Fujifilm X100F

 コンパクトカメラ、と称するには少し大きめである。50-70年代に各社から出ていた単焦点のレンズ固定式カメラと似た立ち位置だろうか。
 何と言ってもこのカメラの最大の特徴はファインダーで、ハイブリッドビューファインダーと称する。光学ファインダーに液晶の情報と撮影範囲枠を投影するモードがあり、昔の採光式ブライトフレームのような見え方なのである。これはその昔、リコーのGR1
(フィルムの方である、デジタルのGRには内蔵ファインダーが無い)にもあった。あちらは撮影範囲と、近接時の視差補正を大雑把に示せたが、X100シリーズはもちろん、小さなドットで細かく描画できるから枠の位置も大きさも自由度が格段に多く(もちろん撮影情報も多数表示)、視差と倍率もスムーズに補正される。この液晶はEVFの描画にも使われ、そのモードでは光学ファインダーの前面に遮光シャッターが降りて視野内を真っ暗にすると同時に、液晶画面が撮った写真を投影する。このファインダーシステムは実によく出来ていて、趣味性と実用性を両立する素晴らしいものだ。初代X100が出た翌年、X-Pro1としてこのファインダーシステムがレンズ交換式カメラにも応用されている。

 固定されている23mmF2レンズはAPS-C型撮像素子で対角63度の広角レンズ(35mm判で35mm相当)である。レンズは固定式であるから撮像素子との組合せで最適な構成になっていて、描写は素晴らしい。ただ、F2開放で近接域はもやっとした描写になる
(後継機のV型で改良されたとのこと)
 画像処理も優秀で、色がきれいに出るのも特徴だ。カラーモードがフジフイルムのフィルムの名前であるのは面白いが、ただVelviaモードがフィルムと違う気がする
(特に夕日が黄色〜オレンジ系なのが違う。本来どっちかというとマゼンタ寄りだと思う)のと、Astiaモードがソフトという定義になっているのも違和感がある。まあ、これは元のフィルムに対しての感じ方であって、画質そのものは良いのであるが。プロネガモードはフィルムのイメージに合っていて良い。

 操作性は少し独特である。メニューが分かりにくい上、特定の機能間で排他的な処理構造
(例:ブラケティングとデジタルテレコンが併用できない)になっていたりするので、こういうところで処理能力の上限が見えてしまうのは惜しい。
 外形では、全体の造形は持ちやすく、カメラの重さと静かなリーフシャッターのおかげでブレが少ないのは非常に良い。ファインダーアイカップの形状が良くなく、顔を近づけたことを検知するセンサーがアイカップの外側にあり、強い太陽光が頬に当たっているときに顔を近づけていないと誤判断し、ファインダーが切り替わらないことがあるのは残念だ。



Super EBC Fujinon 23mmF2

 レンズはこれが固定されている。ワイドコンバータ(35mm判28mm相当)とテレコンバーター(同50mm相当)が用意されているが、ただでさえ小型ではないカメラがぐっと大型化するので自分は買っていない。カラーモードやデジタルテレコンの種別は各写真のコメントに記載している。
         
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