03年4月中旬
第3次米国旅行(ハワイ)

第1日 第1日後半 第2日 第3〜4日


●第1日 後半 03年4月13日(日) オアフ島→カウアイ島→オアフ島

 ホテル出発から後半へ、と書いたがすぐに出発にはならない。カウアイ島へのフライト、レンタカーは全く手配していなかったのだ。出たとこ勝負という実にいいかげんな旅行であるが、それを言っても仕方ないので、まずホテルのツアーデスクに行ってみる。ヒマそうにしているオヤジにワイメア峡谷に行きたいのだがと問うと、あるパンフレットのコピイらしきものを持ってきて、ここだと蛍光ペンで丸を付けてくれる。ちょっと待て、それは、ワイメア滝じゃないの?オアフ島の..オーゥ、違うのかい、ワイメアキャニオン?そりゃカウアイ島だ。飛行機で行くところだよ(知ってるって)。今から?それはどうかな。ここに電話してみな。と、アロハ航空の電話番号を書く。うーん、こんなことなら日本で予約しておくのだった。泣ける応対だが、当日、しかも10時近くに当日のツアーを申し込むのも相当アホなので、こっちも悪い。そこで別のツアーデスクに行く。このホテル、3つもそういうコーナーがあるのだ。
 2軒目のおばちゃんはすこぶる親切で、事情を察すると、どこぞに電話して早口で内容を告げ始める。電話口の向こうでムリだと言われているようで、そこを何とか、という感じで交渉している。何だか申し訳ないのであるが、しばらく待たされていると、フライトとレンタカーは取れた、と事も無げに言って、メモを取り始めた。フライトは13:00発、帰りは17:15発、カウアイ島にいるのはたった4時間15分である。飛行機に搭乗する手続きも考えると3時間45分であり、レンタカーを借りて、満タンにして返すことを考えると3時間ではないか。どうもこれはムリがありすぎる。と、取ってもらってから言っても悪いので、これで行くことにする。3人で、$546なのでかなり高い。レンタカー抜きにしてタクシーにすると+200くらい余計にかかると言っていたので、これでもマシな方か。フライトが13時になったので、しばらくヒマになり、11時まで部屋で休憩する。寝るほどの時間はなかったので、ぼんやりしていた。

 11:05、ホテルを出発。タクシーである。前回ハワイ島で乗ったリンカーン・タウンカーで、グエンさんというヴェトナム系らしき人が運転している。この人がまぁ、急げと言ってもいないのに、ぶっ飛ばす。フリーウェイはなんと、80mph(128km/h)も出している。制限速度は55mph(88km/h)なんですが..周りがその速度で流れていないので、追い越し車線上で頻繁にブレーキを踏む羽目になり、かなり怖い運転であった。おかげで、20分もかからず空港に到着し、ただでさえ時間が余っているのに余裕を付け足してくれた。
 さて、国内線であるが、セキュリティは非常に厳しい。団体や数人ずつのグループに分けて、仮設の囲いの中に入れて、一人一人呼び出して身体検査をする。革靴は脱いでX線に、ベルトもバックルを外してぐいと20cmほど引っ張って、おなかのあたりを金属探知機で探る、手荷物はX線の他に目視の検査も行う。ものすごい列になっているのだが、もちろん意に介さずやっている。何しろ戦争の当事国だし、軍施設が近い空港だから厳しいのは当然であろう。
 ようやく開放され、空港内に入る。天気は晴れてきているがちょっと湿度が高いようで、カラッとはしていない。木陰で休んでいたいが(空港内に小さな庭がある)、人が多く、休む場所がない。そう、この国内線ターミナル、人が多いのだ。成田はガラ空きだったような気がしたが、ここは大変混んでいる。本土からの観光客が多いのだろうが、盛況なのは良いことだ。しばらくうろついていたら、ゲートに人が並び始めた。アロハ航空は自由席なので、早めに並んだ方がいいのである。ここで航空券をよく見たら、なんと、席番号が書いてある。2A。アロハ航空、いつの間に指定席になったんだ?..と、さらによく見たら、航空券を入れる袋(前回、こんなものはくれなかった)にAloha AIRLINES First Classと書いてある。航空券のCLASSの欄も"F"とある。これは、ホントにファーストクラスかも知れない。恐る恐る、優先搭乗の列に並んでみたら、後ろに並んでいる米国人に声をかけられた。日本からか?そうです、ワイメアに日帰り観光します、みたいな世間話をした後、恥ずかしながら航空券を見せて、あのー、これって、もしかして、ファーストクラスなんでしょうか。ここに並んでていいんですか。あー、うん、そうじゃないの、たぶん。とのこと。じゃぁ、堂々と機内に乗り込もう。なるほど、これは高いはずだ、わずか20分のフライトだから大差はないだろうが、それにしてもどんな区画になっているのだろう。期待して乗り込む。飛行機の優等クラスは生まれて初めてで、優先搭乗も当然初めてである。たった120席前後の飛行機(B737-200)で優先もへったくれもないが、それでも少々得意な気分である。
 機内に入る。ファーストは2+2の4列、後方のエコノミーは3+3の6列で、ファーストは前後のシートピッチはほとんど優位性がないものの、横幅は1.5倍ある。革のシートだがかなりくたびれている。B737-200は60年代からある飛行機なので、古くても当然なのである。先に搭乗して、何をするわけでもないが、キャビンアテンダントが飲み物のリクエストを聞いて回る。一瞬、白ワインと言いそうになったが我慢した。パッションオレンジパンチというものにする。一人一人聞いて回るのだが、ファーストは16人しかいないからすぐに終わってしまう。小さい飛行機なので、コックピットのすぐ後ろ、トイレくらいの狭いスペースがギャレーで、飛ぶ前から氷などを準備している。20分のフライトで飲み物を出すのだから大変だ。
 エコノミーもファーストも満席で、少ない乗客だがそれでも着席に時間がかかり、飛び立つまでにずいぶん待たされた。これは、飛ぶより準備の方が時間を要しているだろう。飛び立って、8分くらいしたところで、飲み物が配られた。未だ上昇中である。小さな、古い飛行機はぐぉーんとうるさい音を出しながら上下左右小刻みに揺れて、健気に飛んでいる。7分くらい水平だったと思うが、あっという間カウアイ島に着陸態勢に入る。左手にカウアイ島が見える。緑色の島だと言うが、実際その通りで、少し曇っているのは残念だ。どすんと着陸して、くるりと滑走路上をUターンすると、すぐに建物の前に着いた。小さい飛行機はこんなところも軽快に思える。20分間のファーストクラスの旅が終わった。

 先に降りて、空港を出る。空港の建物の向かいにレンタカーの事務所があって、そこでヴァウチャーを見せると、あー、予約済みなら向こうの事務所に行ってくれないか、この事務所の裏から送迎バスが出るから。と言われて、裏手に回ってみると、ほどなくマイクロバスが来た。乗客は我々も入れて3組。バスの中は寒いほど冷房が効いている。ハワイではどこも、閉鎖空間は涼しく(寒く)するようだ。14時前に、ダラーレンタカーの事務所に着く。巨大な事務所で、レンタカーも何十台(いや100台以上?)とある。さすがだ。それで、受付にヴァウチャーを差し出すと、ああ、さっき言ってた日本人ね、と噂されている。そんなにヘンだろうか(ヘンだろうな..)。そう言いつつこの係員、仕事がまどろっこしくていけない。係員が悪いのか端末が悪いのか、3台も機械を変えて、手続きをした。返すときに満タンにするのが面倒なので、満タンにしないオプションがあるかと聞くと、3種類のオプションの違いを延々説明してくれるのだが、パンフレットの表題を見れば内容は分かるので、あのね、1番のにして、とあっさり決める。タンクごと買うような仕組みで、実はこれから行くワイメア峡谷往復程度の距離(110km程度)では大損もいいところなのだが、まぁ止むを得ない。
 それで車はというと、満タンの車ってどれだっけ、とカギを探している..おいおい。こういうリゾート地で忙しくしているのは我々日本人の悪いところであろうが、それにしてもこの事務手続きの遅さは勘弁してほしいと思う。事務所には長い列が出来た時のためにロープで通路(?)が作ってあるが、混むときはものすごいのだろうと想像する。保険、ガソリン代で税込み$80は高い。そもそも24時間の契約で4時間しか乗らないのが問題なんだろうが。14:15ごろに事務所を出て、C-2というところに行ってみると、深緑色のカローラが止まっていた。父親が25年くらい前に乗っていたコロナ・ハードトップと同じ色で、懐かしくないこともない。と、感傷に浸るヒマなどなく、すぐに乗り込んで、シートとミラーを調整して、出発する。ハワイでの運転は6年半ぶりなので、ちょっと不安もあるが、公道に出てみたらそれほどのこともなく、すんなりと走ることが出来た。まずは50号線に到着、ここを左折して西に走る。道路は片側1車線で、日本の2桁国道(地方の)と同じような雰囲気である。平坦で、真っ直ぐで、走りやすい。時折うねるように上下左右に大きく曲がるのが、火山の島なのだと実感する。カローラのステアリングはダルで、足回りもふにゃふにゃで、エンジンブレーキはほとんどかからず、今の50号線には合っているが、アップダウンやカーヴでは少々心もとない操縦性である。道はだいたい55-60mphで流れていて、速度制限も一部60mphのところがあったから、こんな速度で大丈夫なところなのであろう。しかし、いくら見通しが良くても住宅地が近くなると制限がきつくなるので、注意していないと事故の元になる(当たり前)。天気はあまり良くなく、うす曇というか、モヤがかかったような天気。暑苦しいので、エアコンはフル稼働させていた。

 途中、ハナペペ峡谷展望台で右側に雄大な景色が見えたが、寄っていると時間がなくなりそうなのでパス、ワイメアへと急ぐ。ところが想定していた時刻通りにワイメア(峡谷手前の町)に入ったのだが、ここで55号線に右折するのを忘れた。小さな交差点で、見逃してしまったのだ。でもこの先、550号線でもいけるので、気にしないで走る。気にしないというのは実はウソで、4マイル(6.4km)ほど遠回りなので冷や汗をかいている。余計なことを言って親を不安がらせることもあるまいと、平静を装って運転していた。
 3マイルほど走ってケカハの街から550号線に右折、ここからが山道になる。6年半前のハワイ島、オアフ島でもそうだったが、実は、ハワイは山道が多いのだ。海のイメージで走れるのは海岸沿いの道だけで、小さな島に高い山があるから山道に入ると運転はきつい。道路状態もよろしくなく、以前住んでいた岩手県の300番台国道(峠の頂上は狭くてすれ違えない道路が多い)を思い出した。カローラの操縦性は極めて悪く、運転者自身も気分が悪くなりそうだ。8マイル(12.8km)弱走ってようやく本来通る予定だった55号線との合流地点に到着、ここで観光バスの後ろについて速度が緩んだが、ゆっくりな方が気楽であった。
ワイメア峡谷 ここからはそれほど時間がかからず、ワイメア峡谷展望台に到着した。15:20、ほぼ1時間である。この展望台に至るまでは峡谷の景色はほとんど見えないので、駐車場から展望台に歩いていくと、なかなかの感動が味わえる。景色は、グランドキャニオンを小さくしたような(私は本家の方に行ワイメア峡谷ったことが無いが)もので、浸食されて出来た峡谷が眼前に広がる。せっかくだからと、三脚を使って何枚か写真を撮る。この景色を想定して超々広角(12mm)レンズを持ってきたのだが、現実離れした描写が得られ、一応その役目は果たされたようである。風が強く、記念写真は渋い顔で写っていた。ところで、先ほど前方を走っていた観光バスの乗客は日本人で、その話し声を聞くに、中部地方、いやもっと限定すれば、岐阜県の言葉のようであった。母方の実家が岐阜県なので、まぁ懐かしくなくも無いが..これも、感慨を覚えているヒマはなく、そろそろ立ち去らねばならない。実は、15:30発を考えていたのだが(たった10分の観光!)、既に7分遅れている。峠道でワイメア峡谷怖いのは実は下りなので、この7分の遅れは厳しい。もちろん、時間を忘れて写真を撮っていた私が悪いのだが。急いで帰らなければならない。帰りはちゃんと55号線に左折し、近道をする。しかし、この車は2ndにしても全然エンジンブレーキがかからない。こんな設定で峠を走れるかと憤慨する。50号線までの7マイル(11.2km)、ヒヤヒヤし通し、景色などまるで目に入らなかった。
 50号線に左折し、ここからは来た道を戻るので、少し速度を上げる。それでも65mph(104km/h)くらいまでで、もちろん住宅地は速度を落として、流れを阻害しない程度に走っていた。帰りは少し眠かった。

 空港への道路を右折、ああやっと着いた。親に先にチェックインしてもらおうかと考えたが、3枚分の航空券を一緒に発券し、その時パスポートと本人確認が必須なので、先に行ってもらっても無駄である。レンタカー事務所に直行する。リターンと書いてあるところに車を停めて、事務所に顔を出したら係員が来て車の外観をチェックし、OK。すぐにマイクロバスが来て、空港に着いたのが16:50ごろ。チェックインは出来たが、あなたがたの飛行機は極めて出発時間が迫っているので、急がなければならないと警告され、それでもセキュリティでは靴を脱がされカメラを検査され、17時過ぎにゲートに着いた(搭乗開始は16:55なので、遅刻)。いやはやまったく、とんでもない旅優先搭乗?であった。搭乗開始が遅れていたので、ゲート待合所の隅で待っていたら、近くの7Aゲートから乗せてくれるというので、そこから地面を歩いてタラップを登った。一番後に来て、一番最初に飛行機に乗ってしまうという、傍から見ているとずるいヤツらに見えたであろう。いや、偶然7Aゲートのそばにいただけである。ちなみに、帰路はエコノミーなので、自由席であった。3列シートに親と並んで座ったが、もう疲れ切っていて何も話さず、飲み物ももらわずに眠っていた。帰りも20分でホノルル着。空港からはロバーツ・ハワイのバスでホテルまで、車内が寒くて震えそうだったが、ずっと寝ていた。

 ホテルに着いて、食事に行く。親は外で食べたかったようだが、私は動くのがいやで、ホテルのレストランで済ませることにした。シーフードのブフェイにして、自由に取る。エビ、カニ、マグロの刺身2種、このマグロに中華風のソースをかけたものが新鮮な味で美味しかった。さらにエビ、ナス、かぼちゃのてんぷら、カジキマグロの焼き魚、すし(マグロ赤身、サーモン、穴子)、海鮮チャーハン..数え切れないほどあり、どれも美味しい。そして期待していた海鮮チャウダーというもの、クラムの代わりにエビ、ホタテ、イカなどを入れたものだが、これがコクがあって実にうまかった。バドワイザーを飲んだらすぐに酔ってしまった。食事中、親が不愉快な話をするのでちと不機嫌になる。どうもこの、話を切り出すタイミングの悪さは、自分にも大いに遺伝しているが、いただけない性格だ。私もこれで過去にずいぶん失敗しているが..ま、心配してくれているのは理解できるので、あまり不機嫌になるのもよくないことである。深く反省する。

 もはや何もしたくない。時計を日本時間のままにしてあるのでそれを見ると、徹夜して深夜1時まで起きている状態であった。これはさすがにきついはずである。日記をつけて、シャワーを浴びて寝てしまうことにする。


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