20年2月上旬
第5次欧州旅行


第1日 第2日 第3日 第4日 第5日 第6日 第7日 第8日 第9日 第10-11日


●第7日 20年2月7日(金) ナルヴィク→オスロ→ヘルシンキ→ロヴァニエミ

 アラームより早く目覚めた。昨日は、運転はしているものの日中は雪かき以外にはほぼ行動していないので、そんなに疲れていなかったのだろう。食堂に行くと、予想以上に豪華なビュッフェの朝食があった。スカンディックホテルはストックホルムで初日に泊まっていて、素晴らしい朝食に感激したが、ここにはさらにサーモンやサバ、ニシンなどがあってノルウェーらしさが出ている。そしてどれも美味しかった。

 予定より少し遅れて出発する。ホテルから向かい側の駐車スペースまで、大回りして行くためやはり時間がかかった。荷物は飛行機に乗るためのパッキングになっているので、カメラ固定用の道具は既にスーツケースに入れてあり、助手席からの動画撮影設定はせず、すぐに出発だ。
 ホテルの向かい側に停めたのにはメリットもあって、今日の行程はそちら側の道路を進んでいく。昨日に引き続き大きな橋を渡り、E10に曲がらず直進して行くと、ナルヴィクに到着した時に間違ってバスを降りてしまったビェルクヴィクが見えて来る。ロータリーを直進するとE10に入る。そうか、ここまではE10とE6は重なっていたのだな。ここからは、ひたすら道なりである。交通量は少なく、運転はしやすいがまだ暗い時間帯でもあり景色はまともには見えないのが残念である。いつか夏に来て、E10の海側どん詰まりのÅ(オー)まで行ってみたい。

 空港への分岐を通り過ぎ、少し行くと大きなガソリンスタンドがある。ここで満タンにする。ここでの給油は特に問題無く、自分で出来た。空港方面に戻り、駐車場を探す。いや探すほどの規模の空港ではないだろうと思っていたのだが、レンタカーの返却区画が決まっていて、最初入ったところからそこに行けず、引き返す羽目になった。そうしてハーツの区画に行くと、これは雪国の駐車場あるあるだと思うが、積もった雪で白線が見えないため皆さんちょっとずつ広めに停めてしまい空きが減ってしまうというアレで、仕方ないので通行する車が少ないであろう駐車場の一番端っこに停めた。駐車枠の中央にあるはずハーツの札が運転席の前にあるから、たぶん右側は枠をはみ出ているだろう。走行距離は418kmであった。まあよく走ったね。

 空港に入り、ハーツの事務所に行くと、事前に延長の申告をしているので、特段ここでの手続きは要らないとのこと。良かった。なお、後日、1日分の追加レンタル費と、道路の料金が請求された。そうか、E10などの道路(あるいはあの新しい橋)は有料で、無線で自動的に記録されているのだ。助手席側の窓の隅に通信用の装置があるのと、ナルヴィク付近の道路に2箇所だったか、何かの装置が道路上に覆いかぶさっているのには気付いていた。これによって無線で記録されていたのだろう。いちいちユーザーのクレジットカードなどが必要ないのは手間がかからず便利ではある。

 チェックインはセルフのみである。有人窓口の上のディスプレイにKiosks onlyと表示されていて、セルフ端末機をキオスクと言うのかと一つ勉強になった。手順はもう学習したので、航空券と荷物札を出して、バゲージドロップもセルフで。係員は全くいなかった。今日はナルヴィク→オスロ→ヘルシンキ→ロヴァニエミの3本に乗る。ヘルシンキまではスカンディナヴィア航空、ヘルシンキからはフィンエアーなので荷物はスカンディナヴィア航空の分までは連続して預け、ヘルシンキで一旦受け取ることになる。
 セキュリティチェックを通ると、すぐ近くがゲートだった。建物は大きくはないが、レストランや売店は賑わっていた。スズキのSUVが展示されていて、空港はどこでも車の宣伝に向いている(街から離れている=車で来る人が多い)のだろう。ストックホルムやオスロにもあったし、日本でも大分や北九州で見かけた。

 しばらく待って、搭乗時刻になった。後方からタラップで乗る。飛行機が小さいのですぐに搭乗が終わる。機内はほぼ満席のようだった。1日予約をずらしたが窓側が確保出来たのは幸運だった。

 天気は曇り。オスロまでずっと曇りかと思ったが、ところどころで陸地が見え、険しい山と谷が続きなかなかの景色で楽しめた。残念ながらフィヨルドは見えなかった。右側座席からは見えたのだろう。次の機会があれば試したい。

 オスロに着いた。ここで税関を通り(係員は居なかった)、ヘルシンキ行きのゲートに向かう。昼時なので、レストランでサーモンなどの寿司と、ビールを注文する。よく考えたら、今回旅行で酒を飲むのは初めてであった。これからは運転することもないし、気楽だ。寿司は、サーモンがさすが地元なだけに新鮮で美味しかったが、ご飯がカラカラで固かった。まあ、作っておいてパックに詰めてあるから仕方ない。専門店でもないしここで握るわけにも行かないだろう。
 ゆっくり食べて、ぼんやりして搭乗時刻を待つ。やはり、計画していた夜行列車の2本に乗れなかったことが悔しいし、本日のロヴァニエミ空港着は21:15、乗る予定だった列車の到着時刻11:05から10時間以上後になり、観光できる時間のうち半日はなくなっているわけで、気分は沈みがちだ。それでも、夜行列車の乗車時間がバッファーになって、飛行機に予定変更しても次の行先に着けているのは不幸中の幸いと言うべきであろう。

 搭乗する。窓側が取れていて、前方の「プラス」という料金帯専用席のすぐ後ろだった。プラスとそれ以外の座席そのものに違いはないが、優先搭乗などの差別化はある。プラスは料金が高いのでその区画は空いているが、座席が同じなので、プラス価格帯でない人が間違えて座ってしまうことがあり、そういう場合はすぐに乗務員が行って所定の座席に戻るよう注意していた。
 飛行中ずっと、天気は良くなく全体に薄い雲がかかっており、風景のコントラストがなくきれいに見えなかったのは残念だった。

 ヘルシンキに着陸する。空港の通路では犬と歩いている人がいて驚いた。うちの犬だとそこらへんにおしっこしちゃうだろうなぁ。

 ここでは3時間半の乗り継ぎ時間がある。荷物がなかなか出て来なかったが、時間は有り余っているので問題ない。セルフチェックインとバゲージドロップをして、航空券を見たら、優先搭乗とあった。そうか、急に取った航空券なので、高い種別しかなく、ビジネスクラスの次のグループ2なのだ。セキュリティチェックも別の入口であった。

 今にして思うと、時間があったので展望デッキにでも行けば良かったのだが、その時は全く思いつかず、そのままセキュリティを通ってしまった。搭乗まで3時間近くあるが、待合所には何人かお客がいた。電源が天井からぶら下がっていて、これが通常なのか暫定なのかは分からないが、電源タップを増設するのに床の工事やベンチの取り替えは必要ないので、これもアリなのかもしれない。

 空港内を少し歩いてみる。ロヴァニエミの宿到着は22時を過ぎるので、ここで夕食にしておこう。悩んだ挙句にまたバーガーキングに入った。端末で注文して、準備完了の番号が表示されるまで待つ。飲み物はセルフで入れるので、トレイに空のコップが置かれている。出来るところは全て省力ということだ。ハンバーガーに自分で加えるのか、ポテトにつけるのか、いろいろなソースが単品でオプションとして選べるのが新鮮であった。タコスソースのようなものを追加した。フィンランド人はパーソナルスペースを重要視するということで、席を詰めて座らないと聞いていたから、それに倣って店の隅っこに着席した。食べ終えて、さらにゆっくり過ごして、ゲートに戻って、それでも時間が余る。SNSを見るのもいい加減飽きてしまった。

 搭乗時刻になった。身障者や高齢者、子供連れに続いて優良会員が乗り、続いて自分たちの順番だ。早く乗れるのは嬉しいかというと、狭い座席で搭乗完了を待つのもけっこう苦痛で、一長一短かと思う。
 この路線は今までに乗った路線とちょっと客層が異なり、家族連れや観光客っぽい感じの人が多めである。日本人も乗っていた。そういえば、成田からの便を除いて、この旅行中、自分以外の日本人に全く会っていない。ロヴァニエミが大きな観光都市であるのか、私が今まで回った場所が観光地としてマイナーなのか、あるいは両方かわからないが、夜遅い時間帯だったが機内は賑やかであった。
 雪が降っているので、洗浄(?)の順番待ちをしてから離陸となる。かなり待った。雲を抜けて周囲を見回すと、広範囲が曇りであった。雲のところどころに下の街の明かりが見えて面白いが、北の方は晴れてくれないと困る。
 しばらくすると、雲が消えて街や道路の照明がくっきり見えるようになった。これはありがたい。ロヴァニエミの街は周囲に比べてかなり大きく見えた。
 少し遅れて着陸する。荷物はかなり待たされた。ロヴァニエミには空港バスはなく、タクシーか、中型バスに乗る必要がある。この中型バスは、特定の宿を回ってくれるもので、対象になっている宿の名前が看板に書かれていて、乗る前に宿の名前を言っておくとそこに止まってくれる。料金は7ユーロで、リーズナブルだ。ギリギリ定員になるまで待つので、急ぐ人はタクシーの方が良いが、22時近くでこれから予定があるわけでもなし、急ぐこともない。
 バスは最初にホテル、次にスーパーマーケットの駐車場に止まり、その次が私の泊まる宿だった。早めに乗っていたので、荷物が奥の方にあり降ろすのに時間がかかった。こういう点も乗り合いだと時間がかかるね。ここで降りたのは自分だけだった。
 宿はゲストハウス・ボレアリスというところで、21時で係の人がいなくなる。事前に飛行機の時刻を言っておいたので、返信があり、鍵は宿の郵便受けに入れる、玄関と部屋の鍵が一つずつで、名前を書いた封筒に入れてあるとのこと。無用心ではあるが、不法に侵入する人もいないのだろう。

 郵便受けから封筒を取り出し、オレンジ色の表示が付いている鍵を玄関に差し込む。鍵が細くて、キッチリ入った気がしないのと回しにくいので、手間取った。側から見たら、不法に入ろうと苦労している奴であろう。ようやく入れて、階段を登り部屋にたどり着くが、ここの鍵も細くて使いにくい。これは滞在中に慣れるだろうか?

 部屋はシンプルで、細長いシングルベッドが2台並んでいる。片方は全体に毛布が掛けてあって、使わないでね、という意思表示か。窓際にある薄いヒーターで部屋全体は十分に暖められている。今回旅行で泊まったホテルはどこもそうで、送風がないから静かである。その分、除雪車の音はよく聞こえるが。

 到着は遅いが、せっかく晴れているので、街を北上して河原に出てみることにする。防寒着とカメラ、三脚をフル装備で持ち出す。河原の手前が公園のようになっていて、たくさんの人がすれ違う。この時刻にこの人出、ひょっとするとオーロラが出ているかも知れない。
 土手の高いところに登って北の空を見ると、うっすらとオーロラが見えた。早速機材をセットして撮り始める。ここでは、雲台にバーを載せてカメラを2台セットするのはやめた。構図の微調整時に重さで大きく動いてしまうからだ。アラスカの時は、コールドフットへのツアーで手荷物の重量制限(9kg)があったので極力小型軽量化したが、今回旅行では前半は車だし比較的多め・重めの機材で揃え、結果としてカッタリヨックでの撮影では少し手間取ってしまった。

 しばらく粘ったが、オーロラはどんどん薄くなってしまった。そうか、河原の方向から何人も歩いて来という状況は、もうおしまいと思って帰りつつあったのだ。こういうとき、宿の近くで北の空の様子を窺えない街中のロケーションは厳しい。明日は晴れるなら観測ツアーに申し込むか。

 シャワーを浴びて就寝。



第8日へ

旅行記トップへ