18年8月中旬
第1次小笠原旅行
●第4日 19年5月4日(土) 扇浦→二見港→南島→兄島海中公園→二見港→境浦海岸→扇浦
今日は、父島への旅行の2回目にして初めて、海の一日ツアーに参加する日だ。あいにくの天気であるが、海に出るから濡れること自体はさほど問題はない..はず(ツアーの中身詳細はこの時点では知らない)。朝食を早めにいただき、出発準備をする。カメラとレンズは少な目にする。海水の飛沫がある船上でレンズ交換はできないから、E-M1mk2には12-100mmF4をつけっぱなしにし、E-M5mk2には9-18mmF4-5.6とPLフィルターでこれはツアー途中で1箇所だけ陸に上がる南島を想定しての組み合わせ。8mmF1.8魚眼、25mmF1.2、300mmF6.3反射望遠、GR3は留守番ということにする。そして水中撮影のためにTG-860、これは必須だ。
二見港に向かう。ツアー会社は、前回ナイトツアーでお世話になった竹・ネイチャーアカデミーだ。ナイトツアーでの説明が丁寧で良いと感じたので、今回もお願いすることにした。他の会社のツアーは経験していないので、単なる主観ではあるが。今日のツアーは、父島の南にあり認定されたツアーガイドと一緒でないと上陸できない南島に行き、その後北上し兄島海中公園、その後イルカを見ながら戻るといった行程だ。父島の南と北を回るから、速いモーターボートといえど時間はかかる。朝から夕方までの1日ツアーで、昼食は船上で取る。ウェットスーツやシュノーケリングの道具一式は貸してもらえる。
ボートは2艘で、何となくグループ分けされて、我々は小さいほうのボートに乗ることになった。大きなボートには大きな風防がついていて、我々のほうには運転席(と言うのか?)のところに小さい風防があるだけだが、まあ、乗客としては視界が広いこちらの方が良い、と思うことにした。岸壁についている小さな梯子を伝って船尾に降り、小さいボートへと乗り移る。点呼をして、すぐに出発した。
天気は曇り。海上の波はさほど高くはないが、これは父島が東からの風を防いでくれているからだそうで、これから向かう南島は父島の「影」から外れている上に、島へのアクセスが南東側ということで、この付近が非常に荒れるとのこと。また、南島の入口が狭いため、波の状況によっては狭い岩の間が通れないかも知れないと言われた。部外者かつ素人である私は、何とか通れる状態であることを祈るしかない。
父島の様子はおがさわら丸の船上からもよく見えるが、こうしてモーターボートで海から眺めてるのも良いものだ。ただ、やはり波に対して船体が小さい分、揺れるのはきつい。このツアーも想定してアネロンを余分に持ってきているので、今のところ船酔いはしないで済んでいるが、やはり南島へのアクセス時はかなり揺れて、ちょっと怖かった。無事に岩と岩の間を通り過ぎると、そこからは小さな湾内で波が収まった。ほっとした。
南島は自然保護のためガイドツアーに入らないと上陸できない上、一日当たりの上陸人数も制限されている。そういう場所であるからもちろん港湾設備などがあるわけもなく、船の舳先から直接岩に取り付いて登っていく必要がある。その岩がものすごく鋭利で、足の裏が痛かった。しばらく岩を登っていくと、遊歩道(と言っても舗装されたりしているわけではない)に出て、そこからは落ち着いて歩けるようになった。尾根の上のような位置から扇池と浜が見渡せる。島の外縁の岩が崩れて海水が入り込んでいて、エメラルドグリーンの扇形の池になっている。その池から浜へはぐるぐると何か跡がついており、これはウミガメのメスが産卵場所を探し回った足跡だそうだ。我々は島に一番乗りのようで、全く人がいない状態の浜の景色を見ることができた。この、南島の形は沈水カルストというものらしく、石灰岩が溶けて窪んで外輪山のような形になり、溶け残って尾根を形成する石灰岩は鋭く尖っているのが特徴らしい。船から上がってきた時の岩がそれだ。
尾根から浜へと降りていくと、ウミガメの足跡は予想以上の幅で驚いた。後から来た方々のために、亀の足跡を消さないようにして歩く。しばらくすると、海から扇池へ泳いで入ってくるグループが現れた。確かに、南島への上陸は南の湾のところと扇池へ泳いで入る、とどこかで見たような気がする。泳いで入るツアーだと、自分みたいに水中だけでなく陸上もきっちり撮りたいという人には向かないと思う。事前にどういうやり方なのか細かいところまでは調べなかったが、まあ、自分のような小学生低学年がいる家族が入れるツアーという時点で、泳ぎ中心ということはないだろう。
しばらく波打ち際でカニを眺めたあと、斜面の地層を見学する。1000年前くらいに生息していたヒロベソカタマイマイというカタツムリのような貝殻が地層に詰まっている。1000年前に絶滅していたという説らしいが、200〜400年前まで生息していたという説もあるらしい。貝殻は持ち出すことは出来ないので、もちろん見るだけだ。
尾根筋に戻り、船のほうに向かっていく。登るときにはあまり気にならなかった斜面が怖い。三男はツアーガイドの方に補助していただいた。ありがたい。自分だと、一緒に落っこちてしまいそうだしな..
船に戻り、練習を兼ねてここで一回海に入ってみましょう、ということになる。ウェットスーツを着て、簡単なレクチャーを受けて、静かに入る。ウェットスーツの中の気泡が浮力を持つので、いったん頭を水面の上に出すと今度はシュノーケリングの態勢に移るのが案外難しい。水温は低く、ひんやりしているし、あまり長時間は泳げないような気がする。ネムリブカがいるあたりまで泳いで行ったら、音に驚いたのかネムリブカは散って行ってしまった。睡眠を邪魔してしまった。すまん。それでも一応1匹いるのを撮れた。水の流れが早く、海底の砂が舞っているのでコントラストは低かった。
船に上がるのにちょっと手間取った。蹴り上げれば上がりますよ、と言われてもこれがね..
ここからは、来たところを逆に向かい、北に進む。途中でクジラが見られればラッキー、とのこと。今は5月だから、ザトウクジラはベーリング海に向かって旅立つくらいの時期らしい。
父島の西に沿って進んでいくと、前方に他のツアーボートが見られ、その近くで海水が吹き上がる様子が。あっと言う間に潜水してしまい、尾びれが水面に見える瞬間だけ見えた。しかもちょうど船の進行方向だったので手すり視界に入ってしまい、まあこればかりは運だから仕方がない。いったん潜ると15分くらいは上がってこないとのことで、しばらく待つが結局近くには戻ってこなかった。たくさん見られる時期は2〜3月のころで、その時期に1週間休むのは難しいから、定年後の課題としておこう。
父島の北にある兄島に到着した。昨日行った宮之浜の沖合、海峡の向かい側が兄島海中公園となっているのだ。ここでボートを係留し、昼食を頂く。今回ツアーの中ではたぶん、最も素晴らしい体験になるであろう海中公園の上で、食べるのももどかしく、あわただしい食事をした。
そして、いよいよ海中に入る。ここでも三男は入らず船上で待機となった。ここは海岸ではないので、水深は数メートルくらいはある。兄島側から見ると深いところへ濃い青色が海底へと続いていて、慣れない自分にとっては少し怖い。透明度は抜群で、また、サンゴは人々に踏まれない深さに守られていて美しい。今まで、時々海でシュノーケリングをしていたが、今まではいったい何だったのかという程、ここはきれいだった。やはり、砂浜付近でうろうろしていても、プロが案内してくれる海域には敵わないのだ。しばらくすると、船からエサを投げ入れ始めたので、魚がそちらに集結して、自分の周囲からはいなくなってしまった。しかし、サンゴだけを見ていても楽しい。海中は水の流れが早く、油断すると船から離れてしまいそうなので要注意だ。船からも見張ってくれているとは思うが、とにかく自分で方向を見失わないようにしなければならない。しばらく粘って、最後に船に上がった。いや、体が大きくて船に上がりにくいので、皆さんの迷惑にならないように最後に上がったのですよ、まあそういうことにしておいて下さい。
名残惜しいが、兄島海中公園を後にする。兄島に沿って、西側を少し北上するとイルカの群れに遭遇した。海面に背中を見せ、時折りジャンプを見せてくれる。カメラをプロキャプチャーモードにして飛んでいるところを撮影する。この機能は、シャッター半押しで待機し、ここぞというタイミングで全押しすると、そこから遡って35枚分の連写画像が記録されるものだ(連写の間隔はモード設定に依存)。手振れ補正が強力なので揺れる船上でもきっちり止まった画像になり安心だ。フレームに入れることに専念すればたいてい成功する凄い機能で、全くありがたい進化である。昔、フィルムのカメラにモータードライブをつけて撮ったりもしていたが、36枚ごとにフィルム交換が要るし、デジタルになってこういう連写関係は圧倒的に有利になったと思う。
ここからは帰路になる。二見港に戻る前に境浦海岸を見る位置にも行ってくれて、ウミガメが海岸に向かって泳いでいるらしいものも遠目に見ることができた。今晩、卵を産みに上陸するのだろうか。
二見港に着き、ウェットスーツを脱いでツアーは終了した。素晴らしい体験だった。また参加したい。
帰りに、先ほど海から見た境浦海岸に寄って海を眺め、宿に帰ってきた。夕食を頂く。今日はかなり動き回ったからお腹が減っていて、特に美味しく感じられた。
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