09年4月下旬−5月中旬
第4次欧州旅行


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●第20日 09年5月13日(水) トロムソ→ボードー→トロンハイム→(車中泊)

 4:40に起床。今日から明日夕方まで、ずっと移動の予定だ。旅行の最後にこんなことをするのはかなり無謀だと自分でも思う。ノルウェイ国鉄(NSB)の、連続した区間としては最北のボードーからオスロまで鉄道で移動するために日程を割いているのである。ボードーまでは昨日のうちに移動できないため、朝早くの飛行機でトロムソからボードーまで飛ぶというのもおかしなスケジュールなのだが、何しろ鉄道に合わせているからこれは致し方ない。

アミ・ホテル外観 空港バスの停留所、そっけない支度をして、5時10分過ぎにホテルを出る。係員は居なくてチェックアウトはできないのでそのまま鍵をセキュリティボックスに返して出てきた。
 トロムソの街はもう明るい。天気は曇りで、時刻を考えれば寒さはそれほどでもない。空港バスの停留所までは歩いて5分程度だった。明らかに早すぎた。何もないバス停のところでただ待つ。5時半くらいにバスが来た。乗客は2人だけだ。40分に出発、空港までは15分。途中で何人か拾ったが結局10人も居なかったと思う。空港に着いてみたら、オスロ行きを中心に、けっこう便数があり、人も多かった。
 手続きをして出発ロビイに行き、朝食は我慢して待つ。PCで旅行記の編トロムソ空港集をしていたらすぐに搭乗となった。例によって指紋で認証して通るのだが、急に1台の装置が壊れてしまい、列が長くなってしまった。
 機材はB737-500で、小さい。席は一番機内食後ろの21F、よく見たらリクライニングしない席だった。まあ50分のフライトだからそれでもいい。すぐに飛び立った。眠いのでうつらうつらしていたら、朝食が配られた。サンドイッチ1個とオレンジジュース、チョコレート、コーヒー、紅茶だ。国内線では初めての無料の機内食である。9時以前のフライトは無料だそうで。ありがたくいただくことにする。ずっと曇りだし、早々に食べて、あとは寝ていた。

ボードー空港 ボードーに着いた。飛行機はこの後トロンハイムまで飛ぶが、私はそのトロンハイムまで、列車で移動するのである。鉄道の所要時間は9時間55分。時間を考えればばかばかしいがここの路線の景色は良いとのことなので街まで歩けます、楽しみだ。ボードー市街は、なんと空港から
徒歩20分。非常に近い。比較的平坦で、空港と住宅・市街が共存できるというわけだろう。とはいえゴロゴロを引いて歩いている人はいなかったが、まあ何しろ列車の時刻12:15までは何もすることがないのである。家並みを見ながら、市街までゆっくりと歩いた。

 歩いてみると、市街までは確かに徒歩20分だったが、駅は中心部から少し離れている。なので35分ほどかかって駅に着いた。それでも8時半前だ。駅はこげ茶色の立派な建物だ。しかし列車は1日に8本しか出ない。うち2本はトロンハイム行きの長距離列車、後は近郊までのローカル列車だ。誰も居ない駅のロビイで切符を出力し、コインロッカーに荷物を入れて市内を散歩することにした。観光案内所も、博物館も未だ開いていないので、ただ歩くだけである。バスターミナル近くのスーパーでチョコレートの袋を6つ買った。これを会社などの土産にする。ノルウェイでは、空港にはお土産になるようなお菓子が売られていない。それでリンツだとか、どこでも買えるチョコにするのはいやだ。ノルウェイでスーパーに寄れるのはもうここが最後なので買うことにした。店には国旗やろうそく(国旗の色がついている)やおもちゃのラッパなどが売られている。そうか独立記念日が近いのだ(5月17日)。そのコーナーにKong Haakon(ホーコン王)なるチョコレートがあったのだが、それはあまりに大きく高いのでやめた。
春は近い ボードー駅 待合室は小さい
この停止線は一時停止用 街中のオブジェ 城砦のようなものが見えた

 街を歩いていて、博物館巡りをする気力が失せてしまった。そこで、駅にあるカフェで休むことにした。1時間半ほどをそこ472列車 トロンハイム行きで過ごした。
 列車は10時半くらいには入線していた。おそらく、今朝着いた夜行列車の寝台車を外して帰りの運用とするようで、外した寝台車が2両、脇の線に停まっていた。昼行の472列車はディーゼル機関車を除く4両編成で、先頭からオープンの座席車(2+2列)、家族用コンパートメント車(半分は荷物車のようだ)、カフェ、セミオープンの座席車が最後尾。セミオープンとはなんとも説明が難しいのだが、仕切りとカーテンで半分ずつくらい仕切られた感じの座席車だ。1+2セミオープンの座席車列のレイアウトで座席が大きく、リクライニング角度も大きいので、昔は1等車として運用していたのだろう。今のNSBでは1等・2等という区別はなく、一部の路線でコーヒー類無料、大型テーブルのついたコンフォートというクラス(追加で75NOK必要)があるだけだ。この列車では、指定を取った人はこの旧1等車、そうでない人は2+2列の車両に誘導されていた。さて、私の席は12番、1列シートで周囲に気兼ねなくていいのだが、惜しいのは進行方向と逆に向いていること。また、後で知ることになるが景色は2列側のほうが良かった。この車両は仕切りが邪魔だしシートが大きいので反対側の景色が見えにくい。指定なんて取らなきゃ良かった。

 定刻の12:15に出発した。隣しょぼい昼食..の食堂車に行くが、どうも大失敗のようで、ホットドッグやピザなどの軽食しか出さない。10時間近くの乗車でこれはきつい。困ったね。仕方なくピザと水を買って食べた。駅のカフェで食べておくのだった。

 景色は非常に良い。良いのだが、眠くなってしまった。これは本末転倒だと思いつつ、気づいたら2時間程度眠っていた。北極圏の印は当然ながら見られず。まあいいんだけど。景色は、北部の湖沼が多いところから、南部に向かって緑が増えていく。その変化が冬から春を想起させてなかなか良い風情だ。列車は特に急行などと銘打っていないが、一部の地方駅は乗降客がいないと停車しない。従って、1時間以上停車しない区間も多かった。速度は時速100km程度は出していて乗り心地も快適だ。
北極圏、雪はまだまだある 湖も多い 南下すると雪がなくなってくる 白樺 湿地

 グロンというところで対向列車のすれ違い調整で15分以上停車した。時刻表を見るとこちらの列車が19:05発、対向のローカカルツォーネ、残念ながら不味かったル列車が19:07発だから向こうが遅れてしまったのだろう。このとき私は2度目のカフェにいた。カルツォーネ(ピザの具みたいなのをパン生地で包んだようなもの)とコーヒーを注文したのだが、カフェの人が作るのを忘れて車掌と外でしゃべっている。仕方ないので私も外に出て、深呼吸した。涼しい。駅の売店でペットボトル飲料を買ったら25NOKだった。列車のカフェと大差ない。放送がかかり、どうやら発車らしいので、カフェに戻る。店員にカルツォーネはどうなったのと聞いたら、あっと言って忘れてた、とのこと。代わりにコーヒーをもう1杯ただで飲んでいいというのだが、小さいコップでもかなりの量なので、2杯も飲むと多すぎる。2杯目は半分くらいにした。カルツォーネはパン生地が固くてパサパサで美味しくなかった。この手のカフェはもう駄目だなこれでは。客が少ないから合理化という名の後退をし、さらに客が寄り付かなくなる、まさにジリ貧であろう。
日没が美しい だんだん夜に

 列車は15分遅れとなった。トロンハイムでの乗り換えは50分あるし、そんなに心配はない。が、トロンハイム近くになるとローカル列車とのすれ違いで何度か停車が始まって、どうも遅れは増大しそうだ。トロンハイムからオスロまでの夜行列車の全容を見ておきたいので、乗り換えがギリギリなのは勘弁して欲しいところだ。
 結局、遅れを少し取り戻して10分遅れで到着した。オスロ行きの夜行406列車は同じプラットフォームの406列車 オスロ行き向かいに停まっている。後ろから普通座席車3両、食堂車、寝台車2両、そして先頭が電気機関車だ。座席車はベルゲン線のタイプと車体は同じだが座席は少し古いようだ。寝台車は断面が8角形の独特な形をしている。また、細長い窓が多いのも特徴だろう。全て2段式の個室で、料金は850NOKで均一、つまり2人で一室使っても1人で使っても1人あたりの価格は同じだ。乗車率は座席車が3割程度、寝台車は部屋に入ってしまった人がカウントできないものの、1-2割もいないような感じだ。
 列車に乗り込む。まずは食堂車に居る車掌に切符を見せて、個室の鍵をもらう。個室はあまり広くないが、洗面台があり、顔を洗ったりするのに外に出なくて良いのは便利だ。日本で言えば一人用A個室を2段ベッドにしたような感覚。それで寝台料金850NOK(13000円弱)は割高だが、乗車券はボードーからオスロまで18時間乗って6000円弱、安いのか高いのか混乱しそうな料金体系だ(乗車券はミニプリスという変更不可の事前購入券)。荷物置き場は通路の天井の上になり、重い荷物を上げるには位置が高すぎる。私は1人なので、荷物は床に置けばいい。下段ベッドの読書灯が点灯しないが、今晩はそのつもりはないので良しとしよう。
 予定通りに出発する。海外で夜行列車に乗るのは初めてだ。ゆっくりと進む列車は乗り心地が良く、小さな窓から見える夜景がきれいだ。
 PCを開き、旅行記をまとめていたら眠くなった。明日は6:06にオスロ空港に着く。もう寝なければ。
トロンハイム到着 寝台車の通路 個室の内部 トロンハイム近郊


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