09年4月下旬−5月中旬
第4次欧州旅行


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●第18日 09年5月11日(月) ベルゲン→トロムソ→(船中泊)

 夜中の2時ごろから何度も目が覚めた。疲れているのにぐっすり眠れない。結局、アラームが鳴る前に起き出してきた。今日はよく晴れている。トロムソまでの空路も晴れていると良いが。
 朝食は取らない。オスロで買ったインスタントのパスタがあるが、これは後日にしよう。準備をして、8時10分過ぎにホテルを出る。ホテルと言っていいのか未だに納得できないが。ここはチェックアウトもない。12時になったら、自動的にカードキーが使えなくなるだけだ。ドライなものである。

 バス停まではたいした距離はなく、すぐ着いた。ちょうど8:15の空港バスが出て行くところだった。平日のこの時間帯は、15分おきの予定になっている。飛行機は10:35だから問題はない。バス料金は85NOK、これを運転手に支払い、荷物置き場に荷物を置いて席に着く。客は少ない。途中、かなりの停留所があった。前に来たときはこんなルートではなかったような気がするが、10年前の記憶ではあてにはなるまい。ベルゲン空港
 9時に空港に着く。自動チェックイン機に予約番号を入れると、なんと「欠航」の文字。SAS(スカンディナヴィア航空)のサーヴィス窓口に行くと、オスロ経由に振り替えるとのこと。私はトロムソで沿岸急行船に乗るのだが、というと、何時?18:30なら大丈夫、13時半には着きますよ、とのことだった。ただ、せっかく海岸線を見るために直行便にした意味がなくなってしまった。その場チェックインをしてくれて、バゲージのタグも出してくれた。これを持って、バゲージドロップの窓口に行けば良い。その窓口ではなぜか指紋を取られた。今後の個人認証に使うらしい。

 朝食でも、と思うが空港内のレストランはやはり高い。セブンイレブンで焼きそばを購入する。空がきれいで爽やかなので、外で食べた。長時間温めていたためか、パサパサしていてあまり美味しくなかった。
 特にすることもなく、さっさと手荷物検査を通る。国内線なので土産物屋もなく、ナルヴェセンでアイスコーヒー(パック)を買って、旅行記の更新をしていた。10時過ぎに皆がゲートを通り始める。よく見ると、チケットを見せている人と、何もしないで指を押し付けて通る人がいる。これが指紋採取の意味か。早速やってみたら、名前と座席番号が印刷された紙が出てきて、ゲートを通ることができた。これは便利だ。日本の航空会社も既にチケットレスにはなっているが、どうしてもカードや登録した携帯電話が要る。それらを忘れると乗ることはできない。しかし指紋ならその可能性もないわけで、良いやり方だと思う。
 さて、そのまますんなり搭乗、ではなかった。というのも、未だ乗るべき飛行機が来ていないのだ。小さく囲まれたロビイで待っていたら、出発10分前くらいに到着。これは折り返しだと遅れるのではないかと思っていたら、すぐ搭乗となった。どこからか来て、ベルゲンは経由地だったのかも知れない。
 機材はB737-800、座席番号11Aは非常口座席だ、足元が広いのはありがたいが、荷物は上に入れなければならない。カメラ類を手元に残しておく。CAさんに非常口の開け方を教わり、準備完了だ。
 すばやく飛び立った。飛行機が小さいので動きが小気味良い。非常口あまり景色は楽しめず座席なので翼の上であり、視界が限られるのは残念だ。水平になってすぐにコーヒーのサーヴィスがある。国内線で、40分以上のフライトではコーヒー、紅茶は無料とのこと。なんだかホッとする。しかし欧州内の国際線では無料ではないのだ。この差には釈然としない。そのコーヒーをすすり、トイレに行ってみると、早くも着席のサイン。気流云々ではなくて、着陸態勢に入るという。慌てて用を済ませ、席に戻らねば。と言いつつ、トイレに窓があったので、そこからついでに1枚撮っておいた。

 オスロ着は11時半近くだった。トロムソへの便は11:45なので非常にまオスロ着ずい状況である。しかも、今乗っている飛行機は空港の建物から外れたところに停まっていて、タラップから下りて建物に向かう必要がある。長い通路を急ぎ足で行き、乗り継ぎの表示を見たらGate Closingとあった。ゲートは31番、ここは20番くらいだから未だ遠い。走った。
 他にも何人か乗り継ぎの人がいたようで、私がゲートを通った後も数分程度は大丈夫だったようだ。席は3A。機材はB737-600、小さい飛行機にぎっちり座席を詰め込んでいて狭い。窓は汚いし、隣の人はむちゃくちゃ大きくて圧迫されるし、快適ではなかった。オスロ上空は晴れていたが、すぐに雲が多くなってしまった。これでは海岸線もあまり期待できないようだ。
 この便は比較的遠距離なのでやはりコーヒー等は無料で出る(ジュースや食べ物は有料)。肘掛代わりにテーブルを出して、しばらくうとうとした。

トロムソ空港 トロムソは雨だ。しかもものすごく寒い。そういえばトロムソは北緯69度、北極圏に入っているのである。空港は小さく、荷物のターンテーブルも小さい。オスロでの乗り継ぎが15分少々で、荷物が出てくるか非常に心配だったのだが、出てきた。やれやれ、ちゃんと荷物も乗り継ぎできたのだ。しかし、荷物が出るまでにかなり時間を要し、その間に空港バスが出発して行った。時刻表を見ると、なんと次のバスまでは2時間も開いてしまう。飛行機の便に合わせてくれてもいいと思うのだが。いや合わせていたが荷物が遅かっただけか。空港の周りには何もない
 ガイドブックには市バスも使えるとあるが停留所が見当たらない。空港前に駐車場があり、その向こうにあるのだろうか。でもそこまで濡れていくのもあほらしいので、タクシーに乗ることにした。タクシーは数が少ないようで、乗り場には長い列が出来ていた。それでも10分くらい待っていると乗ることができた。50歳半ばくらいのおじさんの運転手である。先ほどから他の人の行動を見ていると、後部座席に座る雰囲気ではないので、前に座る。自然、こうなると会話になるわけで、トロムソは初めてです、とかなんとか。天気はいつもこんななのと聞いたら、いやちょっと前は良かったんだけど、ここのところこんなダークな天気だね、水曜以降に良くなるみたい、とのこと。私は水曜の早朝にトロムソを発つのでその恩恵にはあまり与れないようだ。運転手さんはなぜかアメリカのオールディズを聞いている。それはラジオで、彼は問わず語りにそれが好きだと話し始めた。このチャネルはそういう音楽が専門らしいのだ。この曲は35年前にレコードを買ったんだよねー、などと楽しそうに話していた。

 トロムソは島である。空港からトロムソ市街までは長いトンネルを抜けて行く。トンネルの中に交差点(ロータリー)があって驚いた。そのロータリーを2つほど通ると、すぐに市街地だ。沿岸急行船の発着場に行きたいと言ってあるのだが、運転手さん曰く、あれ、これはおかしい、2時半には船はいるはずだ、とのこと。埠頭に着いて、そこらの人に船は未だかと聞いてくれたが、私はいま船に乗るわけではなくて、荷物を預けて博物館に行きたいだけなのだ。が、そこまで言うのもなんだから黙っていた。船はちょうど入港するところだった。運転手さんは、ここが事務所だよ、と明らかに間違ったところを指差して教えてくれた。さすがに外国人の私でも船会社の名前くらいは読める。
沿岸急行船 入港
 船が接岸したところを撮影して、近くの観光案内所のコインロッカーに荷物を入れた。鍵をかけた瞬間に、2つの「しまった」が。その1:傘を出すのを忘れていた。その2:船が入港したのだから、チェックインして荷物を置いて外出すればよかった。しかしどうしようもない。そのまま北極圏博物館に向かった。雨は降っているが傘を差さない人も多いからあまり違和感はない。

 トロムソ市内はコンパトロムソの街クトにまとまっている。オスロのノルウェイ民俗博物館にあった、交番みたいな、細長く小さな建物のキオスクもあった。博物館にはすぐ着く。中が見えないドアが閉まっているので入れるかどうか一瞬交番のようなキオスク迷うのだが、これはドイツでもよくあったのでそのままドアを開ける。うお、暖かい..入館料50NOKを払い、入館証のシールをもらう。中は暑いくらいなので、コートをかけて、写真撮影可否を確認して(OK)、展示室に入った。アザラシの種類がこんなにあるとは。子の剥製もあってかわいいけど、皆このために取ってきたんだな。昔のアザラシ猟の様子が人形で再現されているが、小さなボートで近づいて、ツルハシのような道具で叩いて取っているようだった。
 他には、北極熊の剥製や毛皮が随所に。毛皮を使った耐寒服の展示もある。北極探検の展示が一番充実していて、アムンゼン、ナンセンの探検記録や当時の道具など、興味深かった。ナンセンについては特別展示があり、第1次大戦の捕虜送還への尽力、革命時の混乱で発生したロシアの難民についての支援活動、ノーベル平和賞のことなどが記録されていた。難民へのナンセン・パスポートの支給など、知らなかった。
北極圏博物館 北極圏の生活 アザラシ漁の様子 かわいい.. 随所にある毛皮

 息子のために、熊の絵がプリントされたTシャツを購入して、博物館を出た。16時である。コインロッカーが16時半までなので、観光はここで終了とする。
 船に乗り込む。入口で手をアルコール消毒させられる。入口を入ると、すぐ右手にチェックインカウンターがある。手続きをす部屋の様子る。名前の書いてある客室の鍵(カード)をもらい、部屋に入る。208号室、つまり最下層の階の、北行きの便では陸地側のキャビンである。部屋は十分広く、窓側にあるソファはツインにする際のベッドも兼ねている。トイレ・シャワーは客室にあった。トイレ部分には床暖房が入っていて快適だが、肝心の部屋はエアコンの噴出口などは見当たらず、船全体の空調でまかなっているようだ。いかにも船海水がかかり、外はきれいには見えない、といった感じの小さな丸い窓が2つついている。ただし、この部屋は最下層なので海水の飛沫が窓についてしまい、外の景色はあまり楽しめない。陸地側希望、と言っておいたのだが、あまり意味がなかった。もっとも、この船には四方が壁というキャビンもあるので、それよりはずっとましである。
 早速船内を探検する。最下層はここ2階、自動車の格納庫もここにある。3階に乗客の出入口と受付があって、4階がスナック、売店、食堂、会議室など。5階は客室と、外をぐるりと一周できる外の通路がある。6階はほぼ客室のみ、7階はバー・ラウンジ、後方にサンデッキ。ベルゲンからヒルケネスまでの7日間の行程を行く船ゆえ、カジノやプールや映画館があったりはしない。その点では、実に静かな船である。コーヒー飲み放題権つきのマグカップを209NOKで購入する。1泊ではあまり得ではない。なにしろこの権利は通年なのだ。そんなに乗る人は実際居ないとは思うが、先日NHKでやっていた番組で、地方の人が停泊中にラウンジに乗り込んで談笑していたシーンがあった。そういう人にとってはマグカップは有用だろう。ま、これはお土産だと思えばいい。ちなみにコーヒー1杯が37NOKと非常に高いので、6回程度飲むならカップ代の回収は可能だ。早速飲んでみたが、ちゃんと美味しいコーヒーだった。このカップ、紅茶もお替わり自由である。
エントランスロビイ 階段近くのロビイ スナック レストラン キッズコーナー
エレヴェータの中 展望ラウンジ ランドリーもあり コーヒー・紅茶飲み放題権つきマグカップ トロムソを出航

 出港まで1時間半くらいあったのだが、雨もひどいし、もう出る気はしなかった。部屋で旅行記の編集をする。共用沿岸急行船の歴史のPCではインターネットもできるが、1時間40NOKと高額なのでやめておく。そうこうしているうちに出港の時間がきた。乗降口が船の壁の一部となり、ゆっくりと埠頭を離れていく。こういうゆったりとした時間の進み方は好きである。

本日の夕食 食事は、レストランで食べるには事前予約が必要だ。コース料理なのだが、そこまで必要とは思わず、予約はしていない。スナックでオープンサンドイッチ2種(肉と海老)、フライドポテトを食べた。170NOK近くだったのでこれでも十分に高い。
 スナックで食べている人は私のほかにもう一人だけである。ほとんどの人はレストランに行っているようだった。


 部屋に戻り、PCで旅行記を書きながら、時折船の外を見る。夜中1時過ぎまで外は明るかった。もうすぐ白夜の時期なのだ。ずっと明るいので、作業をしているとキリがない。途中で切り上げて寝ることにした。
沿岸なので船との出会いが多い 夜なのに明るい 午前1時でも外の写真が撮れてしまう

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