20年2月上旬
第5次欧州旅行


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●第6日 20年2月6日(木) カッタリヨック→??

 今日も早朝に起きた。天気は曇り時々雪。時折晴れ間も見えて回復傾向にはあるが、どうもよろしくない。昨晩、翌8時に判断とされていた通行止めは、案の定(?)16時まで延長されていた。宿の人には、夕方まで居ても良いかと言って快諾頂いた。掃除は昨晩やってあるので、これからは極力汚さないように使わねば。

 宿の人といろいろ話していて、そういえばここのレストランで食べていなかった、と思い昼食を頂くことにした。メニューはいくつかあるが、迷ったので「お勧めの、スウェーデンっぽい料理を」と言って鮭のムニエルを提案された。うむ、ここはノルウェー国境にも近いし、アリだな、ということでそれをお願いした。飲み物はキルナでも飲んだロカ・シトロン。先に会計し、番号を呼ばれると取りに行く。何しろ店の人は男性料理人1名、ホテルとレストランの仕事を兼務する女性1名しかいないのだ。客は十数人いて、アパートメントに泊まっているのはたぶん3組くらい(夕方明るい部屋の数からの推測)で、他にも地元の人かどうかはわからないが雪の中で激しく遊んでいるグループなどが来ていて、賑やかであった。料理は少し塩味が薄く、いやきっと日本人の自分が濃い味付けに慣れているだけだろうが、少し塩を振って食べた。上品で美味しかった。やっぱりインスタントラーメンばっかりではダメだな。とはいえ毎食2000円近く使うのも厳しいものがある…
 食後、コープの出入口に立っていたら、他の宿泊者に声をかけられた。ルーレオから来られたそうで、E10の通行止めが解除されそうもないから、と言うことでなんと車を置いて列車で帰ると言う。ここからルーレオまでは500km近くあり、レンタカーにしても自家用車にしても、置いて帰るというのはちょっとあり得ない距離なのだが、とりあえず旅客列車の運休は解除されているということか。どうも2日前くらいに脱線から復旧していたようだ。

 部屋に戻り、またぼんやりする。時々晴れ間があるので、少し出歩いたりもしたが、道路管理局の判断は無慈悲にも22時までの通行止め延長であった。これはどう動けば良いか。ホテルの人は18時に退勤して居なくなる。延泊するにしても翌朝6時発だと精算ができない。となると今のうちに払うしかなく、1泊追加とした。

 それですっかり落ち込んで、22時開通は期待薄だろうなあとぼんやりしていたら、19時半ごろ、外でにわかに音がし始め、車が3台ほど出てきた。まさか、解除されるのか?急いでパッキングする。するとドアを激しくノックされ、ホテルの女性が現れた。曰く、「一部通れるかも知れないので、早く準備して!」と。「ええ、いまちょうど準備してます!」と叫び、スーツケースを閉め、ドアの鍵を返却場所の箱に入れて、外へ向かう。しまった、まだまだ通行止め解除にはならないだろうし後でやればいいと車の周りの雪かきをしていなかった。エンジンをかけてエアコンの温度を上げ送風を強くし、屋根や側面の雪おろしをする。ホテルの人は車後方の雪を掘り出してくれた。シャツが汗でびっしょりになった。

 荷物を積んで、ホテルの人にお礼を言い、車を出す。バックで出るから比較的トラクションはあるのだが、それでも少し滑った。落ち着け、落ち着け。

 車列、といっても3台だが、の後ろにつく。除雪車の人が来て、あなたはどちらに向かうのか、と言う。ナルヴィクですと答えたら、一旦後ろに下がってくれと言われる。何をするのかと見ていたら、車列全体を後退させて、自分を一番前に誘導してくれた。「しばらくするとキルナからの車が来るから、それについて行きなさい」とのことだった。つまり前に並んでいた3台はキルナ方面に向かう車で、そちらの通行は後になるようだ。慌ただしいやり取りの中、道路管理局のサイトのスクリーンショットを取り忘れてしまったが、確か「管理された通行止め」のような文があったと記憶している。ただの通行止めとはランクが異なっていて地図上の記号も違っていた。おそらく、ここに来るときにノルウェー側で小型車だけ国境まで誘導された件のような、何らかの制限管理下での通行なのだろう。

 除雪車を先頭にした車列が来た。トラックばかりで、この時間帯にノルウェー側に抜ける小型車は自分だけのようだ。トラックが通り過ぎ、除雪車の人に"Go!"と言われ自分も出発する。ああ、オーロラはあまり見られなかったけど、いろいろ貴重な経験になった。ありがとう、カッタリヨック・アパートメント。何より、18時で帰らず残っていてくれたのには助けられた。

 制限区間のリクスグレンセンまではすぐであった。来る時も感じたが、車で走ればたかだか2分くらいの距離が制限されてここまで足止めされていたのだ。天候相手であり、これは仕方ないのであるが。ノルウェー国境のところでも少し停められたので、その間にナルヴィクのホテルを予約する。先日のエンターホテルは満室だったから、今日は向かいの立派なホテル、スカンディック・ナルヴィクにする。値段は少し高いが、きっと豪華な朝食があるだろう。

 ノルウェー側に入る。すると、ものすごい数のトラックが足止めされていた。数十台以上である。狭い峠道だから、大型トラックはUターンが出来ないし、もっと南の峠を越えれば良いかと言うと、地形的に相当遠回りになるだろうし(調べたら、ここからナルヴィク方面に引き返し一つ南の国境を通ってキルナまでは900kmくらいになる。さらにもう一つ南だと1100km!)。運転手たちは2日間ここで過ごしたのだろうか。カーブが急なところに大型トレーラーがいると、対向のこちら側の道路幅が狭くなり、徐行して通過しなければならない。なるほど、雪だけではないのだな、規制の意味は。来るときに「小型車だけ先に誘導」といったやり方をしたのもそれが理由なのかも知れない。

 E10からE6に曲がり、大きな橋を渡ると市内である。ホテルは前回のエンターホテルの向かい側だし、何しろ円柱の目立つ形だから迷うことはない。ホテル前に一旦車を停めてチェックインをして、駐車場のことを尋ねると、ホテルの地下駐車場は有料だけど、向かい側の道路脇のスペースは夜間無料ですよ、と親切に教えてくれた。道路脇スペースも夕方まではパーキングチケットが要るのだが、着いたのが22時と遅かったからそちらを勧めてくれたようだ。ただ、スカンディックホテルの目の前は横断歩道がなく、雪が積もった車道をスーツケース引いて横切るのは危ないし、交差点までは少し距離があって遠回りだし、一長一短だ。荷物が多いとか、家族連れなら地下駐車場のほうが良いだろう。先に荷物を部屋に運んでから、車を停めに行った。

 ホテルは、円柱の外観だが部屋はあまりそういう感じはしなかった。そう言えば、去年出張で行った台南のシャングリラも円柱形だったが気にならなかったのを思い出す。部屋は広く、遅い時刻に来たのが勿体無いが、まあこればかりはどうしようもない。明日は10時までに空港でのチェックインが必要で、その前にレンタカーの返却、さらにその前には給油が必要だから、8時には出なければならない。すぐに寝ることにした。


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