06年4月 南紀小旅行 第1日 第2日 第3日

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 私の父はある製鉄会社で働いていたサラリーマンである。定年退職し自営業に転じて17年、その自営業も引退することになった。そこで、慰労旅行というのを計画した。メンバーは両親と、妹夫婦である。週末に1日だけ休みをつけて、南紀白浜に行くことにした。箱根あたりの温泉でもいいのだが、航空機の費用は別としても、時間はわずかに60分で速く移動でき、しかも朝と夜の便があって行き帰りが便利なのである。そして、私の父は大阪出身、母が岐阜出身で、南紀は曾遊の地である。それは40年前とか、たいへん昔の話であるので、この目的地の選択はなかなか良いと思う。早割のチケットを確保して、旅館はラフォーレを会社経由で割引で予約し、現地の移動はマツダレンタカーでプレマシー(6人乗り)を借りることにして、万端、準備は整った。


第1日 06年4月1日

 天気予報では本日は晴れるが明日は雨の様子だ。一昨年、結婚後に親を東北に連れて行ったときは台風が来てひどく雨に降られたのを思い出す。羽田空港には8時半に集合、としてある。皆、予定通りに到着した。父は、製鉄会社を退職してから国内線に乗ったことがない、という。確かに、退職する前の何年かは出張のない部署に居たようだし、自営をし始めてからは海外旅行が多い。もっとも父が働き盛りの頃、例えば北海道への出張は航空機ではなく寝台列車と青函連絡船、という時代だったのだ。出張は一大事であり、硬券の切符は大切に持ち帰っていたし、出張の様子は8mmフィルムに収められていた。それを見て北海道っていったいどんなところだろうと思っていた私も今やその頃の父の年齢になり、出張で年30回以上飛行機に乗っている。なんだか感慨深い。

 さて、手荷物検査を通り、国内線にほとんど乗らない配偶者Sは空弁(駅弁、に対抗して出来た用語か?)を探しに動き回る。空弁というもの、話題にはなっているものの、選択肢はあまりなくて、また、売店の系列で品揃えが違うので空港内を探して歩くのはちょっと面倒だ。私は焼き鯖寿司とサンドイッチにした。ロビイでそれを食べたが、サンドイッチは味が薄くてパンが湿っていてひどいものだった。焼き鯖寿司はいつも安定して美味しい。
 予定通り機内に入る。機体はMD-87で、定員は134人、グループ会社を除くJAL本体では最も小さい航空機だそうだ。南紀白浜空港には東京からこの飛行機が3往復しかなくて、つまり白浜空港では定期路線での乗降客は一日あたり最大で804人しかいないわけだ。東京からこの地方への乗客需要はこれほどに少ないのかと思う。今日のJL1381便は満席である。私たちは2ヶ月前に予約しており、しっかり窓側を確保してある。ただ、陽はあるもののうっすらと花曇りの天気で、景色はあまりよく見えないようだ。離陸待ちをして、10分ほど遅れて飛び立った。
 機は、大島の方向に向かい、そこから西に転じて海の上を飛ぶ。私が座っているのは左側なので、私は海しか見えない。親を右側にしておいたのは正解で、富士山が見えたと喜んでいた。そこからは徐々に雲が多くなり、白浜上空では少し揺れた。どすんと着陸し、滑走路で大きくブレーキをかける。滑走路が短いのか、あるいは真ん中に下りてしまったのかは分からないが、こんなに急ブレーキってのもあまり経験がない。周りの乗客もこれには少しざわざわしていた。

 空港南紀白浜空港にての建物はごく小さい。1日3便しかないからタラップを降りて歩いても支障はないと思うのだが、機体を空港に直に着ける形式だ。出口ロビイは狭い。が、乗客も134人しかいないからすぐにガランとなる。マツダレンタカーの事務所はここにはなく、迎えの車が来てすぐに客は居なくなり、寂しいいるのだが、トイレに行っている間に迎えの人が行ってしまった。別の一組の客で終わりと思ってしまったらしい。おいおい、名前くらい確認してくれよ。電話したら、なんと我々は直接事務所に来ることになっていた。予約の手違いか..とはいえここからレンタカーの事務所(白浜駅前)までは車で10分以内であり、これから向かうというから、たいして待つわけでもない。空港前をぶらぶらして、人気(ひとけ)のない空港を眺めていた。
 迎えの車は日産の1ボックスカーだ。しかもレンタカー。マツダレンタカーが日産レンタカーから借りているのか、よく分からない。市内の交通量は少なく、すぐに事務所に着いた。駅前の交差点を左折してすぐに事務所があり、車を返すときに追突されたりしないかとちょっと心配だが、交通量からして大丈夫なのかもしれない。簡単に説明を受け、カードで支払いをして車が回送されてくるのを待つ。事務所脇のスペースが小さくて、駐車場が別のところにあるらしい。プレマシーは予想より大きくて、何とか6人で100kmくらいは移動できそうだ。鍵が無線になっていて、鍵をポケットに入れておけばエンジンはスイッチを入れることで始動する。これはなかなか便利。後部ドアは左右とも電動スライドドアで、開け閉めに慣れを要する。が、じきに慣れた。平草原公園
山の上から白浜中心部を望む まずはホテルに荷物を置きに行く。6人乗りだが、6人乗ると後部のトランクスペースはほとんどないからだ。時刻が早いからホテルにチェックインはできないが、快く預かってくれた。いろんな説明が長いのが気になったが。ホテルを出て、街を眼下に見られる山の方向に行ってみる。公園があって、桜祭りが開催されていた。この平草原公園と、空港の旧滑走路は桜の名所らしい。駐車場に車を入れて、山から海の方向を見ると、緑色の海に白い海岸が美しい。なるほど、白浜である。公園はけっこう人出があり、芝生の上にはシートを広げて弁当を食べたりする人がたくさんいる。山の上なので若干坂道が多く、高齢の父にはちときついようだ。桜は散り始めており、場所を選んで撮影する。この公園は何となく来ただけだが、なかなか楽しめた。
平均台ではしゃぐ筆者桜









 ほ天ぷら定食かの人が弁当を食べていると腹が減るもので、昼食にする。街中に下りて、「銀ちろ」という店に行く。名物と銘打った天ぷら定食を注文する。Sは鰻定食。他に、握り寿司を2つ頼んで皆で食べる。一つ誤算だったのは、定食のご飯が大盛りだったこと。定食+寿司というのは量が多すぎた。赤だしの味噌汁と、天つゆが薄味で上品である。天ぷらはからっとしていて銀座通りエビがぷりぷりしていて美味しい。ただ、ご飯が少し柔らかすぎで、これは寿司も同様、ちょっと胃がもたれそうな感じだ。寿司のネタは分厚くてなかなかよかったが、酢飯がどうも、もちゃっとしていて気になった。
 食後、そのまま車を停めさせてもらって付近を歩く。未だ観光シーズンには早いのか、街は静かである。店の向かいに足湯があって暖かい湯が流れている。この付近から街のメイン道路までが白浜銀座というそうだが、古びたアパートやバーの集まりがあっていまは気味悪いほど静かだ。夜はそれなりに賑やかなのかも知れないが、今回、夕食は全てホテルでコースを予約しているから、たぶんここには来ないだろう。

千畳敷にて大きな足跡に見える 次に、景勝地を見て回ることにする。千畳敷という広く岩が露出している海岸に行く。こういう地形はどこでも千畳敷、と言いますな。私が千畳敷と言われて思い出すのは青森県の深浦というところにあるのだが、それは茶〜黒色のゴツゴツした岩が続く海岸だ。ここは薄茶色で、岩が柔らかい。そのせいもあって、岩に落書きを彫り込む人が後をたたないようで、至るところに名前や訪問日時が彫ってある。いやな気分になる。中判カメラで海岸を撮っていたら、ファインダーの片隅に、岩に座ってチューチューしているカップルが見えた。この、人の多いところで..素晴らしい。
撮影中の筆者、後方は父千畳敷にて









 天気は下り坂で、雲が多くなってきた。次に向かったのは三三段壁段壁で、ここは切り立った崖である。その下には洞窟があって、昔は熊野水軍の根拠地であったり、鉛の鉱山があったりしたらしい。崖の先端まで遊歩道が整備されていて安全に歩くことができるが、向かいの岩は柵がなくてそのまま海の上だ。ゆえにここは自殺の名所でもあるらしい。柵の無いところにけっこう人がいて、見ているだけで怖い私は相当の意気地なしであろうが、怖いものは怖い。ところで、ここで中判の1本目のフィルムが終わったのだが、カメラの上部を見て愕然。全て、露出補正を+1段(明るく補正)で撮っていた。いやー、そういえばなんでこんなにシャッター速度が遅いんだろう、と思いながら撮っていたが、その原因はこれか。ところが、帰った後現像に出したら、適正に撮れていた。シャッター速度が遅すぎと思って、明るいところを測光して撮っていたのだった。ポカミスをしながらさらにマイナス側に補正とは、私もヘンなところで器用だと思う。
洞窟と海の水 と、それはさておき、下の洞窟に降りてみることにする。エ弁財天レヴェータがあって、1200円も入場料がかかる。ネットで割引券を印刷すると990円だが、ちと高い。降りたところが相当大きな空間で、水軍の船や鎧兜などが飾ってある。左手には波が打ち寄せている洞穴があり、そこで係の人が記念写真を撮ってくれる。それが、チェキという小さなインスタント写真なのでちょっと笑ってしまった。帰りに枠に入れて売るのだろうが、いまどき、こんな小さな画面の、もやもやの写真で集合写真ってのも珍しい。デジタルカメラで撮って、帰りにプリントするかどうか、って聞く方がいいと思う。要らないと言われれば画像ファイルを消すだけで済むし..余計なお世話であろう。洞内に打ち寄せる水は、深いエメラ洞窟の壁面は鍾乳洞のような感じルド色をしていて、岩の赤茶色との対比が美しい。しばらく写真を撮っていて、右手に移動すると鉱山跡のイメージか、坑道のように奥に通路がある。その途中に弁財天(牟婁(むろ)大辯財天)があって、献灯がずらりと並んでいてきれいだ。ここの手水はなんと温泉だった。さらに進むと、水軍の根拠地跡のように設えたスペースがあったりするがそれほど充実した展示でもない。ほどなく、元のエレヴェータ近くの通路に戻る。
柵の無いところから撮影 地上に出て、柵のない方の崖に行く。うひゃー、やっぱり怖いな。とても先のほうには行く気がしない。早々に引き上げる。帰りに土産物屋を冷やかす。1割引しまっせー、というあたりは関西だなぁと思う。見ると、こういう土産物というのはどこでもだいたい1050円とか、キリのいいところ+消費税の価格になっているものだ。そこから何も言わなくても1割引なら良いことではないか。ついついそのまま払う習慣がついてしまっている関東人(実は元関西人なんだが)には、これは新鮮だ。Sが会社向けの土ホテル外観産物を買った。

 暗くなったので、今日はここまで。ホテルに行き、チェックインをして部屋へ。昼間、長々と説明などをしていた割には、荷物が違う部屋に届けられていた。まあ、同じグループ内だからいいけど。親は海側の、眺めが良い部屋で妹夫婦と私たちは山側である。山側といっても、遠くに海が見えなくもない。部屋はどこも広くて良い。広くて、団体客がつい宴会をしてしまうのか、カーペットのところどころに染みが出来ているのには苦笑する。
 一眠りして、夕食へ。Sは一風呂浴びた由。今日は和食コース、明日は洋食である。食事については長くなるので省略。写真などは別ページにしておこう。久しぶりに、関西風の薄味の料理を食べたような気がする。最初は薄いと思うのだが、コースも半ばにはそれが適切な気もしてくるから私も定見がないというか。海が近いから全体が魚料理中心で、あっさりとしながらも充実した料理だった。満足した。家族風呂からの夜景
 食後、Sと家族風呂に入る。ここは風呂が11階にあるのだ。大きな風呂は見晴らしがよいらしいが家族風呂も十分広くて良い。ゆっくり入ることができた。


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