Agfaflex IV

 かなりマイナーな分野かとは思うが、アグファの一眼レフである。
I型とII型はレンズが固定されていて露出計は単独式、III型からレンズ交換式かつ連動露出計付きとなり、IIIとIVはファインダーがウェストレベルかアイレベルかの違い(V型はレンズがF2)だそうだ。もっとも、このシリーズのカメラは全て、ファインダーは脱着式で交換できるので、IとII、IIIとIVの型番の違いはあまり意味がなさそうだ。
 レンズは35mmF3.4、50mmF2.8、55mmF2、90mmF3.4、135mmF4、180mmF4.5の6本がラインナップされている。発売開始は1958年とのことで、この時代のSLRであるから、撮影後ミラーは戻らずファインダーは暗転したままになる。巻き上げは重く、シャッターリリースも重いが、メカニカルなショックは小さく、音もさほど目立たない。ファインダーはかなり空中像寄りであり、ピントは中央の二重像で合わせるタイプで、ボケ像はあまり見えない。シャッターはビハインド式のレンズシャッターであり、巻き上げるとシャッターが開いて、リリースすると一旦閉じてミラーが上がりシャッター開閉ということを機械式連動で行うため、リリースと撮影に若干のタイムラグがある。
 ゾラゴン55mmF2を使いたいために持っているようなものであるが、ゾリナー50mmF2.8もシャープで良いレンズであり、カメラは重くて不便だが撮っていて楽しい..と思っていたら、いつの間にか広角から望遠まで一式手に入れていた。
 このカメラシリーズのレンズを探していて思うのは、カメラ店における、アンビジレッテ(RF機)との混同、勘違いが甚だしいことである。名前は似ているが、マウント部分は大きさが異なるので区別はつく。だから間違って買うことはないが、かなりの件数、アンビジレッテのレンズにアグファフレックスの札がついている、あるいはその逆、というパターンでの間違いを見てきた。ややこしいが、あまり有名ではないマウントの宿命ということだろうか。レンズ探しの際に気を付けなければならないのは名前だけではなく、絞りの挙動だ。シャッターを開ける前に、絞りがレンズ内のバネの力で所定位置まで絞られるが、これが遅れると露出オーバーになる。絞りを開放に持って行くレバーがレンズの根本にあり、それを動かして指を離す、とやったときに絞りが粘ってゆっくり戻るようではNGである。

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カラーアンビオン Color-Ambion 35mmF3.4
 けっこう探し回ってようやく入手した。このシリーズ中最も画角の広い5群5枚のレトロフォーカス式の広角レンズで、大きな前玉が特徴的だ。フードがないとこの大きなレンズが傷つきそうで心配になる。フィルター径は46mmなので、いずれ適当なフードをつけようと思う。
 最短撮影距離は1m、50mmのゾリナーが80cmまで寄れるのに広角のこれが寄れない仕様なのは残念だが、レンズシャッターSLRは内部構造の制約が大きいから、レンズそれぞれで事情があるのかも知れない。
 
カラーゾリナー Color-Solinar 50mmF2.8
 カメラに付属していたレンズ。3群4枚のテッサー型で、シャープでくっきりとした描写のレンズだ。最短撮影距離は80cmで、レンジファインダー機よりは近いが、フォーカルプレーンSLR機のレンズに比べると遠い。
 
カラーゾラゴン Color-Solagon 55mmF2
 V型の標準レンズとして用意されたレンズだ。4群6枚のガウス型で、シャープなピントと滑らかなボケが得られる。最短撮影距離は1mで、レンジファインダー機並みである。このレンズは入手時に絞りが粘っていてF4くらいまでしか瞬時に絞られず、日中は露出オーバーを連発した。そのためメンテに出したが、レンズが分解できないとのことで修理不能で戻ってきてしまった。仕方なく、その後はあまり絞らないようにして撮影している。
 
カラーテリネア Color-Telinear 90mmF3.4
 大きさは標準レンズくらいしかなく、小型にまとまっている。最短撮影距離は1.2mで、レンズシャッターSLRだから仕方ない、と割り切っている。絞りは開放でも少し絞られた状態になっている。4群5枚構成、真ん中にぶ厚いレンズが入っていて外見の割にずっしりとした感触だ。描写はシャープで良く写るが、逆光には弱く、青紫色のゴーストが派手に出る。
 持っているのは、シリーズ最後期のセレクタフレックス対応の世代のレンズだ。絞値に応じて被写界深度の範囲を示す機構が省略され、他社通常のレンズのように、各絞り値の範囲が線で引いてあるタイプである。このレンズもアグファフレックスでも互換として使える
(なお、アグファフレックス用レンズはセレクタフレックスでは使えないので要注意)
 
カラーテリネア Color-Telinear 135mmF4
 135mmはどのカメラシリーズでも市場の人気がいまいちということもあろうか、見かけたことがなかったが、最近入手した。レアだが安価。最短撮影距離は2.5mと遠いが、デッケルマウントのスーパーディナレクスが4mであることを考えれば、まだマシと言えなくもない。シャープで良いレンズだ。逆光には弱いので、適切なフードを用意したい。左手でフード代わりにかざすのも良いが、なにぶんカメラが重いので、両手で支えないと持ちにくいのだ。4群5枚構成で、一番手前にぶ厚いレンズがあって変わった設計のような気がする。
 持っているのは、90mmと同様、シリーズ最後期の世代のものだ。
 
カラーテリネア Color-Telinear 180mmF4.5
 このレンズはかなりレアだと思われる。それなりの年数、いろんな店で一通り眺めているつもりだが、全く見たことがなかった。が、ついにeBayで発見、迷わず手に入れた。最短撮影距離は5mで、デッケルマウントの200mmレンズ(8.5m)よりは寄れる。レンズ基部には三脚座があるが、取り外しやレボルビングは出来ない。この頃のレンズシャッター式交換システムによくあるが、基部が細く前玉が大きい形である。とはいってもフィルター径は62mmで、長さも11cm程度で手に取るとなじむサイズであり、積極的に使って行きたい。
 90mm、135mmと同様に、シリーズ最後期、セレクタフレックス対応のレンズだ。
 
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