10年9月上旬
第2次中国(桂林)小旅行
前口上
中国の2回目は桂林になった。家族旅行として北海道あたりを考えていたのだが、ふと格安ツアーなら近場の海外もアリか、と思って探したのが桂林4日間で5万円のツアー。往復航空券(しかも広州からは国内線もある)とホテル3泊、桂林での観光、全食事つきで5万円という呆れるほどの値段である。それならとフリーの1泊(5000円)を加えて4泊5日5万5千円の構成にした。
家族は私を含めて4人。配偶者S、長男S(3歳11ヶ月)、次男M(0歳11ヶ月)だ。近場の海外、のつもりが何時の間にか国際線4時間以上、さらに国内線50分つきのそれなりに遠いところになってしまったが、子供も2人目になるとわりと勝手がわかって予測もしやすい。で、決行した。
(拡大する写真には枠が付いています)
●第1日 10年9月2日(木) 自宅→成田→広州→桂林
私の会社では、夏休みの連休は7-9月の中で自由設定だ。仕事の進捗とオーケストラ練習の都合を勘案して9月の初旬に休暇を申請した。この時期に休む人はあまり居ないから、空いていることを期待しつつ計画を立てた。
子連れなので、ツアーで流れていくのが楽かと思い、中国専門の格安旅行を企画しているところに頼んだ。インターネット上の評判はあまり良くないが、これは旅行会社が悪いのか、行き先の中国の習慣と日本人の常識が合わないためのものなのかは判然としない。ただ、言えそうなのは、格安旅行なので、パンフレットや説明の類は思い切り省略されている。旅行の約款と請求書だけは来るが、手配がどうなっているか、などはこっちから催促しないと知らせないし、格安といえどビジネスの基本としてはどうだろうかと思った。やきもきしたが1週間前にEチケット控えが発行され、旅行当日を迎えた。
成田へは昼ごろの成田エクスプレスである。自宅近くのスーパーマーケットで弁当を買って、駅に向かう。武蔵小杉駅に成田エクスプレスが止まるようになったので、最寄り駅から南武線1本で行けるのはありがたい。武蔵小杉駅はまだいろいろ工事中で、鉄板で仕切られた通路は蒸し暑い。長男Sは最近、スーツケースの上に座ることを覚えてしまい、長い通路を、合計30kg近くなった荷物を引いて歩くのはきつかった。
しばらく待つと、成田エクスプレスが来た。新しい車両は広々として清潔だ。車椅子で入れるトイレは特に大きくて、用を足すには落ち着かないほどだ。ドアはボタンを押す自動式で、長男Sと一緒に入っていたら、早速いたずらしてドアが全開。そこに車内販売のワゴンが通りかかり、全てを見られてしまった。恥ずかしい。
車内の居住性は良好だ。シートが広いので子供2人連れでも何とか座れる。弁当を食べるにはちときついが。航空機だと長男Sの分は1人分確保なので横には広くなるが、前後は狭いままだからどう過ごすべきか、今から心配である。
車内は1割くらいの乗車率で空いている。武蔵小杉でからの乗客は数えるほどで、まだ認知されていないということかも知れない。品川、東京で乗ってきたが、それでも3-4割だった。
成田に着く。航空会社は中国南方航空(中国での通称は「南航」)で、ターミナルは2だ。南航のハブ空港は広州空港になる。広州へはB777なので新しい機材だ。台湾海峡あたりに台風6号がいるが、航行には支障がないようで、遅れたりする予想もないらしい。搭乗の2時間半前に着いたのだが、カウンターには長い列が出来ている。15分ほど列に並んでいたら、長男Sが荷物の上で眠ってしまった。器用なことだ。次男Mは配偶者Sがダッコひもに入れて抱いていて、こちらも寝ている。
順番が来たので、長男Sを左手で抱き上げ、手続きに入る。ところが、予約がおかしいとのこと。次男Mは乳幼児だから座席がなく、配偶者Sか私の航空券に関連付けられて幼児券が出されるはずが、どうも長男Sに付けられていてそれは正しくない状態だということらしい。これは旅行会社が悪いのか南航が悪いのかこちらでは判断できないが、予約を一旦消してもう一度やり直す、ついては10分ほど待って欲しいと言われた。ところがその10分が全然でたらめで、結局カウンターで30分も立ち尽くし(長男Sはもちろん片手で抱いたまま)チェックインが終了。広州までは3つ続きの席だが、広州から桂林までの国内線は席が2席+1席で分かれている。幼児連れでこれはないでしょうと変更を申し出る。それもすぐに出来ないので、後で搭乗口に届けるという。まあそれは仕方ないか。
それにしてもカウンター周りはいろんな客でやりとりが続いている。私の前には荷物を抱えてウロウロしている欧米人がいたし、隣のカウンターでは超絶にたくさんの荷物を預けようとして拒否されているインド人一家がいる。なにしろ大人2人子供2人で大型スーツケース4つ、小型3つ、ボストンバッグ1つ。いったい、どうやって空港まで運んで来たのか不思議なほどなのだ。当然のことながら、預けるなら超過料金を、いや払わないという押し問答になっている。しかし南航の地上係員は強く、結局インド人一家が引き下がった。一旦外に出て、荷物を整理するなり別送にするかの判断をするようだ。
やれやれ、ようやく終わったと、手荷物検査場手前のソファに座り込む。息子たちはぐっすりだし、チェックインで列に並んで手続きをして、で1時間近く使ってしまったので搭乗まで展望デッキで遊ぶ余裕がなくなった。配偶者Sだけは少しそこらへんを散歩し、私は息子たちとソファで休憩していた。手荷物検査でもけっこうな時間を要して、出国審査を通ったところで搭乗時刻になっていたが、飛行機のほうも10分遅れて搭乗予定時刻が16:05になっていた。優先搭乗をするにも人ごみの中待たねばならず、面倒なので通路の端で遊んでいた。
機材はB777、エコノミーのシート配列は3-4-3列で詰め込み気味だ。クラスは3クラスで、ビジネスとエコノミーの中間がある。チェックインカウンターのところに表示があった「豪華経済艙」なるものだろう。我々が座るのはエコノミーで、予想通り狭い上に個人用のモニタの表示が異様に粗くて暗いのに驚いた。機内はほぼ満席で、荷物を入れる場所を探す中国人たちが大声で話していたりして騒々しく、これなら幼児連れで気がひけることもあるまいと思ったが、幸い子供2人ともご機嫌で、4時間の機内も上手く過ごせそうである。
しばらく待って離陸。天気は台風の影響もあって曇り。富士山が見えたが、窓があまりに汚くて写真を撮る気にならず、早々に外の景色は諦めた。
ドリンクサーヴィスと同時に、チャイルドミールとベビーミールが来た。チャイルドミールはハンバーグとナポリタンという定番。問題はベビーミールで、なんとキューピーの瓶詰めのものをそのまま3個、ごろんと渡された。いやまあ、こういうものは手荷物検査を通せないから、貴重といえばそうなのだが、驚いた。実際問題、この流動食のようなものは次男Mはもう食べないから、これは捨てるしかないだろう(実際食べなかったし..)。長男Sはハンバーグとパンを少し食べただけで終了、成田エクスプレス内で食べたカツ丼弁当(私のを横取り)がお腹に残っているということか。
ドリンクでは、私はビールをもらう。有料ではないのでいまどきの航空会社では良いほうだと思って飲んでみたらなんかちょっとヘンな味。少し飲んだら酔いが回ってきて、最後まで飲めず。大人の食事は魚がうなぎで、肉は豚肉のゴマ味噌味のようなもの。どちらも味はまあまあ。配偶者Sは昼もうなぎだったので今日は鰻尽くしだ。食後のコーヒーはインスタントのような感じで、お茶は美味しかった。
機内で誤算だったのは、エンターテインメント。B777で個人モニタとくればゲーム機能もあるだろうと、ニンテンドーDSは家に置いてきた。それが、映画とオーディオだけなのである。長男Sが飽きて騒ぐのが心配だが、幸い絵本で相当の時間を使うことができた。最後のほうではふざけて自分の座席のどこかに頭をぶつけて泣きべそをかいていたが。一方、0歳11ヶ月の次男Mが意外におとなしい。離着陸時も落ち着いたもので、これはありがたかった。
中国の南の沿岸部を右手に見ながら飛ぶ。天気は相変わらず曇り。機は広州市上空で大きく右に旋回して市街を見せてくれた。窓がきれいなら、とかえすがえすも惜しい。
予定通りに着陸した。成田では機体がまともに見えなかったので、空港でタラップを降りたところで写真を撮っておいた。中国・交通の要衝、とくると撮影は厳禁かと警戒したが、案外なんともなく、他にも撮影している方々がいた。そこからはバスに乗って空港建物へ。入国審査に並ぶと、成田で荷物の数でもめていたインド人一家が近くに居た。無事に乗れたということか。荷物のうち、いくつかを機内持ち込みにして凌いだようだ。が、この人たち、入国審査でも大いにもめて、後ろの人たちが完全に止まってしまったから、中国人の役人もまずいと見たのか、中国人用のブースも開放して後続を誘導していた。ここらへん、わりと臨機応変で良いと思う。入国審査は、顔写真を撮られるが質問事項などはほとんどなく、すんなり終わった。子連れだと写真にちゃんと写ってくれるかどうかが心配だけど、これもすんなり一発で決まって、問題なし。
荷物を受け取り、次の部屋のようなところで国内線のチェックインをする。これは何となく米国での乗り継ぎを想起させるが、やはり荷物はスルーで最終目的地に行ってくれたほうが嬉しい。座席の並びについて希望を言ってみたが、1列では無理ということが改めて分かった。3+3列配置だが、窓側が全部ふさがっていて2人席と、通路を挟んで1列前の1人席が一番近い組合せだというので、それでお願いした。1人席には私が座れば良い。
広州空港は広い。建物の天井の高さが異様なほどで、中国人のスケールは違うと感じる。長男Sが非常なハイテンションで、閉店して何も置いていない土産物屋ブースに入り込んで店員の真似をしたり、大はしゃぎしていた。そろそろ眠くなる時刻だが、広い空港内を抱いて歩くことを考えると、起きていてくれるのはありがたい。
南航の国内線はB区、と聞いている。成田でチェックインしたときに、搭乗券のほかにシールをくれたのだが、これを体のどこかに貼っておけという。これを貼って、あらぬところを歩いていると空港職員が正しいところに誘導してくれるという段取りのようで、つまりそれほど広くて迷いやすいということだろう。空港の見取り図によると、国際線がA区(東館)の南のエリアで、A区自体がけっこう大きいので、A区の北側に歩いて行ってしまう、なんてことがあるのかも知れない。B区は本館という区画を突っ切って西の方向で、またB区が大きく3つに分かれるから、初めての人には大変なことを実感した。
B区の手荷物検査場はなかなか厳しい。長男Sも一人で検査されていた。乗り継ぎは非常に余裕が取ってあり、これから3時間、
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ロビーで待たねばならない。時間つぶしに麺でも食べるか、とレストランに入ったらえらく高かった。チキンの白湯スープの麺と、牛のカレー風味スープの麺、合わせてRMB68、900円近い。閉じた空間は高い、古今東西変わりませんな。味はいずれも薄くて、大人たちには物足りないが、子供はがつがつ食べていた。これは意外だが、中国到着1食目がこれなら幸先良い。
食堂で時間をつぶしても、まだ2時間以上ある。天候の影響か、我々が乗る便の一つ前のが大幅に遅れている。この分だと、我々の便(実は最終便)とほとんど変わらない時刻になりそうだ。最終便への影響がないことを祈る。
配偶者Sと子供2人は散歩に行く。しばらくすると、長男Sが泣きながら走って来たので、何事かと周囲の注目を浴びる。私が抱き上げていると、空港のセキュリティの人が来て、何事だと言う。これは私の息子です、何も問題はありませんと英語で言ったら、セキュリティの人には通じなかった。おいおい、広州アジア大会を前にしてそれでいいのかと思ったら、近くの人が通訳してくれて事なきを得た。何が原因かというと、どこかでふざけすぎて配偶者Sに怒られたらしい。たわいもないことだ。
我々の乗る便は、前の便が大幅遅れというのに、こっちは早くなった。23:05発なのに22:45にはドアが閉まり、すぐに出発。機内は満席だ。深夜だし、飛行時間も50分と短いので機内サーヴィスはないと決めてかかっていたのだが、ミネラルウォータとクッキーが配られた。南航のCAさんは通路側に座った私のテーブルに、3人分のクッキーと水を黙って置いていく。こ、これだ、南航名物と事前に聞いていたサーヴ。自分で窓側の人に渡せというわけだ。通路側の人が寝入っていると、しばらくそこに立ち尽くして、何もしない。いや何だか感動した。
クッキーには手を着けず、あとはボーっとしていた。23:50に桂林空港に着陸。機材が小さいので荷物も早く出るかと期待するも裏切られ、長男Sを抱いたままずっと待つ羽目になった。汗だくだ。
出口には高翠さんというガイドがいて、車に案内された。どうやら、このツアーに申し込んだのは我々一家だけだったようだ。格安ツアーだからどんな団体バスに詰め込まれるかと心配だったのだが、結果はワゴン車を一家でチャーター状態だった。これは実に幸運。集合時刻なども多少自由が利く。
ホテルまでは40分かかる。深夜なので交通量はないのだが、道路の状態があまり良くなくて、工事中でガタガタだったり、その上運転が荒いので、気持ち悪くなった。そういえば上海に出張に行ったときもそうだったな。
高翠さんは日本語が堪能である。いろいろ世間話をしながら車中を過ごしたが、9月上旬は日本からの観光客は少ないこと、さらに、幼児連れというパターンはない、ということも。桂林観光はもっと年を取った人が多いという、まあそうかも知れないが、我々は変わった景色や風俗が見られればいいので、年齢はあまり関係ないとは思う。
ホテルには25:10頃着いた。桂林幸運酒店公寓、英語名はThe Fortune Condominium
Hotelとなる。中国のホテル、英語が意訳になっているのがややこしい。現地のタクシー運転手に英語名を言っても通じないからだ。今回の旅行はガイド・運転手つきだからその点気にしなくてもいいとは思うが、4日目をフリー日にしているので、その時は多少困るかも知れない。
コンドミニアムホテルの部屋は広大だ。居間だけで日本の私のマンションの区画並みの広さではなかろうか。その他にキッチン・ダイニング、寝室(これも30畳くらいありそう)、バス(トイレは別)となっている。広くて困るのはエアコンで、その分、大きくてうるさい。それを除けば、きれいで広くて良い。早速子供たちをベッドに運び、シャワーを浴びて日記を書いたら27時。長い一日だった。
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