■35mm判 | |||||
Vito BL */Vito IIa | |||||
フォクトレンダーのカメラを初めて見たのは、銀座の中古カメラ市、H田カメラであった。まばゆいばかりのトップカヴァー、ガラスの塊が埋め込まれたような大きなファインダー、それが、Vito BLだった。ピントは目測、それがかえって新鮮で、何度も手にとった挙句ついに買い求めたのだった。レンズはカラースコパー50mmF2.8、写りは秀逸。クリアなファインダーは写真自体の出来に関係ないのだが、やはり気持ちがいい。 その後F3.5カラースコパー付きのフォールディングカメラ、VitoIIaを買い、こちらの方が持ち運びには都合よく、目測カメラのメインはIIaに移った。カラスコパーはとにかく色がいい。ピントもキリっとしていて、山登りなどには最適だ。 Vito BL/Vito IIa作例へ |
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Vitomatic IIIb/IIa | |||||
戦後のフォクトレンダーといえばノクトン、ウルトロンあたりが高名であるが、そのウルトロンの写りを体験すべく、これまたH田カメラで購入したものがこれ。横をぎゅっと絞って小さくしているが、いささか持ちにくい。縦もフィルムパトローネ室を下に開けるようにして高さを抑える工夫があるが、ファインダーが等倍のガラスブロックなので、全体としては低くなっていない。ちょいと頭でっかちなカメラだが、巻き上げやシャッターレリーズの操作性はよく、快調。ファインダーの中に絞り、シャッタースピードの数字を光学的に注入する工夫には頭が下がる。 レンズはコントラストが強くなく、非常に細かい解像と明るいボケ味が特徴。 そして・・・IIIbを持っているのに、IIaも入手してしまった。IIIbよりは前の世代であり、全体にシンプルな外観で、こちらの方が好きな方もいらっしゃるかと思う。シャッターボタンがトップカバー上にあるので、普通のカメラの構え方に慣れているならこちらの方が使いやすいだろう。 Vitomatic IIIb/IIa作例へ |
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Prominent I / Ia (35mm判) | |||||
プロミネントというのは元々戦前の6×9判カメラのフラッグシップモデルである。その名を35mm判で復活したものがこのカメラで、もちろんフォクトレンダー社としては、フラッグシップ的な意味でプロミネントの名称を再度使ったのだろう。 所謂、レンズシャッター式でのレンズ交換カメラで、50mmレンズにヘリコイドがなく、シャッターごと繰り出されてピントを合わせるやり方である。35mmと100mmは、その50mmの繰り出し量をそれぞれのレンズに変換する機構を内蔵していて、大変に凝った内容のカメラになっている。同時代のライカよりは幅が狭く、見た感じの立派さに比べてコンパクトに感じられるカメラだ。なお、高さはライカより高く、これはもちろんレンズシャッターをカメラに内蔵したためゆえで、その分ファインダーにしわ寄せが来て、暗くて小さなファインダーになっている。このファインダーは、その後改良されて交換レンズの枠が見えるようになり、さらにII型になりガラスブロックの等倍ファインダーを実現するも、レンズ交換式レンジファインダーカメラとしてはこれで最後となり、その後は主力が一眼レフに移っていく。 ノクトン50mmF1.5のために買ったようなものである。残念ながらカメラ自体は少々使いにくく、アダプターを介しライカで使うことが多い。しかし、最近交換レンズを入手し35mm、100mmも使うことになったので、このカメラも積極的につかうことにした。それに伴って作例ページも分けておく。 Prominent 作例へ |
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Vitessa | |||||
大雑把に言うと、前期タイプの最後のほうの型になる。露出計はなく、アクセサリシューは固定。 このカメラの特徴はなんと言っても、プランジャーを押し込むことでフィルム送りとシャッターチャージをする独自の機構ではなかろうか。発売当初の頃、フィルムはノブを回して巻き上げる機種が主流だったから、このカメラの機構は衝撃的だったに違いない。左手でフィルム給送とシャッターチャージ、右手親指でピント合わせ、人差し指でシャッターリリースという分担になるが、プランジャーを押し込むストロークが長くてカメラが動き構図がずれたりするので、ものすごく速写性に富んでいるというほどではない。 ファインダーは若干暗めで二重像も合わせやすいとは言えないが、パララックス補正もあり、随所に凝った工夫があるカメラである。レンズを上下を押すと格納扉も閉まり、その次にプランジャーを押し込むと巻き上げに影響なく格納される。シャッターボタンも1段階短く格納されるあたりの細かさがすごい。撮るときはシャッターボタンを押し込むとプランジャーとレンズ格納扉が開く。 レンズはウルトロン50mmF2付きの他に、カラースコパーのF2.8やF3.5が付いたモデルもある。自分の持っているモデルはウルトロン付きである。 Vitessa Ultron 50mmF2 作例へ |
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Icarex35 | |||||
バヨネットマウントタイプと、M42マウントタイプがある。私の持っているのはM42機。プリズムファインダーではなく、上から覗くウェイストレヴェルタイプなので、左右逆像で、縦位置は撮りにくい。カメラはこの機種のあと35Sになって、VSL-1が出るところでツァイス・イコン・フォクトレンダーはカメラから撤退する。70年代のカメラとあって大きく、重く、うるさいのは残念だが、その時代としては標準的なものかと思われる。 |
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M42レンズは別ページにしました。 | |||||
デッケルマウントのレンズは別ページにしました。 | |||||
■中判 | |||||
Bessa II | |||||
中判をやってみようと思っていきなりこれを買うというのはなかなかとんでもないことかもしれない。黒部に観光に行くとき、カラーヘリア付きベッサIIを買ったのだ。F8くらいに絞って撮る分には、風景もばっちりのレンズであるが、残念ながら開放付近はかなりもやもやの描写であった。 ベッサシリーズはフィルム圧板がゆるいので、フィルムに巻き癖が強いと平面性が悪くなるようだ(そもそも裏紙がある時点で平面性は厳しいのであるが)。特に、蓋を開け蛇腹を開く際の負圧でフィルムが浮く可能性があるので、ゆっくりと蓋を開け、撮る直前に巻き上げるようにしている。さらに、二重露光防止の機構がないので、フィルムを送らずともシャッターはいくらでも切れてしまう。よって、自分の場合は巻き上げの後に、露出を決めてシャッターのチャージをという手順を決めているが、初期の頃には何枚も無駄にした。フィルム1本で8枚しか撮れないので、失敗時のダメージが大きい。メモ帳を持ち、撮る度に撮影条件を記録する、ということを徹底するのも二重露光防止にはある程度役立つだろう。必ず記録する、というのも忘れたら防止手段にはならないが、とにかく8枚しか撮れないから慌てても仕方なく、ゆっくりやるしかないと思う。 他に使っていてやりにくいと思ったことは、三脚への装着である。三脚穴がボディの端っこにあるので、三脚に固定した時にぐらぐらするのだ。古いカメラの三脚穴はそういう位置にあることは多いが、このカメラは横方向に長い上に三脚穴周辺の平らな部分が少なく、ぶれがちである。そこで、カメラを2台載せるためのバーを使って左右2箇所の三脚穴で固定し、三脚への固定はバーの中央のねじ穴を使うというやり方で対策している。 後年、ヘリア付きは手放し、代わりにアポランター付きを購入した。清水の舞台から、という言葉を意識したのはこれが初めてであった。そのアポランター付きも既に手元を離れ、今はカラースコパー付きを使っている。大画面が得られる一方で大きく重いボディを持ち歩くのはなかなか大変だし、8枚撮りゆえフィルム本数が多くなるから旅行に持って行くかどうかはいつも悩みがちで、年齢を重ねてくるとまあペルケオでもいいか、と妥協することが多くなってしまい、近年出番が減っている。フォーマットが違うからその妥協はおかしいのであるが.. 6×9に限らないが昔の中判用のレンズは、今の35mm判用(や、マミヤ7シリーズなどの新しい中判)ほどキリキリしたピントは来ない。フィルムをルーペで見ている限り、それほど解像感がないと思うのだが、これが半切まで伸ばしても全然変わらないのが不思議だ。やはりフィルム面積による情報量の差は大きい。 Bessa II 作例へ |
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Bergheil * | |||||
ベルクハイル、つまり「山万歳」という。ドイツでは登山のときの挨拶の言葉らしいが、当時はこれが登山向きの小型軽量のカメラだったのであろう。今でも、6×9または4×5の蛇腹カメラというのはそれほど形や機能が変わっていない(というより、変えようがない)ので、これも十分に実用になるカメラだと思う。 レンズ交換式のモデルなのだが、交換レンズがなかなか市場に出ないこと、カメラ自体の蓋が邪魔で広角レンズが付かないこと、などの不都合がある。ゆえに標準レンズ一本勝負..といえば聞こえは言いが、結局持っていないに過ぎない。しかし、それで別に構わないと思わせるだけの佇まいと実力を持っている。レンズはヘリアの105mmF4.5と120mmF4.5の2種類を所有していたが、カメラも含めかなり前に手放した。いずれのレンズもカラーではちょいと色再現が地味に見えるものの解像はしっかりしておりレンズそのものは実用にはなるが、何しろ撮影手順が煩雑なのは否めず、ピント合わせ、絞り・シャッターセット、フィルムバック取り付け、遮光板上げ、撮影という一連の動作には慣れが必要だ。 |
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Perkeo I / Perkeo E | |||||
ペルケオ銘のカメラは戦前戦後で2種類あり、ここに挙げているのは戦後の6×6判の方である(戦前は127フィルムの4×3判)。蛇腹カメラの特徴として畳むとコンパクトになるわけだが、このカメラはフィルムゲートの大きさ以上の部分も省スペースになっており特にコンパクトな外見で、遠目には中判に見えない。I、II、Eの3種類がある。レンズはカラースコパー(3群4枚)とファスカー(3群3枚)の2種類。最初にI型のカラースコパー付きを入手、単独距離計付きのE型を入手後にI型は手放したが、その後ファスカー付きのI型を再び入手している。なお、E型は日本での通称(距離計:Entfernungsmesserの頭文字)で、フォクトレンダー社のモデル名としてはIとIIであり、I型に距離計を搭載したものがEと称されている。海外ではIII型という分類も見られるが、いずれにしてもカメラにはEやIIIが表示されているわけではなく、単にPerkeoとなっている。 II型は巻き止め装置が内蔵されていて、IとEは裏窓でのコマ番号確認方式になる。I型でもシャッターボタンへの二重露出防止機構は入っているが、フィルムの位置は自分で裏紙の数字を見て合わせなければならず、慌てて巻き上げると行き過ぎてしまうので要注意だ。個人的に6×6判は苦手なのだが、このカメラは写りのよさと、持ち運びが楽なことでよく使っている。 カラースコパーは極めて鮮鋭で、色がよく出るレンズである。ファスカーは3枚レンズらしく周辺の描写が若干落ちるが、中央はシャープだし、目測で使うとなれば必然的に絞るのでほとんどの部分でシャープに写る。どちらかというと、後期のものがコントラストもはっきりして、現代的な写りのように思う。若干、周辺光量落ちがある。 Perkeo 作例へ |
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