09年4月下旬−5月中旬
第4次欧州旅行


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●第16日 09年5月9日(土) ベルゲン

 本日はベルゲンを終日散策。
 午前中は雨が激しく、午後には少し上がり、夕方にまたどさっと降るというパターン。昨日今日と同じだった。
 そして問題は、今日は土曜日であること。本格的観光シーズン前ゆえに、行ける博物館の類が非常に限定されている。例えば開いている時間が12-15時、とかなのである。ベルゲン・カードを買ったけどちょっと損だっようだ。カードを買ったフェリー会社で、窓口のお姉さんが「何時からにします?」と聞いたのはそういう含みがあったのか。ゆうに1時間半は使えない時間帯があった。もちろん、バスに乗ったりはできるので、先にトロルハウゲン(グリーグの家)に行ってもよかったか。そこについては後述。

 それにしても、一番雨が激しい時間帯に歩いていた気がする。宿を出て隣のグリークホールや公園を歩いている間はぽつぽつ程度だったが、フェリー会社でベルゲン・カードを買うあたりではどしゃ降りだった。有名な魚市場はテントの下なので大粒の雨が轟音を立てていて、お客も居なくて商売になっていないような感じだった。
グリークホール 公園にて 公園にて マンホールコレクション追加
ブリッゲン地区を対岸から 魚市場 客はほとんどいない 雨のベルゲン港

 その後はブリッゲンに行って世界遺産の木造家屋(正確には倉庫)の写真を撮ったり、港を見下ろす高台に行ったりした。ブリッゲン博物館は12時からだったのでしばらく待ったが、あまり待った甲斐のない展示で残念。少し戻ってハンザ博物館はベルゲン・カード不可だったので入らず。
ブリッゲンへ 木造の倉庫なのである 雨に濡れた景色も悪くない 軒下の通路
建物の間の連絡通路に登ってみる 建て増しも多い 土産物屋にて

 その足でフロイエン山のケーブルカーに乗って頂上に行くことにした。麓の駅近くにカメラ屋を発見。見たところ、80年代の日本製カメラが多く、品揃えには魅力を感じなかった。
カメラ屋発見! ケーブルカー乗り場 ケーブルカーはリニューアルされていた

 さてそれで頂上だが、超絶に寒かった。体感温度は氷点下、大げさではなく。たぶん数度はあったんだろうけど、非常に風が強く写真を撮っているとすぐに手が痛くなってきた。ケーブルカーの駅なら多少風がしのげると思って避難したら、ノルウェイ人の男の子にハーイ、と挨拶された。彼の手には大きなアイスクリームが。恐ろしい..
内部の様子 ケーブルカーから このときだけ雨が上がる せっかくなので望遠も使って
望遠でも撮っておく 合成パノラマに挑戦
ケーブルカーの麓駅近くはトンネル 控えめな店舗 グリーク像

 ベルゲン美術館(3棟に分かれている)はじっくり見た。寒かったから温まろうという心理もあったか。今回の旅で初めて知ったJ.C.Dahlの絵がたくさんあった。ヴィーンでも見たが、ノルウェイ出身の風景画家とのこと。ノルウェイの風景がいいのはもちろんだが、18歳のときに描いたベルゲンの街の絵もほのぼのとして良かった。大成してからの風景画はもうこれ以上ないリアリズムで隙がなさすぎるというか、圧倒されるのだけど、18歳のときの絵は細部に拘らない絵なのに、19世紀初期のベルゲンのひなびた雰囲気が伝わってきて良いのだ。調べてもなかなか資料がないので、美術館でこの画家についてのプリントをもらってきた。

 この時点で14時。生協でよく分からない料理(ポテトを本日の昼食ミートソースとチーズで煮込んだもの)とパエリアを買ってきてホテルの電子レンジで暖めて食べた。

 さて今日の最後はトロルハウゲン。ベルゲンの南に8kmほど行ったところにある、グリーグが22年間住んだ家である。バスの系統は分かったのだが、さて街中のどこに停まるかが分からない。それならバスステーションに行けばいいか、というわけで行ったら、液晶表示画面にはUtsider Bergen Busstasjonとだけある。Busstasjonはバスステーションのこと、元々バスはBussと綴るが間違った方向に乗る、ステーションと重ねるときはsを一個取るのか..まあそんなことはどうでもよくて、utsiderとはこれはアウトサイドの、であろう。それで外に出てみたらちょうどその系統の番号が書いてあるバス停を発見。バス停の一覧と、来たバスの写真を撮っておいたらこれが後で役立った。つまり、反対方向に乗っていたのだ。ベルゲンの街中は一方通行が多く、バスの進行方向はかなり変わるのだが、どうも北行きのバスみたいということを疑い始め、先ほど撮ったバス停の画像をチェックしてそれを確信。魚市場前で下車。そこには反対方向のバス停がなくて、ブリッゲンまで歩いてバス停らしきところに到着。しかし何も表示がない。これは困る。そもそも、ベルゲンのバス停は、「ここがどこか」を表示していない。地名がなく、番号が書いてあるだけなのだ。観光客にとってこれほど不安なことはないし、しかも、いま居るところはバスの番号すらない!ほかに待っている人も居ない!これは不安だ。でも10分くらい待ったら来た。ホッとした。次なる問題は降りるところ。何しろバス停に名前が書かれていないしアナウンスもないし。バスの運転手に言っとけばよかったのだ。そこで活躍したのがこれまた、先ほど撮っておいたバス停一覧。バス停に名前がなくても、付近の建物に地名があるかもしれない。しかしそれもほとんどなく、交差点にも名前はなく、不安が表示があるとホッとする絶頂に達したとき、ある角を曲がったところにある商店にParadisの文字を発見。これは降りるべき停留所の2つ前。これで降りられる..

 無事に降りて、そこかトロルハウゲンへの道ら先はさすがに観光スポットなので、表示があった。但し、バス停から20分は歩く。着いたときには16時半。閉館は18時だからあまり時間がない。入館して展示を見ていたら、係の人がグリーグのvideo見る?というので見た。videoといっても、動画ではなくスティル写真にナレーション(グリーグ自身が手紙などに書いた文章を英訳したもの)が入るというもので、ちょっとちんぷんかんぷん。17時からはトロルハウゲンで説明をする、と博物館最初に言われていたのでvideoの後はすぐにトロルハウゲンに向かう。元々はトロルハウゲンが博物館で、いま居た博物館とカフェの建物は最近出来たものだそうだ。トロルハウゲンの中では撮影禁止だが、説明が丁寧で良かったので、不満はない。トロルハウゲンはニーナ夫人が存命のときからベルゲンに寄贈されてその後博物館として運用されているので、建トロルハウゲン物、内装、調度などもオリジナルのものだそうだ。ベルゲンの友人にプレゼントされたというスタインウェイは、背の低い(152cm)のグリーグ用に特注されたものだとか。ニーナ夫人も150cmと小さくて、ドイツでチャイコフスキーと3人で演奏会に行ったとき、新聞に「チャイコフスキーは2人の子供を連れていた」と書かれたそうである。といった話をされながら思ったのは、展示物に一切表示がないこと。写真などにもキャプションはない。つまりこれは、ここに入るには係員の説明(=監視)なしには入れないってことか。そのぶん、展示物が自然な位置にあるし、ガラスケースなどで邪魔されていないし、なるほどこういうのもありだと思う。

 説明が終わって外に出たら嵐のような天気。急いで外の写真を撮り、作曲小屋を見に行ったらまた急に止んだ。まったく、気まぐれな天気である。作曲小屋には説明はなく、いやそれどころかその時点で説明員も客も、だれも外にいなかった。作曲小屋はトロルハウゲンから少し下ったところにある。崖の中腹の小さなスペースに建てられており、文字通り小屋という風情の、一部屋だけの建物だ。説明員がいないので中に入ることはできず、ドアの窓越しに中の写真を撮っておく。付近の景色はなかなかのものだが、先ほど説明員が言っていた「ブラームスが作曲に困っていたとき、『うちに来れば楽想が得られるかも知れないよ』と誘った」というエピソードほどにきれいなところかというと、そうでもないような気がする。そもそも、10歳年上の楽壇の権威にそんなことを言うだろうか。
作曲小屋 作曲小屋の内部 トロルハウゲン付近からの眺め

 周囲にはだれも居ない。皆、帰ってしまったのだろうか。しかしせっかく来たわけだから、私は一人で墓所に行った。うむ、これは墓とは思えない。海に向かって、岩に墓標が埋め込まれているのである。それほどまでにここの風景を愛していたということだろう。ともなれば、ブラームスにああいうことを言ったかも知れぬ。
等身大の像 グリークの墓 墓付近からの眺め

 博物館の本館に戻り、思いっきり片付けモードに入っている係りの人にトイレ貸して、とお願いして、18時に出てきた。帰りのバス停まではまた20分歩かねばならない。途中で先ほどの見学で一緒だった中国人に遭遇。どうやら道を間違ったみたいで、バス停どっちでしょう、というのでこっちですよ、でも、その道に出たあとどこにあるかは私も知らないです、などと話をしていた。彼ら2人は旅行開始後3日目だそうだ。途中で、唐突に「スーパー見つけたからそこで買い物してく」と言って横道に逸れていってしまった。だから道に迷うんじゃないの?
 それにつられて、私もバス停への道を変えてみることにした。途中で「歩行者・自転車専用道、ベルゲンまで7km」なるものがあったのでそっちに曲がってみる。途中でバス通りにぶつかるだろう、と思って歩き始めたのであるが、いっこうにそういう気配がないどころか、高速道路の側道になっていまい、当然バス停などない。やばいなあと思っていたら、3kmほど歩いたところでインターチェンジが現れ、バス停があった。ヤレヤレ。そのバス停の表示もあまり親切ではなくて推測するしかないだが、どうやら中心部に向かう方向だと判断。バスが来るまで20分近く待った。
脇道(?)を歩く 高速道の側道になってしまう ちょっとだけ光が差す
夕食
 ベルゲンバスステーションの近くのスパーで野菜入りハンバーグとパンを買ってきてホテルで食べた。たくさん歩いたので美味しかった。



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