦労するほどではなく、やはり天候が悪いからじか、少なめに思える。時刻は11時前だから昼ご飯には早いが、十分に空腹なので食事の準備を..そう、一ノ関のコンビニで一旦中止の判断をしており、皆、昼食(おにぎり)を買っていないのだ。これはまずいのだが、ここで山男MY君の本領発揮だ。昨夜、とんでもなく大きいザックを私の車に積んで、いったい何が入っているのかと思ったら、出てきたのはアルファ米、レトルトカレー、粉末カフェオレ、調理器具等々..これに朝食として買っていて余っていたおにぎりとゆで卵、チーズを加え、8人分の昼食には十分間に合った。カレーはS&Bの「なっとくのカレー」で、これは実に懐かしい、北上在住時代にたいへんお世話になった商品である。安くて、量が220gと、多いのだ。これには涙が出そうになるほど、感動した。アルファ米はお湯を注ぐと完成するものらしく、極めて便利なシロモノ。次回の登山は私もこれを買い込んでいこうと思う。
食事をして、甘さがまたまたありがたいカフェオレをいただいて、元気が戻ってきたような気がする。本当にありがたいと思う。YM君に感謝である。
ここで2度目の記念撮影を行い、下山することにする。三脚は記念写真の他に、自分の写真できっちり風景写真を撮るために持って来たつもりであったが、結局8人で行動するとなるとそれほど余裕もなく、記念撮影2回分でしか使わなかった。実は毎度そうなのであって、それなら三脚なんて要らないのではと再考することもあるが、やはり写真好きとしては、他人に撮ってもらうのは不安なのである。ちったぁ他人を信用しろとの声も聞こえなくもないが..
さて、下山時は何となく2グループに分かれてしまった。登りと違って道が大体分かっているからそれぞれのペースで降りてもそれほど問題はない。私は多少、写真を追加したかったので遅めのグループになった。*ist-Dで撮りまくっているSW君も自然と、ゆっくりになった。帰りは一時薄日が差したりして暖かく、すぐに汗だくになるが下りゆえそれほどきつくはない。とはいえ体重がもろに足に響く感じがして、こういうとき、もうちょっと体を絞っておけばと思う。事前に職場(10F)への階段を昇り降りして準備していたが、まだまだ足りない。
ここからまた写真を並べておく。









左は登りと同じく、頂上近くの稜線からの写真。ここは何枚撮っても飽きない。遠景なので解像度が少々足りないようにも思え、こういうとき中判フィルムで撮影すればよかったと思うのだが、今日はとにかく天気が悪いので仕方ない。真ん中、昭和湖再び。実はここを通らない下山コースもあるが、道が狭く藪漕ぎになるので避けた。足元がみえにくく、躓いたりして来週の本番に影響してはまずい。右は登山口近くの写真。紅葉は遠くで見たほうがサマになるようだ。
登山口に戻ってきた。先行組は後で聞くと、15分くらい早着だったそうで、YM君とCKさんがずーっとしゃべりっぱなし、おそるべし。普通、運動しながらしゃべるのはキツイはずだが、大した運動量ではなかったらしい。次回はもっと長いところに挑戦してみるか。さて、須川温泉は有料(500円)なのだが流れ出る湯に足を漬けるのはタダで、皆、足を休めている。これは気分が良い。私は先行組が気になるので足湯はせずに駐車場に行ってみると、しばらくしたら先行組の人たちが温泉から出てくるところであった。彼らに断って、ゆっくり組も温泉に入らせてもらう。温泉は真っ白の湯で、先に書いたとおり強い酸性で、ケガなどしていると沁みる。幸い誰もケガはしなかったのでその点大丈夫だったと思う。湯の温度が熱く、あまり長く入っているとのぼせてしまうから、適当に出たり入ったり、だいたい半身浴で過ごしていた。疲れた足にこの湯温はすごく気持ちが良い。
すっかり長居してしまった。またまた先行組の人たちに断って、売店で小岩井牛乳を一気飲みし、いやこんなことを普段したら腹壊しかねないが勢いでやってしまった。美味。皆が待つところに戻り、車のルートは行きと変えて秋田県側に一旦出て焼石の麓を通り水沢に出ることにする。実は、ここ須川より焼石の方が紅葉はきれいなのである。そこを皆に是非見てもらいたいのだ。

以下、後半に続く。


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