09年2月中旬
第4次北海道旅行
第1日 第2日 第3〜4日


●第3日 09年2月13日(金)〜第4日 14日(土) 釧路→南千歳→(車中泊)→上野

本日の朝食 帰る日である。が、飛行機ですんなり帰るのは惜しい。だから、北斗星のB個室を取ってある。2人用の部屋だ。午前中は釧路市内で何か観光しようと思っているのだが、息子が駅に行きたいというので結局駅に行き、時刻が一番近い列車に乗ってみることにした。時刻表を見て、根室本線の上りで音別まで行って折り返して来れば、帰りの列車には間に合う。音別までは普通列車で50分ほど、普段の生活の中では50分乗って45分滞在して50分戻る、などという行動は到底ありえないのだが、今日はそういうことに文句を言いそうな人物は同行していないからこれもまた良かろうと思う。特急や名前つきのイヴェント列車ばかりでは面白くない、と思うのだ。

上り新得行き 釧路を出発したのは10:17、2524D列車 新得行きだ。終点まで乗ると4時間40分もかかる。しかしここは北海道、滝川−釧路間を8時間かけて走る普通列車も存在する。本州とスケールが違う。さて、列車はキハ40系の単行(1両編成)だ。77年から製御満悦造開始されたものなので、新しくはないが車両の外観としては国鉄末期の標準的な形をしていて、古めかしいという感じはしない。重々しい加速は時代を感じるけれども、のんびり走るには気にならないし、何しろ北海道は駅間が長いから、勢いがつけば快速で走る。息子は、普段見慣れないクロスシートが気に入ったようで、外を見たり、シートに横になったり、楽しんでいる。シートに横になっても親と向かい合わせというのが新鮮なのかも知れない。

 根室本線にて外は一面雪景色だ。しかし海沿いでもあり、太平洋側なのでそれほど積もっているわけではない。それにしても、広々としている風景は見飽きない。列車にただ50分乗っているだけだが、この景色が何より楽しいのである。途中で下りのスーパーおおぞら1号と列車交換。息子に窓の外を見るように言い、特急が通過することを教える。轟然と列車が通り過ぎた。この一面真っ白なところを、あんな速度でぶっ飛ばすとは。そういえば以前青森から盛岡まで「はつかり」に乗ったときは、雪が降る中平均時速100kmで走っていたから、最近は珍しくもないのだろう。
 途中でトイレに息子を連れて行く。普通列車なので、オムツ交換のための台などは当然なく、便器も和式。息子は便器をうまく跨ぐことができなくて、左足が便器の中に。あちゃーやっちまった。
 あっという間に白糠まできて、次がもう音別だ。楽しい50分間だった。
 音別にはちょっとした貨物の操車場のようなもの駅の時刻表があり、ちょうど貨車の入れ替え作業をやっていた。その作業は新鋭のDF200型がやっていて私としてもこれは興味深いのだが、息子はもうたまらないらしく、全ての作業が終わるまでじっと見ていた。何しろ、その作業をしていた作業員が駅舎に戻ってくるまでプラットフォームに立ち尽くしていたのである。作業員の方が息子に声を掛けてくれた。そんなわけで音別での45分も有意義(?)に使えたと思う。駅前には何もなく、がら音別駅んとした駅前には客の車が止まっているわけでもなく、利用者が少ないことを窺わせる。駅の表示を見ると、1日に下りが10本、上りが6本しかないのだ。時間帯によっては、3-4時間くらい間が空いてしまう。いやはや。
 駅前の散歩もそこそこに、駅の待合室で暖を取る。この駅にはみどりの窓口もあって、旅行パンフレットもけっこうな数が置いてあり、それを眺めながら下り列車を待つ。客は私たちのほかに、おばあさんが1人だけだった。帰りも雪景色を堪能して、12:56に釧路着。

スーパーおおぞら号 いよいよここからが帰路になる。1日中列車に乗っているのでどこからが帰路か判然としないが。先ほど通過を見たスーパーおおぞら号の車両が既に入線しており、弁当を買って乗り込む。指定席は取ってあるから慌てなくても良いのだが、幼児と一緒だと何となく慌しい。息子はお腹が減って我慢できないようで、出発前からおにぎりを食べ始めた。
 定刻の13:もう我慢できない!25に釧路駅を発車した。車内は6-7割の乗車率だ。私の隣は現時点で空いている。車内は落ち着いた濃い感じで、ワインレッドの座席はすわり心地が良い。残念なのは窓で、かなり汚れている。雪の中を猛スピードで走ればこれは仕方がないか本日の昼食。というわけで、息子に続き私も弁当に専念しようと思う。今日の弁当は「釧路漁礁」なるもので、サケ、カニ、イクラの押し寿司(1000円)。昨晩食べた勝手丼を思い出しながらこれもおいしく頂いた。酢飯が少し固めなのはそういう思想なのかな。

 天気は徐々に悪くなり、外はよく見えなくなってきた。こうして見ると、午前中に音別まで景色が眺められて良かったと思う。
 帯広で満席となった。息子は膝の上に。車内が暑く、アイスクリームを車販で買う。
外は真っ白だ 山間部に入ると雪はますます激しくなり、しばしば外が見えなくなるほどだ。景色は楽しめないが、狭いスペースながらもチョロQを片手に、息子と遊んで過ごす。しかしどうも様トイレのオムツ交換台子がおかしくなってきた。と思ったら、白いものを吐いた。これは、乗り物酔いである。そういえば30年前のこと、中央本線で特急「しなの」に乗っているとき、やはり満席で暑苦しい車内、アイスクリームを食べた後に気分が悪くなる子供たちが続出していた。そのときの車両も、今日のも、「振子式」である。カーヴのときに車体を内側に傾けて速度を緩めずに走行するための装置が着いている。これが、車体の左右への余計な揺れになって、気持ち悪くなるのだ。これは私見だが、アイスクリームと振子車は子供には厳しい条件なのかも知れない。それはさておき、手元にタオルを置いていたので、大事には至らず。その後すぐに回復して、南千歳駅では通路を走り回っていた。

 南千歳には16:48に到着。3時間20分も乗っていたのか。最新式の振子車だが、やはり大人の私も今ひとつと感じる乗り心地だ。これでも昔の「しなの」に比べればマシなのだろうけど。
南千歳駅 南千歳で上りの「北斗星」に乗換えだ。幼児連れなので食堂車の予約はせず、弁当でも買おうと思っているが、大きな誤算だったのは南千歳の売店。弁当がなかった(売切れ)のだ。北斗星の車販に期待できるだろうか。仕方ないので列車を待つしかない。南千歳は空港への路線などが交差するところで、いろんな列車が通るので、息子も興味津々の様子。長い貨物列車はたくさん通るのも良い。弁当のことを除けば、ここに居るのも悪くはないと思った。
 予定通り、17:46に北斗星号が入線した。始発駅ではないから列車全体を眺めることはできず、慌しく乗り込む。狭い通路を通り、7番個室に入る。2人用B寝台個室の、1階だ。眺めを取るなら2階タイプなのだが、元々空いていなかったことと、2階タイプは床部分がほとんど階段なので子連れにはちょっと厳しい。多少圧迫感があるが、1階タイプはベッドとベッドの間に立つこともできるので、まあ今日のところはここで良いと思う。列車の中に部屋がある、ということに息子は大いに興奮して、ベッドに寝たりカーテンを開け閉めしたり、部屋の照明をつけたり消したり。大騒ぎしても防音がけっこう良いようで、他の客の気配も全然しなくて、良い車両だと思う。
北斗星の車内 ベッド 1階タイプの部屋 2階タイプ
必要十分な広さがある シャワー券も購入 室内灯を消してイタズラ

 さておクッキーを差し出す息子き、懸案の件は弁当だ。個室内で遊んでいると、車内販売が通ったことに気付きにくい。一人で「あけぼの」のB個室に居ても気付かないのに、息子と騒いでいては尚更だ。で、何とか気付いた車販のワゴンには、弁当は既になかった。早々に売り切れるのだという。残念至極である。食堂車は予約の時間帯は入ることはできない。予約無しで行けるのは21時以降で、幼児には厳しい時間帯だ。途方に暮れていたとき思い出したのは、釧路駅で息子にねだられて買ったクッキー。それを息子の夕飯代わりにするしかないだろう。すると息子が、「これパパの」と言って1つを差し出した。嬉しいね。
シャワーへ シャワー室内部
 クッキーを齧った後、シャワールームへ行く。2両歩いた先に、ミニロビーとシャワールーム、1人用B個室のある車両が連結されている。シャワーは30分ごとに時間帯が区切られており、カードを買う際に時間帯を指定する。30分の間で、お湯が出るのは6分間、流していない間はカウントされない。30分もあれば十分で、他の客とかちあう心配もないし、列に並ぶこともないからこれは良いやり方だ。まずは息子から先に洗い、自分も浴びて、最後に1分間余ったのでその湯を息子にかけていた。

 部屋に戻り、しばらく遊んでいたら、21時になった。よし、食堂車に行こう。息子はもちろん初めてである。カレーライスを注文して待つ。しかしなんと、息子が眠くなってしまった。やはり21時からの食事は無理があった。すっかり寝入った息子を抱きながら、片手で食事をした。部屋に戻り、ベッドに寝かせたら素直に寝た。出発前、息子が父親と一緒では寝られないのではという心配があったのだが、結局3回の夜全て、素直に寝てくれた。
 函館付近では天気は雨になっていた。暖冬なのだろう。列車は快調に進んでいる。
寝ている? 食堂車へ 結局一人で食べることに 眠いときのポーズ

 8時過ぎに起床した。食堂車に行く気にはなれず、車販のワゴンを待つが、やはり今日も弁当にはありつけず。積む数が少ないのだろう。見込みを堅く見積もるのはいいが、残念だ。仕方なく、草加せんべいを購入。北斗星マークが入っている。息子は喜んで食べてくれた。
 上野には09:41着だからそれほど時間はない。景色を見ながら、息子と北海道はどうだったかを話したりして過ごした。
今日の朝食.. 食べつつ遊ぶ けっこう景色好きの様子

寂しかったよ 定刻より3分ほど遅れて、上野に着く。息子には言っていない記念写真のだが、車両と個室番号も伝えて、ここに配偶者Sに来るよう言ってある。息子を驚かせようというわけだ。車両番号が機関車の分だけずれたのか、Sがちょっと遅れて窓のところに寄って来た。息子は急に恋しくなったのか「ママ..ママ..」と涙声になって、なぜか草加せんべいを窓のほうに差し出した。3泊4日、寂しかったのは母親も一緒、通路でぎゅっと抱擁した。


おわり


★カメラ関係の話
 息子を抱きながらでも撮れるように、右手だけでほとんどの操作が完結するコンパクトデジタルカメラを持参。ライカ D-Lux4である。広い範囲を撮るために、パナソニックのワイドコンヴァータも持参している。正式には使えないことになっているが、実際は問題なく使える。
 広角端の絞り開放F2と、手ブレ補正の効果で、片手操作でも、夜間でもかなりの範囲で撮影可能なのはありがたかった。


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