15年1月中旬−下旬
アラスカ旅行


第1日 第2日 第3日 第4日 第5日 第6日 第7日 第8日 第9-10日


はじめに

 
オーロラには、前から憧れていた。日程を自由に考えたいことと、家族は寒いところはあまり好まないこともあり、思い切って単独行を申し出て、「これで最後にしてね」と言われつつ許してもらった。
 例によって、会社の勤続5年ごとの特別休暇を使う。14年の初めに14年度の仕事の節目とオーケストラ本番日程を1年分書き出して、その中で10日程度空けられる日程を探すことにした。候補は2箇所しかなく、1月後半か3月。3月は空いているとは言っても、2月に想定される会社の仕事が延びる可能性があって危険な感じがする。ならば1月にしよう。仕事の節目の変動を見つつ半年くらい悩んで、秋に計画を具体化した。目的はアラスカ鉄道、コールドフット(北極圏のドライブイン)滞在、フェアバンクス郊外でのオーロラ観測。出来合いのツアーだとアラスカ鉄道が入らないので、アラスカまでの航空券は自分で手配し、現地の行程を現地のツアー会社に組んでもらった。ツアーで行くのと同じくらいの価格で、少し長めの旅程が出来上がった。

(拡大する写真には枠がついています。また文中にも写真へのリンクがあります。)


●第1日 15年1月16日(金) 自宅→成田→シアトル→アンカレジ

 ゆっくりと起き出して保育園の送りも受付終了間際の9時半に。そのまま川崎に出てヨドバシに現像を1本出し、旅行用のカメラバッグに増槽をつけるべく、固定具付きのポウチを買う。それでも時間があったので、家に帰って掃除皿洗いゴミ捨てをしてから出た。予定の1本前の列車に乗る。昼間だから列車は13分おきだ。武蔵小杉で成田エクスプレス33号を待つ。今度の旅のために買った-50〜50℃の範囲が測れる温度計は18℃を示していた。フェアバンクスでは-20℃くらいだから温度差が40℃ほどになる。と言ってもいまの18℃も異様に暖かいわけだが。
 成田エクスプレス33号は空いている。9号車はなんと私だけである。南武線のプラットフォームから長い通路を歩くとはいえ、便利だと思うが、いつ乗っても混んでいる様子がない。品川で何人か乗ってきて、自分だけという状態は解消した。
 車中はほとんど寝ていた。ターミナル1は、というより成田自体久しぶりで出発カウンターまでの行き方に自信がない。誤ってエスカレーターを途中の階で降りてしまった..やれやれ、何をしているのやら。webチェックイン済みなので、簡単な確認だけで荷物を預けて、展望デッキに上がってみるが建物の構造上飛行機があまりよく見えないのですぐに出国審査を通過した。ゲートの待合所に行くと、乗客はあまりいないようで、人はまばらだった。

 17:30から搭乗開始。客が少ないから優先搭乗もすぐ終わり、エコノミーの搭乗もすぐ始まった。
 ANAの178便シアトル行きはB787で新しく、きれい。電源やUSB端子があって充電しながら音楽を聴いていてもいいし、電子機器の使用制限緩和もあって機内モードであれば離着陸時も使えるのはありがたい。早速エンターテインメントシステムを地図モードにセットして、iPhoneで音楽に浸る態勢に。機内は空いていて私の隣2席は空席だった。定刻の17:55に出発。

 ドリンクサービスは自分には珍しくビールにした。銘柄は選べないのです、とCAさんは申し訳なさそうにおっしゃるが、キリン一番絞りなら大歓迎である。夕食はチーズハンバーグ、さらにKiriまで付いていて、息子たちならさぞかし喜んだだろう。せっかくなので赤ワインももらった。渋い感じがあるが、チーズにはよく合った。デザートにハーゲンダッツ(バニラ)も出て、十分満足した。

 少し寝て、外を見るが漆黒の闇である。星が見えた。飛行ルートによると、緯度は高くないのでオーロラは見られそうにない。
 ところで、私の座席のところは横3列が自分のもの状態な訳だが、横になって寝る態勢はどうにも無理である。ここで寝違えたり腰を痛めたら旅行が台無しになるし、そもそもそういう態勢は安全上許されまい。リクライニングで我慢する。リクライニング角度はほとんど倒れた気がしないが、座面が割に良いのと、網の足置きがなかなか良い。硬い足置きでは姿勢が強制されて疲れる。

 到着2時間前に機内が明るくなる。今回の訪問地のアラスカの時差は日本から見て-18時間、途中経由のシアトルは-17時間だから勘違いしないようにせねば。なお、カメラの時間は出発からアラスカ時間にしている。後々画像整理時に前後が入れ替わるのと面倒だから。
 シアトル時間の8時に朝食だ。日本だと夜中の1時に朝食を食べろと叩き起こされている感じだから辛い。普段ならこの時刻なんて普通に夜更かししているのに、一旦でもちょっと寝ると辛くなる。これから乗り継いでアンカレジ着は14:59、日本時間1/17の9時近く、まだ先は長い。
 朝食は鮭弁当風とオムレツの選択、和食にしたが、まあ普通というか、あまり食べたくない頃合いだから印象が良くないのは仕方ない。

 シアトル近くに来た。左側の座席ではレーニエ山は見えないだろうと予想したらやはり見えなかった。空港手前、旋回したところで一瞬その方角になったと思ったが厚い雲の中に隠れていた。

 シアトルには9:30頃着いた。30分ほど早い。もともと乗り継ぎ時間が2時間で、そこに余裕ができるのも嬉しいが、飛行時間が8時間半から8時間になるのは体力的に大違いで、ありがたい。空港の通路で自分の乗ってきた飛行機の姿が見えるかと期待したものの、成田に続きここも今ひとつだった。残念。

 入国審査は客が少なく早く済みそうと期待するも、なんだか前のグループが手間取っている。いくらグループと言ってもまとまって審査官のところに行っちゃいかんでしょう。それはともかく、一部の人は別室に連れて行かれているし、一体何が起こっているのか。警戒しつつ自分の番になったが、特に何も問題はなかった。
 荷物を受け取り、ちょっと歩くとまた預ける。このシステムの意義がわからない。手荷物検査ではサンプリングの検査に引っかかる。手に何かこすりつけられて、それを機械に入れて検査。薬物とかだろうか。当然、問題なく放免。
 そこから空港内シャトルを2本乗り継ぎ、国内線ターミナルに入るとピザ系の食べ物と香水の匂いが鼻をつく。おお、アメリカに来た、という感じがする。

 成田でアラスカ航空の行程はチェックインできなかったから、航空会社のカウンターを探して並ぶと、もうすぐここは閉めるからあなたの力にはなれない、D2ゲート付近に回って、と言われる。件の場所までかなり歩く。周囲は店が多く、賑やかだ。そのカウンターでは問題なくチェックイン出来た。搭乗券はペラペラの紙。最近は磁気を読むのではなく、バーコードだから紙の質は確かに何でもいいわけだ。

 アラスカ航空AS105便は、使用機材の到着遅れで30分ほど遅れて搭乗となった。人が多く、優先搭乗と普通の列が訳わからない状態で、並ぶ気がしない。優先搭乗の人が多いから、自分は当分先と見て待つのを覚悟する。
 待合所の椅子にはアラスカ航空のロゴがあって、航空会社がこういう設備も準備するのだろうか。椅子の幾つか置きに電源があり便利だ。成田では壁の電源から充電し床に座る人を見かけたが、あれはどうにもいけない。マナー云々よりまずは設備だと思う。
 ようやく搭乗だ。列番号ごとに案内していたのだが、そもそも優先の人が多くほうぼうに着席していない人がいて、まるで列が進まない。まあ、アメリカ人荷物多いしね..仕方ない。そういえば、この飛行機に日本人らしき人はいない。結局、後半のフェアバンクス郊外のロッジまで、これから日本人を全く見ない日が続くことになる。

 席は30F、右側窓際だ。このフライトも隣がおらずラッキー。他はほぼ満席なのに。

 窓が汚く、外もずっと曇りで、しばらくすると寝てしまう。ドリンクのサービスの時に何と無く起きて、ショボショボの目でプレッツェル(ハニーマスタード味)とコーヒーを受け取った。食べ物とアルコールは有料だし、朝食はシアトル手前で食べたからもういい。コーヒーは薄く、味も香りも残念ながら今ひとつだった。

 アンカレジ降下中に大きく揺れる。雲の切れ間から雪山が見えた。直前に山地があったのでどんなところかと思いきや、アンカレジは平坦なところで、雪もほとんどなかった。

 荷物受け取りの近くにあるホテル直通無料電話コーナーには行き先のホテルがなかったので、自分の携帯電話で迎えを呼んだ。外に出てみるとそんなに寒くはなかった。気温は5℃ほどだ。建物内が完全禁煙であるせいか、外で待つ人のタバコの煙が風に乗ってきていささか臭う。かといって空港内で待つと送迎車に気付かないかも知れない、と思うとやはり外に居ないと心配だ。旅の始めはたいてい慎重なのである。

 15分ほど待ち、送迎のワゴンに乗る。客は私だけだった。
 ホテルは15階建て、入口のロビーが無いも同然の狭さだが、部屋は広かった(キッチンつき)。最上階の1502という部屋だ。部屋から雪山に夕陽が当たるのが見えた。

 外を歩いてみる。歩道は雪が固まっている状態だが、歩きやすい。今回の旅行のために、というより普段のウォーキングシューズが古くなったついでに買った靴だが、雪道にもぴったりだったようだ。積雪は少なく、公園で見たところ10cmもないほど。
 ホテルが街を外れたところにあるせいか、周囲に店はほぼ無く、小規模なスーパーが1軒あるだけだった。近所を一回りして、そのスーパーに入り、ハンバーグのプレート(ザルツブルグステーキと表示)、1ポンドあたり$6.95のサラダバーを取って、店の人に計量はどこ?と聞くとレジでやるとのこと。バーコードを読むところの台が量りになっているのか、なるほど。計量結果は0.79ポンド、こんなに野菜食べるだろうか?

 部屋に戻り、備え付けの電子レンジでハンバーグを温めて食べた。美味しい。何やかやで野菜も全部食べてしまった。

 まずは無事に長い1日が終了、22時(日本時間17日の18時)に就寝。


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