07年12月中旬
マレーシア出張(2)
第1日 第2日 第3・4日
マレーシアにある半導体組立工場、東芝エレクトロニクスマレーシア社(以下TEMと略す)への出張記である。7月に初の出張をして、10月にも行こうと計画していたのだが、現法の方々は非常に忙しく、予定を立てようとした時期が遅すぎて、結局10月はTV会議になってしまった。しかしやっぱりTV会議ってのは会議している気にならない。何が聞かれたくないことになったらマイク切ったりして、お互い後ろめたい場面もあったりして。やはり顔を突き合わせるほうがいい。そんなわけで、今回の出張は早くから日程だけは詰めておいた。

第1日 07年12月11日

前回、ANA派の上司と一緒だったので早起きしてANA・MAS(マレーシア航空)の共同運航便に乗った。JALなら1時間遅く出て、クアラ・ルンプール(KL)に着く時刻もそんなに遅くないから、今度こそJALに乗ろうと思っていたのだが、いつの間にか時刻が変わってJALがKLに着くのは20時20分。これでは、入国して市内につく頃には22時近く。そこに現法の方を呼んで食事でも、というわけには行くまい。そんなわけで、今回も、前と同じMH89便である。相変わらず、JAL系中心の第2ターミナルからの出発だ。前回ターミナルを間違えて懲りているので、今回はしっかり直前にも確認をして出かけた。
今回の同行者は部下1名、組立の関係者1名、製品関係の他部署から2名。最後の2名の方はJAL派で、航空券が取れなかったという理由で上記の20時過ぎ着のJAL便を取っている。そして現地での夕食は同行しない。しかしマレーシア航空が満席ってあるのかな。私が前回乗ったときは5割くらいしか乗っていなかったし、現法の人に聞いてもたいてい空いているよ、と言っていた。まあ、子供じゃないんで、いつでも一緒にいる必要などない。
予定のNEX5号に乗って第2ターミナルに到着。チェックインカウンターは工事中で、前の場所と変わっていた。今回はアメリカン航空のカウンターの一角で手続きをしており、前に比べると余計な注意事項などを長々としゃべってくれて、手順が悪かった。
手荷物検査をして、入国したところで同行者2人とは別れる。前回同様、ラウンジには入れないし(JALのサファイア会員なのだが、航空券がJALではないので)、免税店に用はないので、近くのエクセルシオールカフェでコーヒーを飲みながら携帯でmixiを見たりしていた。なんともなしに人通りを眺めていたら、会社のオケのM氏が通りかかった。これからシンセン出張だそうで。何時の飛行機?と聞いたら9時半とのこと、あと30分だ。けっこうギリギリ、旅慣れているなあ。M氏は最近、中国のいろんな現場から引っ張り凧なのだ。またしばらく眺めていたら、今度はゆっくりと大名行列のような10人ほどの行進が。なんと犯罪容疑者(2名)の移送だった。前後を4人くらいの警察官で挟まれ、手錠で刑事(だろう)と繋がれ、その手錠には黒いカヴァーがかけてあった。手錠むき出しよりかえって不気味な感じがした。成田空港の構内
しばらく休んだあと、空港内のケーブルカー(?)に乗ってゲートに向かう。先述のJAL派の同行者の言を信ずるなら、満席のはずなのだがロビイはガラガラである。前にも増して、ガラガラなのでいったいどういうことかといぶかっていたら、ゾロゾロと現れたのは高校生の団体。その数、200人近くはいたのでは。それにしてもマレーシアへの修学旅行とは。今年は独立50周年の記念の年で、観光誘致に特に力を入れているのは知っていた。JALの国内線機内誌にもマレーシアの広告が出ているほどなのだ。ともあれ、これで満席の理由は納得できた。問題は、私の座席番号が30番と、けっこう後ろのほうであること。この集団と一緒だとちょっとうるさいかも知れない。
案の定、機内はざわざわして落ち着かない。私の隣は中国系マレーシア人っぽい人で、英字紙を一心不乱に読んでいて窓側に座る私に気づいてくれなかった。なんだかヘンな人だと思っていたが、後で入国カードを書いているのを見たら日本人だった..はは、英語で話しかけちゃったよ。前の座席は何となく、先生のような感じの落ち着いた人たち。そして、私の後ろからは高校生たちが座っている。ちょうど私の後ろの人は飛行機が初めてのようで、「おー、ウィングが動いてる!」などと言っていた。案に相違してその後はあまりうるさくもなく、機内は快適だった。ほとんどの行程で曇りだった
前回は、機内エンタテイメントシステムでマレー語の勉強(ただし数字だけ)なんぞをしていたが、今回は映画でも見ようかと思う。案内誌を見ると、ものすごい数の映画がある。ヒンディやタミルのページは、何の映画かさっぱり分からない。とりあえず日本語吹き替えを見ることにするのだが、ジェイソン・ボーンシリーズが3作全部、ってのには驚いた。1作目「ボーン・アイデンティティ」、2作目「ボーン・スプレマシー」、3作目「ボーン・アルティメイタム」で、3作目は後で調べたら日本での公開は11月だった。そういうのが早速機内エンタテイメントで流れるのか。1作目は見ているので、2作目・3作目を続けて見ることにする。内容についてはここでは触れないが、まあまあ面白かった。2作目は最初の展開が急で、よく分からないところも多かったが。日本語の吹き替えが若干怪しいところもあったような気がする。CIAを別名カンパニーと呼ぶのは知っているが、それを訳して「会社」と言って昼食しまうのはどうかと。なんかCIAじゃないみたいだぞ。
映画の途中で食事となる。食事の種類は、牛丼、海鮮のクリーム煮、チキン料理(詳細忘れた)の3種類から選べる。早起きしているので腹は減っていてなんでも美味しそうだが、前回牛料理を食べているので今回は海鮮にした。この飛行機のエコノミークラスでは食事は後方からサーヴされる。後で聞いたところでは、前のほうに座っていた同行者たちは、海鮮しか残っていなかったそうだ。食べ盛りの高校生たちはやはり肉を選んだのかな。しかし隣の人の牛丼を見たけど、かなり小さかった。なんだかどんぶりって感じがしない。海鮮クリーム煮は薄味だったけどなかなか良かった。白ワインを1杯もらってほどよく酔った。マレーシア近くにて
食事を終え、「スプレマシー」を見終わったところで午睡。アクション映画を小さな液晶ディスプレイで見るのは少々つらい。それに、ノイズキャンセリングヘッドフォンでますます明瞭に聴こえる破壊音の類が、疲れるのだ。それでも、しばらく眠った後で「アルティメイタム」をしっかり見てしまった。2本目を見終わる頃に、軽食(ツナサンド)が出ていよいよ着陸が近雨季らしく、川は茶色い。雲が積乱雲のような形になってきて、マレーシアが近いと感じる。いまは雨季に入ったところで、かなり降るらしい。土砂降りと雷鳴は7月の時にも経験したが、もっと降るのだろう。それも楽しみだ。下降が始まり、前回翼に隠れてよく見えなかった、大地の様子がよく見えて嬉しい。雨季らしく、川は茶色く小さな湖のようなものも見られる。まだ未開発の地域が多いようだ。畑といえばヤシが多いように思われた。少しゆれがあったが特に問題もなく、着陸した。
空港の一部では工事が行われていた。A380と書いた仕切りが立ててあったので、どうやらエアバスA380(総2階建て)用のスポットを作っているようだ。シンガポール航空が既に運用を開始しているこの超弩級の航空機、マレーシア航空も発注している。KLIA到着
今回の出張では現法の車は来ていない。ホテルがKLヒルトンで、空港から市内への特急列車、KLIAエクスプレスの終着であるKLセントラル駅に隣接しているからだ(前回はKLの外、ペタリン・ジャヤのヒルトンだった)。入国し、KLIAエクスプレスのチケット(35RM、1000円ちょっと)を買って空港の下にある駅に向かう。KLIAエクスプレスは、マレー語表記ではKLIA Ekspresで、このように外来語を元の綴りではなく、音に直して記述することが多いようだ。たとえばRestoranとか。日本でのカタカナ表記と同じことか。ところで、空港内の案内表示でKLIAエクスプレスの日本語訳が「空港行き特急電車」となっている、ここは空港なのに、空港行きはないだろうと思うのだが、誰かが適切でない訳をしてしまったようだ。さて、KLIA駅に改札口はない。なぜかというと、この列車はKLIA駅とKLセントラルの2駅しか止まらないのだ。よって、改札はセントラルKLIAエクスプレス駅のみにある。駅はプラットフォーム側にも扉がある形式で、列車の全容がよく見えないのが残念だ。編成は4両で短く、車室内の椅子などもシンプルなものである。最高時速160km/h・28分しかかからないのでこれで良いのだろう。車窓風景は、最初ヤシ畑が多かったが、市内に近づくにつれ、高速道や住宅が見えるようになり、速度も落ちる。とはいえ実際速いし(バスだと75分)、快適な車内であった。
KLセントラル駅に着いた。改札前に自販機があるので、KLIAエクスプレスは、全く何も考えずに乗っても問題ない仕組みになっている。ただし、マレーシアリンギットの現金だけしか使えないので要注意。
KLセントラル駅は立派な建物だ。元々市内にあった中央駅を移転しホテルにてたらしく、この駅の周辺はわりと緑の多い郊外近くの位置になるらしい。会社からもらったJAL地図にはここは載っていなかった。エスカレータを上がり、正面口に出ると、向かい側がKLヒルトンだ。建物がツインタワーのような形になっていて、片方がヒルトン、もう片方はメリディアンである。1階、という表示ではなくGF(日本でいう2階が1F)は天井が高く、3階分くらいの高さがありそうだ。玄関入った正面がバーのようなところで、左方にレストラン。レセプションはそのレストランの向かい側にある。チェックインを済ませて、部屋に向かう。エレヴェータに乗ってカードキーを差さないと、希望の階のボタンが押せない。ちょっと戸惑ってしまった。部屋はムダなほどに広い。入ってすぐの部屋は仕事をする部屋のようで、デスクとソファがあるのだが、ここだけで10畳くらいはありそうだ。奥が寝室で、3人くらい寝ることができそうなベッドに、枕が5個。入って右にバスルームがあり、これまた落ち着かないほどの広さ。明らかに広すぎる。こんなところに1人で泊まるのはなんだか申し訳ない気がする。料金は朝食込みで405RM、1万3千円くらいか。物価水準が日本の5分の1くらいのマレーシアでは、とてつもなく高いホテルということになりそうだ。現法としては、出張者がトラブルに巻き込まれては困るから、どうしたってこういうクラスを紹介せざるを得ないということか。
エレヴェータホールからの眺めホテルの部屋仕事用の机まで!








デカすぎるのだがバスルームも巨大







一通り写真を撮って、ロビイに降りる。現法の人と夕食の予定なのだ。既にいらっしゃっていて、日本側の最高責任者M氏まで来ていて恐縮。ま、単身赴任なので仕事がなければヒマということらしいが。M氏の社用車と、出張者などの送迎用の車に分乗して市内のレストランに向かう。ところが、市内は大渋滞なのである。本日はスランゴール州スルタンの誕生日で、祝日となっている。仕事帰りの渋滞は今日はないはず、どうやら遊びに来ての渋滞のようなのだ。現地の運転手もほとほと困っていた。本来15分以内で着くはずのインド料理屋に、1時間近くかかって到着。M氏の乗った車は別の道路を選択したようで、ずっと前に着いていた由。しかしインド料理屋というと料理が遅いのが常、ビールとせんべいのようなおつまみで過ごしていたそうだ。とりあえずビールで乾杯。ちょうどタンドリチキンなどが出てきた。皿はなく、バナナの葉の上に乗せて食べるのだが、ナイフを使うとさすがに丈夫なバナナの葉も切れてしまうので、ちょっと食べにくかった。要するに手で食べろってことですかねえ。その他、魚のカレー、グリーンカレー(タイ風ではなく、全然辛くない)、ラムのカレー、ナン2種が出てきて、それぞれ美味しかった。渋滞遅刻組を待つ間ビールを飲みすぎたM氏はさすがに飽きてしまって、途中から白ワインに変更。ドライでなかなか良かった。デザートはマサラチャイかアイスクリームというので、アイスクリームを頼んだら、これにもマサラが入っていてなんだか慣れない味だった。また、アイス自体が非常に甘いのだ。コンデンスミルクをたくさん入れているような感じがした。タンドリチキン
魚のカレーグリーンカレー











こんな感じで葉の上で食べるマサラ入りアイスクリーム派手..








2時間近く食事に費やし、22時ごろ解散。我々出張者は現法のTさんの案内で、市内をちょこっと遠回りしてホテルに戻る。渋公園のようなところからツインタワーを望む真下から見たツインタワーワイドコンヴァータを使ってみる滞は既に解消していた。まずはペトロナス・ツインタワー。98年に完成した高さ452mの88階建てで、台湾の台北101ができる前は世界一の高さだった(その台北101も今やブルジュ・ドバイに抜かれているが)。ペトロナスとはマレーシアの国営石油会社で、このビルはほとんどがオフィスビルだ。地上階あたりはスリアKLCCというショッピングモールがあるが、既に22元最高裁だというが..時を回っているから入っても店はやっていないだろう。ツインタワーの間を連結してホテル到着いる空中通路は整理券を入手すれば通れるそうだが、それも午前中に終わってしまうとか。まあとりあえずビルが間近に見られればそれでいいとしよう。その後、元最高裁前などを通ってホテルに戻る。明日8時を約して別れた。






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