04年9月下旬−10月上旬
第1次
(?) タンザニア旅行


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●第5日 04年9月26日(日) セレンゲティ(ロボ)

夜は停電する 大粒の雨が屋根を叩く音がする。マンション暮らしになって、こういう感覚からはとんと遠くなった。もっとも、サルが走る音は一軒家でも通常聞かれないものであるが。夜中もけっこう活発なのは意外だった。トイレに立つと、案の定電気は止まっていて、枕元にあるロウソクを使う。寝ぼけているせいか、なかなか火がつかなくて困った。
 6時15分前に起床、外はどんよりと曇っていて日の出は見られない。それでも外に出てみる。昨日の夕方と雰囲気があまり変わらないので、写真はそこそこで切り上げ、ロッジの裏手から周囲を一周してみることにした。裏の道からしばらく、街灯がついた道路があって、その先に従業員の居住区があるようだ。そこから、通勤用らしき4WD車が従業員をピストン輸送していた。つまり、本来ここは歩いてはいけないところなのであって、ドライヴァーから遠くには行かないように、バッファローは特に危ない、と注意された。裏手の燃料貯蔵庫のようなところから表に出てみると、ロッジから1段低いところから発電機と思われる低い唸りが聞こえて来た。客室から見えないところにあり、音が聞こえないように配慮されているのだ。このロッジは地形を活かしてなかなかよいレイアウトで出来ている。昨日通った岩の切れ目からロッジの入口に戻り、従業員が展望が良いと言っていた手前の岩山に登った。部屋からは西の方角が見えないので、日没を眺めるにはここしかないようだ。東も見えるので、明日晴れたらここに来ようかと思う。
朝、プールサイドから ロッジの裏手 ロッジ脇の岩山から

 7時に食堂に行く。朝食もビュッフェスタイルではなく、注文するタイプである。まあ客が6人ではビュッフェでは申し訳ない気がするのでこれで良い。卵の焼き方やソーセージやベーコンが選べるが、面倒なので6人一緒にスパニッシュオムレツにソーセージ、ベーコンという組合せにしてしまう。コーヒーは、自分で粉を入れて、そこに湯を注いでもらう。湯を注ぐくらいは自分でやってもたいした手間でもないからかえって面倒と思う。
 昨日午後から調子が悪かったMY君は概ね回復した様子で、安心する。よく聞くと、KK君も昨晩は胃腸の様子が良くなかったらしい。そのうち薬が要るかも知れない。オムレツは時間がかかって、待ちくたびれてしまった。オニオン、ピーマン、にんじんにサルサソースがよく合って美味しいのだが、卵には塩味が全くなく、塩をかなり足して食べた。それでもちょっと物足りないなぁ、何が足りないのだろう?と皆で考えたら、ケチャップではないかという結論を得て、ロッジの人にビンごと持って来てもらった。これで無事解決。ソーセージはマトン肉が主のようで、匂いが独特である。ベーコンはカリカリ過ぎて固かった。

 8時に前席の屋根も上げる食べ終わる。朝食に1時間もかかると、ヒマを持て余してしまう。ヒマを楽しむということにかけては、我々日本人は苦手なように思う。部屋に戻る。片付け少々。今日も泊まるからバッグに放り込んでおけば問題ない。後は日記を進めて、9時に玄関に降りた。サイディ君が、車の準備をしている。今日は予め屋根を上げておくようだ。一昨日、ンゴロンゴロで後部座席の屋根を上げたが、今日は運転席・助手席も上げる。この前席の屋根はあまり頻繁には上げないようで、ねじが固着して動かない。レンチでガツガツと叩いてようやく開き、準備が整った。ランチボックスの用意がないのでどうすりゃいいんだ、と聞くと、今日は昼食のためにロッジに戻る由。なるほど、このロボ・ロッジはセレンゲティの中の辺境にあり、中央部に戻っていると時間ばかりかかるから、ここを基点にいろいろな方向に数時間ずつサファリをするというわけだ。先日買ったイラスト地図を見ると、ロッジの裏手から出て南方に回る。ロングサーキットという道があって、ポレレト川とガゴティ川に挟まれたなだらかな土地を1周して戻るコースだ。晴れてきて、朝は寒かったのに今は丁度良い気温だ。最初にゾウの群れがいて、次には遠くの岩の上にライオンが見えた。サイディ君によると、岩の上の木にハゲタカが止まっていたので、その近くに獲物を仕留めたライオンが居るだろうと予想してその方面を見ていたのだと言う。非常に遠いところなので、500mm相当の望遠でも小さくしか写らない。双眼鏡で見ている人も何とか分かる、くらいの遠さだ。そんな遠くの木の上にいるハゲタカを見て、周囲を観察する(しかも運転中に)という芸当には恐れ入るしかない。こういう人をプロフェッショナルというのだろう。自分が普段、こういう抜きん出た技量で周囲に貢献しているか、甚だ心許なく、調整やまとめも重要な仕事ではあるけれど、やっぱり普通のサラリーマンは職として無難で、平穏すぎると思ってしまう。まあ、飛び出す勇気もないのだが。
ゾウ ライオン キリンはやはり目立つ 移動中のヌー

 それ以降、何とかの一つ覚えのようにハゲタカを見たらライオン、と周囲を見回していたが何も見つからなかった。次に現れたのはキリンが6頭、これは目立つので皆もすぐ分かる。6頭が等間隔に並んで、こちらを警戒しているように見えた。なだらかな丘を登ると、右手(南東)の方向にヌーの大群が見えた。列が何kmも続いている。ケニア側から移動している最中と見られる。動物を間近に見るのも良いが、こうして風景として見るのも感動的である。ヌーは200万頭もいるのだそうで、これが数アンテロープ百kmを移動するというのだから想像を絶する。
 ロングサーキットを折り返して、しばらく走るとサイディ君が、アンテロープが右手に居るという。これも非常に遠く、地面が緑色でアンテロープがうす茶色だから辛うじて分かったものの、枯草では全く判別できなかったと思う。写真では何とか写っていた。揺れる自動車からは手持ちで撮るのはなかなか大変だ。エンジンは止めてくれるが、誰かがちょっと動くだけで車がキリン、かなり至近にて揺れるのである。あまり動かない遠くの草食動物なら、車の中のタイミングも考慮してシャッターを押すことができる。とはいえ、あんまり撮影ばかりで都合を言っては周囲も迷惑だろうからほどほどにしばければならない。アンテロープの手前にはヌーがいて、ここらへんはヌーが移動中に一休みしている場所らしい。あまりに多いので、それに付いて飛び回るアブも多くて閉口した。毒などはないけど噛まれるぞ、とサイディ君に警告される。窓は閉めているが天井が上がっているのであまりサル意味が無い。ウーム。閉めた窓のせいで暑苦しく、しばらくうつらうつらしていたら、キリンが間近を横切った。これはかなりアップで撮ることができた。のっそりとした優雅な動きは何度見ても良いものだ。さらに進むと突然車が止まり、左の地面を見ると、陸ガメがいた。異常を察知したらしく、頭と足は甲羅の中に入ってしまっている。川に挟まれた土地だから、カメもいるのだ。これは予想していなかった。
 もうロッジに近いと思われる頃、子連れのゾウに遭遇した。車道を横切ろうとしている。ヌーやシマウマ、キリンの場合、サイディ君は慣れたもので、のんびりとしているのだが、ゾウは例外だ。特に子連れのゾウは凶暴らしく、ある距離より近づくと突進してくるのだという。声を上げるなと、静かにそして鋭く、サイディ君が注意した。エンジンは停止せず、バックに入れていつでも発進できるようにして、ただ横切るのを待つ。車内に響くのはコトリというE-1のシャッター音のみである。親のゾウは子供を後ろにかばうようにして一度こちらをじっと睨み、道路を渡って行った。
ゾウの親子が現れる しばらく睨んでいる 横切っていった 子供をかばうように歩く

 ロッジに戻ると14時。ランチの終了間際にレストランに駆け込む..と言いつつ、客は我々だけだから我々が来なければ待つだけだったのかも知れない。昼もコース料理だ。牛の細切りと野菜の和え物、コーンクリームスープ、ウガリ(とうもろこしの粉などを蒸したもの)とほうれん草のソテー、トマトソース添え。この中でアフリカ料理と言えるものはウガリだが、味付けがなくてこれ単独では文字通り味気ない。酸っぱいトマトソースと苦いほうれん草のやっぱり飲んでいる..間にあって、緩衝地帯のような感じ(どんな感じなんだ..)。全体に味が濃く、美味しいが量が多くて食べるのに時間がかかる。料理がサーヴされる間隔が長いから食べるのに時間がかかってもよいのだが、がらーんとした食堂で粛々と食べるのはなんだか居心地がよくない。会社の騒がしい食堂で10分くらいで昼食を取っているのとはギャップが大きすぎるのだ。ビールを飲んでしまい、急に暑苦しくなって益々食事が進まなくなってしまった。どうやら疲れているらしい。最後には言葉少なく、15時ごろに食事が終了。早々に部屋に引き上げて寝ることにする。夕方は16時の出発だが、この時間までには回復せず、夕方の部は私を除く5人で行くことにした。雨が降っていて寒い。部屋で過ごすことにした。さらに1時間ほ貴重な映像を早速鑑賞するど眠ると、アルコールが抜けてすっきりした。胃腸の具合が若干よろしくない。皆と一緒に酒を飲む必要はないのに、調子を合わせて飲んでいてはこうなる。以後気をつけよう。18時過ぎだったか、皆が帰ってきた。雨もそんなには降らず、良いものが見られたと皆興奮している。なんと、ライオンの交尾を見たというのである。これは確かに珍しいかも知れない。YM君がデジタルカメラの動画で一部始終を撮ったというので、MY君のノートPCで見せてもらった。いやー、これは貴重な体験を逃したと思う。残念である。まあ、酔って気分がよくないところで悪路走行だと皆に迷惑をかけることになっただろうから休んでいたこと自体は止むを得ないだろう。

 夕食時間になった。客が増えて5組になった。客が増えてもまだガラガラ賑やかな食堂は楽しい。欧米人の老夫婦が2組、中年の夫婦が1組、一番賑やかなのは9人組の団体。9人組はイタリアかスペインか、ラテン系の早口でさっぱり分からないものの、とにかく他に客がいるとホッとする。これでも食堂は半分以上が空いているのであって、満席で2回に分けていたンゴロンゴロのロッジに比べると寂しい限りだ。料理は、野菜のフリッター、トマトスープ(スパイシーですばらしく美味)、メインはビーフストロガノフにする。メインは味付けが濃いが、スープで食欲が回復したので、勢い込んで食べ始めたが、肉だらけであごが疲れてしまった。デザートはキャラメルプリン。他の人の料理では、魚フライのタルタルソース添えが美味しかった。野菜がざくざく入ったタルタルソースが気に入った。高級ホテルという位置づけなんだろうから当然だろうが、ンゴロンゴロもここも、料理の水準は高いと感じた。セレンゲティの中でははじっこにあって客も少なそうだし、輸送や人員確保がたいへんだろうが、長く続いてほしいものだ。
 食後、岩山に登って空を見るが相変わらず曇りである。南半球の星を見たかったのであるが、ここのところ夜は天気がよくない。明日以降に持ち越しになる。部屋に戻り、荷物整理をする。洗濯物はだいたい乾いているが靴下がまずいことに一つだけ湿ったままだ。ランプシェードの上に乗せて乾かすことにする。夜中に電気が切れるからそれまでなら大丈夫だろう。E-1で撮った写真を携帯ハードディスクにバックアップする。既に1200枚以上になっており、けっこうな時間を要した。明日はマニャラ湖まで長駆285km、7時出発厳守である。22時半には就寝。


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