20年2月上旬
第5次欧州旅行
●第8日 20年2月8日(土) ロヴァニエミ
本日は市内を歩き回るだけの予定だ。天気は雪。宿の朝食はシンプルなタイプであるが、ハムとチーズをパンに乗せて食べると美味しかった。温かいコーヒーもありがたい。
部屋でウダウダしていてようやく外に出ると、11時ごろだったのでロヴァニエミ駅に行ってみる。当初予定では昨日乗って来るはずだった夜行列車の今日の分が到着する頃だ。駅までは緩やかな坂を下るとすぐで、というより、ロヴァニエミ到着・出発とも駅だからそれを狙って宿を取ったのである。気温は-10℃までは行かないくらい、それほど寒くなく、日本を出て来た時の上着とシャツをそのまま着て、下着だけ長袖にした格好だ。手袋もインナーのみで十分。
駅は外と区切られていない。一応駅舎があるが、駅舎の左右はガラ空きなのでそのままプラットフォームにアクセスできる。しばらくすると、列車が入って来た。2階建ての寝台車、1階建ての食堂車などが繋がっていて2階建て車両の背が異様に高い。この車両限界からすると、トンネルはないのだろうなあ。レールは広軌だし、安定しているのだろう。それは明日の昼行列車で確かめられる。楽しみである。
昨夜と同じルートで北に向かう。川の手前にアルクティクムという博物館がある。日本語なら極地博物館とでも呼ぶべきか。そこで、市内3施設の共通入場券を買う。3施設とは、ここアルクティクムと、コルンディ美術館、ピルケサイエンスセンターで、合わせて29ユーロのところを20ユーロ。ただ、出遅れているので全部回れるかはちょっと心配ではあるが。コルンディはここまで来る途中にあったから道順は分かっている。
上着をハンガーに掛けて、館内に入る。撮影は一部の展示を除いて自由で、フラッシュ撮影は禁止だ。館内は余裕があり、カメラバッグを肩に掛けて歩いても支障はない。展示内容は、極地の自然、環境、民俗、歴史、極地の現象についての科学的な説明などで、フィンランドに限らずアラスカのことなども展示されていた。なかなか良い展示だったと思う。
展示を見た後、昼食を博物館内のカフェで食べる。サーモンのトルティーヤ包みのようなもの、ベリージャムとクリームが乗った甘いパンと、ブルーベリー風味レモネード。フィンエアーのジュースのおかげで、すっかりブルーベリーが好きになってしまったようだ。サーモンのトルティーヤ包みは残念ながらあまり美味しくなくて、最後まで食べられなかった。
博物館を出て、昨夜行った河原に行く。目の前の川――凍っていてどこからが川か分からないが――はオウナス川で、これが昨晩東に見えた大きな橋の先でケミ川に合流する。川幅は1kmくらいあるようだが、雪が舞っていて対岸は霞んでほとんど見えない。河原、というより水面上はクロスカントリースキーのコースになっていて、スキーの跡があり、時々滑って行く人がいた。歩いているのは自分くらいである。何枚か写真を撮るが、何やら茫洋として何を撮っているのか自分でもよく分からない写真だった。
橋の下をくぐって、ケミ川との合流点に出る。遠くの橋の下に凍っていない場所が見えるが、ほとんどは凍っていて川を横断するスキーのコースが設定されていた。
川から街に戻る。昨夜と今日歩いた宿から河原までの道は住宅地が中心の場所で、メインの街はこちら側のようだ。たくさん店が並んでいて賑やかだ。そのうちの一軒の大きなスーパーマーケットに入ってみる。空港でお土産を買うのは荷物が増えるし高いので、なるべくスーパーマーケットなどで現地のお菓子を買っている。店内は大層繁盛していて客が多かった。チョコやグミの類いを買い込む。怖いもの見たさでサルミアッキも1袋買っておく。
買い物帰りのおっさん状態で、コルンディ美術館に入る。ここは鍵付きのロッカー(無料)もあったので、そこにカメラバッグと買い物の袋を入れて、携帯電話だけ持って館内を回る。展示物は現代美術で、ちょっと分からないものが多かった。裸の人形が天井からぶら下がっているのは怖かった。
ここにはホールが併設されている。演奏会のポスターによると、Lapin Kamariorkestri、ラップランド室内管弦楽団というオーケストラが昨夜演奏会をしていたようだ。惜しい。夜行列車で来ていれば聴けた可能性があったのだが。今日は公開リハーサルがあると美術館の入り口に貼ってあったが、自分がホールに入ったら既に終わって楽団員は帰る所だった。やれやれ、朝ウダウダしていたのがこういう結果を招いてしまった。
疲れたので、ピルケサイエンスセンターには行かず、宿に帰ることにした。部屋でしばらくぼんやりして、夕食をどうしようかと思うがあまり食欲がないので、近くのスーパーマーケットに行き、チョコレートとピーナツを買ってそれをつまみながら過ごした。空は厚い雲に覆われて細かい雪が降っていて、とてもオーロラ観測は出来そうもない。残念ながら今回旅行でのオーロラはこれまでだ。前回アラスカも今回も、5夜あって2回という確率だった。しかも今回はいずれも時間が短く薄いオーロラだった。こればかりは運なので仕方ない。今後こういうチャンスがあるかどうかは分からないが、やはり郊外で、宿から様子が窺えて、近くに暗い場所がある、あるいはそこにアクセスしやすい場所を選ばねばならない。また、今回特にスウェーデンでの宿はノルウェー側に近く雪が多かったので、もう少し雪が少ない内陸部方面が良かったのかも知れない。こうして経験していくのだろう。
明日は鉄道でヘルシンキに向かう。買ったお菓子をスーツケースの隙間に上手い具合にパッキング出来ず、予備のバッグを取り出す。こちらの域内の飛行機は1個しか預けられないが、ヘルシンキからの帰国便は2個預けられる。予備のバッグに服などを入れて2個目として預ければ良い。明日は列車だから個数は自由度が高いし、問題ない。
ということで安心して(?)就寝した。
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