09年4月下旬−5月中旬
第4次欧州旅行
●第8日 09年5月1日(金) プラハ→ライプツィヒ
本日は、プラハからライプツィヒへの移動の日だ。朝食に行くと、昨日のソーセージの代わりにスクランブルエッグがある。ここの部分は日替わりらしい。パッキングをして、チェックアウトをする段になって、地下鉄の切符がないことに気づいた。おそらく、服のポケットの中に入れたままなのだ。これから荷物を開けるのは得策ではない、などというとそれなりの理由に見えるが、バッグの奥深くに入れてしまったものを出すのが面倒なだけだ。駅で改めて買うことにした。今日の出発駅はホレショヴィチェで少し遠く、最低額の切符では行けない。26コルナのものを購入する。
駅には10時過ぎに着いた。かなり小さな駅だ。一昨日ヴィーンから乗って来たペンドリーノ列車はSC(スーパーシティ、チェコ国内の呼称)と称し座席指定必須だが、今日の列車は普通のEC(ユーロシティ国際急行)なので予約は要らない。プラットフォームは3番で、ドレスデン方面は左の階段(とスロープ)を上れとある。同じプラットフォームで行き先が異なるのだろうか。あるいは列車が極端に短いのか?結果は、列車は全然短くなく、1等車目指して反対方向に走ることになった。列車はヴィーン南駅を出てプラハを経由してドレスデン及びさらに北に向かう。車両はチェコ国鉄のもので、電気機関車が牽引する客車列車である。そうそう、今回の旅行ではこういうのに乗りたかったのだ。1等車は1両だけで、1+2列のオープンタイプ。けっこう混んでいるので座席が心配だったが、ちょうど一人席でドレスデンから予約が入っているところがあった。私はドレスデンで乗り換えるからここに座っても問題はない。座席は少々くたびれており、座面は薄く、固め。リクライニングは座面を前にスライドさせるもので、たいして角度は変わらない。また、欧州の鉄道によくあるが、座席は固定で回転できず、前向きと後ろ向きの座席が混在している。頭端式(行き止まりの)駅が多いから、両方の方向で設置しておけばいいということか。車内は人が多く蒸し暑かったが、出発後しばらくして冷気が出てきた。窓の下に噴出し口があるので、すぐに変化が感じられる。
駅の周囲はひどい景色だ。しばらくするとヴルタヴァ(モルダウ)に沿って走り、それがエルベと名前を変える。この区間、山間の村の風景が美しい。川を望む高台には古城が建ち、沿岸の新緑がまぶしい。谷間を走るせいかカーヴが多く、あまり速度は出ないが(せいぜい150km/h)、乗り心地は良好だ。後で調べたらこの付近は世界遺産エルベ峡谷で、なるほどその景観はすばらしいものだったが、なんと6月25日の世界遺産委員会で抹消が決定した。理由は、景観を損ねる4車線の橋が建設されるからとのことだが、ニュースサイトを見るに、どんな橋なのか、どこなのかまでは分からなかった。
コーヒーは有料だ(2ユーロまたは54コルナ)。この列車は予約必須ではない普通急行であり、有料も致し方なし。味は、エスプレッソと書いてあったが薄かった。そんな薄いコーヒーを出す食堂に行く気はしないと思いつつ、チェコ側で運営している列車だから食堂車に行きたくなった。この列車ではあまり長い間は乗らない(2時間6分)ので長居はできないが。2人用のテーブルが空いていたのでそこに座る。既にパターン化しているが、ピルスナー・ウルケルを注文。食事はプラハ風オムレツとする。これはポテトとハム、野菜などがたくさん入ったオムレツで、ヴォリュームもあり美味しかった。9.9ユーロは高いが、食堂車とはそうしたものだ。
食べ終わると、ほどなくしてドレスデンに到着する。ドレスデン中央駅は漢字の凹のような、左右が高架で中央にグラウンドレヴェルのプラットフォームが並んでいる。いま着いたプラットフォームは右の高架で、次に乗る列車は左の高架である。ドイツの駅の時刻表(黄色い紙)は行き先分類がなく、時刻順に全部並んでいるので、次の列車を探すのが楽だ。方面ごとだと、その方面を間違うと見つからないだけになってしまうから、これは不慣れな人に向いていると思う。
実は時間がない。ライプツィヒ行きはDツーク(ドイツの国内急行)79706列車で、乗り換え時間は8分。駅を眺めている時間はない。指定のプラットフォームに上がると、出発の2分前だった。
1等はかなりくたびれたコンパートメント式車両だ。それでも、椅子は大きくて広いし、コンパートメントの独特の雰囲気は好きだ。列車は120-130m/hで快適に走っている。チェコから来ると、ドイツの家はやはり新しい感じがする。緑のきれいな平原を1時間20分ほど走って、ライプツィヒには14:15に到着した。
まずは交通機関の統合カードを買おうと、中央駅前のツーリストインフォに行く。駅前と書いたが、駅前には大きなトラム・バス乗り場があり、さらに公園を通って街に出る形だ。公園の脇にはなぜかロンドンの2階建てバスが止まっていて、どうやら市内観光のバスらしい。右ハンドルのまま使っていた。ツーリストインフォの近くの路上にはなんとトラバントが止めてあり、これは記念写真を撮らねばなるまい。東独時代の遺物、根強いファンもいるらしいと聞いていたが、いきなりそういう場面に出くわすとは予想していなかった。ツーリストインフォでは、切符の他に市街地図ももらう。
中央駅に戻ってSバーンのプラットフォームを探していたら、駅の片隅に蒸気機関車や気動車が止めてあった。気動車はナチスドイツ時代、1936年に時速205kmの世界記録を出したSVT137型だ。戦後も東ドイツ国鉄で生き長らえた編成がここライプツィヒ中央駅に展示されているというわけだ。もっとも展示と言っても、中が見えるようになっていたり、とかではなくただ置いてあるだけである。
さて、ホテルはSバーンで2駅、しかも駅近くと説明があったのだが、駅のそばに全くそういう建物がない。あるのは廃屋と化した古いアパートのみ。比較的大きな通りに面した建物も、閉店した店が目立つ、ちょっとヤバそうな地域だ。ホテルが見つからないので、駅に戻って電話したら、まずのっけからお互いの英語がまずすぎる。それにしても、ホテルの人はちょっと分からないことがあると"Whaaatt!?"って、非常に感じが悪い。ホテルのレセプションに居る人には到底思えない。そもそも、駅にいるから道教えてというのに、こっちが「○○通りなのかアイゼンバーン通りなのか、どっち行けばいいの」って説明しなきゃいけないのがおかしいと思う。それで、ホテルは、古びたアパートをその一角だけ改装したものだった。しかし建物は別によくて..受付に行って名乗ると、「あなたの予約は入ってないんですけど」なにいいいいいい!それこそ"Whaaatt!?"ではないか(言わなかったけど)。PCを立ち上げて、予約確認票を示すも、ないという。しかも、「今日明日は満室なのであなたを助けることができない」という。これはダブルブッキングか。いや、ホテル予約サイトからの連絡が来ていないというからこれは問題だ。ともあれ、ホテルの人に言ってもたぶんしょうがないので、受付のソファーを借りて予約サイトに電話するも通じず、万事休す。予約サイトはアメリカと日本の電話が書いてあるが、いずれも時差の都合か、電話に出ないのだ。となると、ここに居ても意味がないから、また中央駅前のツーリストインフォに行くか、と駅に向かうのだが、今度はSバーンが全然来ない。通るのはRE(地域快速)で、通過してしまう。どうもろくな場所ではないようだ。
駅から出て、トラムの停留場に行ったら5分くらいで市内中心方面行きが来た。市内へは10分くらい。またゴロゴロとツーリストインフォに行ったら、本来平日18時まで営業のはずなのに今時点15時半で閉まっている。なんで?..よく見たら、5月1日は15時まで、と書いてあった。今日はメイデーだったのだ。
さて、そうなるとホテルを紹介してくれるところは、DB(ドイツ鉄道)のインフォか。しかしそこのおばちゃんはさっぱり要領を得ず、挙句に「英語はだめ」って、それはないでしょうに。せめてインターネットアクセスは、と聞いたら下のバーガーキングのところにあるはず、というのでそこに行く。バーガーキングとコーヒー店の中間にPCが並んでいて、2ユーロで1時間のネット閲覧ができるようになっている。コーヒーを買う必要はなかったが、のどが渇いたのでアイスコーヒーを買った。えらく不味い。
ホテル予約サイト(むろん先ほどのホテルを取ったところではない)で、新たにホテルを予約。市の北部、中央駅へはトラムで4駅の新しいホテルだ。ついでに、先のホテルを取ったサイトにアクセスして「取れてないじゃないかゴルァ」とキャンセルを入れておいた。キャンセルというか、入ってないからキャンセルとは言わないんだろうけど、金とられるのはいやなので「絶対チャージするなよ」と念押し。でもやられそうな気がする。後日やりとりありそう。(結局、1泊分だけ取られた。ちなみにライプツィヒには5泊した。)
トラム乗り場は..工事中でシューマッハ通りのグライス5に移転中、って、本当に今日はゴロゴロ引きながら歩く日ですな。ま、駅の西側に曲がったところなので遠くはない。ホテルに着いたのは18時ちょっと前。ライプツィヒ駅に着いてからホテルまで3時間以上かかってしまった。プラハからここに来る列車の所要時間並み..ほとほと疲れた。救いだったのは、改めて取ったホテルが新しくてきれいだったこと。それでいて安い。レセプションの女性は丁寧だし。なぜ最初にここを予約しなかったのかと無意味なことを思いつつ、旅装を解いた。
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